第33話ルーキー狩りルーキー狩られ 顛末
第三者
カシン・コジは絶望のただ中にあった。
生物としての本能が逃げる事を望んでも、目の前の鬼人の挑発に暗殺者としての矜持がそれを許さない。
身体を蝕む毒に薬もスキルも対応しない。
まだ数分しか経っていないような、もう数日経ったような…
「終了だ」
いつの間にか鬼人がカシン・コジの前に立っていた。
ザン
カシン・コジの首が地面に落ちていた。
・・・
・・
・
ブルムさんに説教された。それはもうガッツリと。
1時間ほど離席しますと言って、2時間ほどカシン・コジと迷宮の中で鬼ごっこをしていたこと。(おかげで挑発のレベルが4になったよ)
カシン・コジに襲われたパーティが救出され、高レベルらしい悪党によるの深刻な事態が発生しているのに俺が居なかったこと。
そこに俺がカシン・コジの首を持って現れたことが原因だ。
なぜ俺がカシン・コジと戦うことになったのかと聞かれたので、ダンジョン地下1階に置いてあるインゴットを取りにいったときに背後から襲われたということにしておいた。
説教時間が伸びただけだったけどね。
カシン・コジの首はギルド水晶で冒険者のルーキー狩りの現行犯として登録した後に被害者の死体と共に王都ギルドに送る。
鑑定で
あれ?どうやって検証すればいいんだ?
あと、カシン・コジの首から下の死体はダンジョンコアが実験したいということで地下6階の魔素溜まりのひとつに漬かっている。
どうなることやら。
ダンジョンがオープンして1ヵ月。オープニングで3人の死者を出すという不吉な出だしではあったが、以降は順調だった。
マップは一応の最下層である表の地下5階まで完成。
ドロップアイテムも初心者対象にしてはちょっぴり美味しいダンジョンとしてそこそこの冒険者が来ている。
季節は春なので、異世界サバイバルキットを活用する。
「お願いします」
「了解。農耕スキルLv.1、耕地創造」
俺の合図と共に嫁さんだけど男性ダークエルフのサラがスキルを発動させて持っている鍬を振り下ろす。
硬い地面が豆腐を崩すように均されていく。凄いな。確かLv.7まで取ってるんだっけ・・・
畑に種を撒くのはバターナッツカボチャという品種のカボチャ。
あと、耕した土の一部をバケツに入れて水を張り、五日前から芽だしさせていた稲の苗も植える。
品種は五百万石。2001年に山田錦に作付面積を追い抜かれるまで主流だった酒米。
五百万石のほうは来年の種籾用なのでバケツで育てる。
それと練習用として嫁さんがワ国で仕入れてきた稲の苗も植える。品種は不明。
こちらは一反。大人1人が米を1年間消費量する量、一石が収穫できる面積分だ。
麦は種が比較的簡単に手に入るので、手持ちの奴は暫くアイテムボックスの肥やしだ。
「ユウさん。サラさん」
ハーフダークエルフで、元の世界でも娘の八恵が声を掛けてくる。
中身は空だが大きなリュックを背負って見た目は長期の旅装姿である。
「もう出発か」
「はい」
「スキル習得、頑張るのよ」
俺もサラも返事を返す。
そう。ダンジョンアタックをして痛感したのが、八恵のスキルの少なさである。
俺と嫁さんだと教えられるスキルに偏りが出てしまう。
なので短期間ではあるが
出来れば足りてない斥候や回復系のスキルを習得して欲しいんだけどなぁ・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます