第30話SIDE第三者 ルーキー狩りルーキー狩られ その2
『マスター。ダンジョン内に高レベルの不審者が侵入しました』
宿屋の基礎工事を行っていた俺にダンジョンコアからの念話が入って来た。
ダンジョンコアが侵入者に気付いたのは嫁さんからコピーした
不審者が高レベルなのは俺からコピーした鑑定Lv.3のお陰らしい。
・・・
・・
・
三者視点
「本当に初心者というか生まれたばかりのダンジョンなんですね」
地図の右上にはBF3と書き殴られており、その下にはモンスター:スライム、ゴブリン、スケルトン。更に下に入手:銅貨、鉄貨、ナイフという書き込み。
このダンジョンの情報である。
生まれたばかりのダンジョンなのでこの手の情報に冒険者ギルドから金がでるのだ。
「開けてくれ」
スキンヘッドのマッチョで人の戦士阿蔵とその双子の弟で吽蔵が鏡に映したような動作で人の僧侶亜紀の顔を見る。
亜紀は小さく頷くと目の前の扉を開ける。
扉の向こうにはウルフが2頭。棍棒を持った
これは悪堕ちならぬ魔物堕ちした
「マムさんスケルトンメイジを」
「はいな」
亜紀の指示にすかさずエルフの女弓士マムが弓を構えスケルトンを射る。
本来スケルトンに弓矢の攻撃は効果がない。
しかしマムの放った矢の鏃の形は衝撃を与えることを目的とした茄子型だ。
ガスンという音とともに矢が命中しスケルトンがバラバラになるが・・・
テープを巻き戻すように元のスケルトンへと組み上がっていく。
スケルトン系は一撃で倒さないと死なない不死の魔物だ。
しかし完全な不意はつけた。
「
亜紀がスケルトンに向かって呪文を放つ。
スケルトンを淡い光が包む。
「・・・」
スケルトンが何かを叫ぶが聞こえない。
亜紀の
「おりゃあ」
阿蔵と吽蔵がウルフに向かって剣を振り下ろす。
切るというよりは剣の重さで叩き潰す一撃。
ウルフが悲鳴を上げて叩き潰される。
「夜の帳に抗う事なかれ。
ミケが呪文を唱えながら杖を振ると
阿蔵と吽蔵の兄弟が左右から
「スケルトンは一撃で仕留めないとね。
亜紀は手に持っていた
バカンと鈍い音が鳴り響き、スケルトンの頭が粉々になって吹っ飛ぶ。
「なにこれ?杖じゃないよ細いだけの棍棒だよ」
ミケがスケルトンが落として残した棒を振りながら悲しそうな顔をする。
「じゃああれは魔法使いの姿をしたただのスケルトンって、おいあれ宝箱か」
阿蔵が指さした先に、ボロい木製ではあるが確かに箱が置いてあった。
「地下3階で箱ドロップか」
マサキは羊皮紙に箱と書き記すと小躍りしながら箱に近づく。
ベルトに引っ掛けているポーチから布に包んだものを取り出し床で広げる。出てきたのは
まず箱の蓋の継ぎ目に沿って薄い金属板を這わせる。
「仕掛け・・・あり」
金属板に抵抗があるのを感じたマサキは一度金属板を引き抜き、最初に金属板を差し込んだ所から逆の方向に金属板を這わせる。
「抵抗はひとつか」
ぐるりと箱の蓋の継ぎ目に沿って金属板を動かし、蝶番以外には抵抗がひとつしかないのを確認したマサキは抵抗のあったところに金属板を差し込む。
「箱の上と下に糸が張ってあって、箱を開けて糸が切れたのを引き金に何かが飛び出す系」
「階層は浅いし毒針か礫かな」
亜紀の推理にマサキは頷く。
「じゃあ蓋閉めたまま糸切るよ」
箱に耳を当て差し込んだ金属板を強く滑らせ糸を切る。
パーティの神経が箱に集中したまさにその瞬間、パーティの一番後ろにいたミケの影から不自然な影が伸び出して一人の陰になる。
影はそのまま部屋の光の届かない影に移動するとそのまま動かなくなる。
・
・・
・・・
「ハイド・イン・シャドウ。紛れ込んできたのは暗殺者系か」
ダンジョンコアが見せてくれた映像と高レベルの不審者の行使していたスキルから俺はそうあたりをつける。
確かワ国からこの地にやってきた人間がシノビという職業とそのスキルを伝えていたはずだ。
厄介なことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます