第34話ダンジョンコア、レベルアップ
最近、我がダンジョン「クスノキ」を訪問する冒険者が増えていた。
事の発端は、とあるパーティの斥候が、地下五階のとある部屋にある祭壇っぽいところに壊れたナイフを置いてきたことにある。
柄の所に自分の名前を刻むほどお気に入りのナイフだったので、本人は供養のつもりで置いたらしい。
だが数日後、壊れたナイフはダンジョンに吸収されることなく、祭壇らしきところにぽつんと置かれていたままだったという。
で、ナイフを見つけた他のパーティの冒険者が不思議に思い、地上に持ち帰り俺の鑑定を受けた結果、ダメージ+1の魔法の武器になっていた。
壊れているので価値はほとんどないに等しいのだが、普通のナイフが魔法の武器になったというのはインパクトがあった。
魔法の武器になる確率はまだ統計が出ていないので当分は壊れたり安い武器が置かれることになるだろう。
9-18時に設定されたダンジョンの営業時間が終了し、書類整理も終わったので俺は地下6階に降りてきていた。
「・・・・・・・・・」
オールバックの白髪にカイゼル髭。黒いスーツというお約束な老執事が静かに頭を下げる。
老執事の名はウブ。レベルが上がったダンジョンコアがこの場所でとる仮初の姿。
いいよね老執事。
「本日、ダンジョンで得た経験値は132018。収支は16025Gのプラス。それによりわたくしのレベルが2上昇しました」
俺が部屋で一段高くなった場所に設置した椅子に座ると、ウブが今日のダンジョン状況を説明する。
ウブのいう経験値とは、ダンジョン内で冒険者や野良モンスターが受けたダメージの総数だ。
死ねばその生物の体力の倍の数値が、死んでダンジョンに吸収されれば、生物の体力の3倍の数値が経験値として手に入る。
経験値が溜まればレベルが上がり成長もする。
当然のことだが、132018という数字はダンジョンを訪れる初心者冒険者だけでは賄える数字ではない
このダンジョンから王都ギルドまで続く、細い通路の先に設置されているゴミ箱。これが大量経験値の原因だ。
そう。このゴミ箱に捨てられる解体で出たフィールドモンスターの死骸がこのダンジョンの得る経験値として貢献しているのだ。
次に収支は、ダンジョンでモンスターがドロップしたり吸収された武器や貨幣の合計だ。
これは王都ギルドで廃棄される壊れた武器や、俺が宝石生成のレベルアップのために生成した貴石がプラスに大きく貢献している。
ちなみにゴミ箱に捨てらた壊れた武器や防具は、ダンジョンコアの固有スキル
今回の魔法武器が手に入るかもしれないイベントのカラクリでもある。
また、貨幣を補充しなくても戦利品として貨幣がドロップされるようになった。
これはンジョンコアの持つ鑑定から派生した専用スキル
俺が生成した貴石がこの
で、造った貴石を鑑定して
「召喚できるモンスターの種類が次のようになりました」
ウブがウインドウを開く。
スライム、ゴブリン、オーク、スケルトン、ゾンビ
ホブゴブリン、レギュラーオーク、スケルトンソルジャー、スケルトンマジックユーザー、グール、ミスト
おお、上位モンスターが増えた。
地下5階のモンスターを少しずつ入れ替えるか?
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