第29話SIDEサラ ルーキー狩りルーキー狩られ その1
王都ギルドにクエスト申請を行った次の日の朝6時。
王都ギルドからギルド水晶にダンジョン探索の
「受注者は昼過ぎに到着する予定で、来た人数と編成次第ではわたしやファミリーも探索メンバーに入ります」
「そうでない場合の予定はどうなっていますか?」
「冒険者用の宿泊施設の建設かな」
冒険者用の宿泊施設は、最初ギルドの2階を予定していたのだが、話し合いの結果ギルド職員の住居及び作業スペースとなった。
そのためギルド館に隣接する形で、建物だけでも早急に建てる必要が出てきたのだ。
「建設って」
「ガワだけならスキルで半日ですよ。あ、商業ギルドには密告しないでくださいね」
尋ねておきながら顔が埴輪みたいになっているブルムさんに釘を刺す。
「宿泊施設を、建物を増設するなら酒場と浴場が欲しいです」
嫁さんが異世界モノ鉄板の提案をしてくる。水源は近いからまあいいけど。
「欲情って破廉恥な施設を」
ブルムさん少し黙っておこうか。
どうやら風呂の概念はあっても大勢の人が入る銭湯の概念はないらしい。異世界転移者が伝えなかったか伝わったけど廃れたか。
まあいいか・・・俺も風呂は嫌いじゃないし。
昼になるまでギルド館の横に建てる別館の基礎造りに費やすことになった。
昼過ぎにギルド館にやって来たのは。
人の戦士が二人。
僧侶がどちらも白級冒険者で他は無色。
どうやらこのダンジョンでの新人冒険者の研修が目的らしい。
折角なので嫁と娘を入れて六人×2のパーティになってもらう。
「滞在予定は一日。復活の金がないときは即奴隷堕ちだから気を付けて。では良いダンジョン生活を」
パーティそれぞれのリーダにギルドカードを返す。手元にはダンジョンに入るメンバーの名前を書いたリスト。
現状で超が付くぐらいの初心者ダンジョンで気を付けても何もあったもんじゃないが、俺は同行しないので念押しだ。
サラ視点。
「無色級冒険者で弓士のサラ・メディチですよろしくお願いいたします。こちらは娘の」
「無色級冒険者で拳闘士見習いヤエ・メディチですよろしくお願いいたします」
わたしと八恵は頭を下げます。
もっとも頭を下げるという風習はないので頭を下げられた方は困惑するしかないようです。
「私はこのパーティのリーダーで女神リブーラを信仰する僧侶のカラといいます」
「よろしく」
わたしと八恵はカラと他3人と軽く握手を交わします。
ちなみにパーティメンバーは、リーダーの白と黒の八割れ
酷く痩せた黒髪黒眼の人の男魔法使いバスク。
モフモフ度が高すぎますけど・・・
「これ本当に初級ダンジョン?」
シバが感嘆の声を上げます。
初級ダンジョンは基本を体得する意味があるのか、通路に光源があることはない。講習会ではそう教えられました。
しかしこのダンジョンは地下1階なのに通路に等間隔に光源があります。
「最終的には中級ダンジョン以上に成長するかもしれませんね」
バスクが興味深そうに光源をチェックしながらつぶやいてます。
ごめんなさい。旦那の話によると現時点で面積だけなら20階層の中級ダンジョンに匹敵するそうです。
大人がほふく前進で通れる程度だけど、王都ギルドの地下まで通路が繋がっていると聞いたときは耳を疑いました。
王都ギルドの地下に玄室があって王都で出たゴミをそこに住むスライムとダンジョンが食べているそうです。
折れた武器、壊れた防具も投げ入れられていてダンジョンコアもご機嫌なのだといいます。
「居ますね」
バスクが扉越しに音を探った結果を告げます。
旦那の情報によると1階のモンスターはスケルトンかコボルトかゴブリン。
気配があるということはコボルトかゴブリンでしょうか。
「開けるぞ」
ガララが静かに扉を開ける。
遭遇したモンスターはコボルト。数は3頭。
ちなみに容姿は
人間とチンパンジーがDNAでは3%しか違わないとか言われてもピンとしませんでしたが、そういうことなのでしょう。
「はっ」
短弓で先頭にいたコボルトの鼻頭に矢を叩き込みます。
この世界に来て初めて人型のモンスターを討伐したときは数日嫌悪感で凹みましたが、いまでは平気です。
ダンジョンでの初戦闘は難なく終わり、ドロップしたのは青銅貨23枚。
出だしは順調と言っていいでしょう。
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