第23話ダンジョンコアとお店を造る

裏ダンジョン1階までの整備が終わるのと同時に俺のダンジョンマスターのレベルが3に上がった。


ダンジョンコアを産み出すための魔素核を産み出す作業は大変だった。

娘を産んでくれた嫁さんマジ偉大。いまなら鼻からスイカだって出せるよ。

魔素核を魔法陣に置き、ダンジョンコアを選択する。


魔素核は即座に魔法陣に溶けていき・・・


『ダンジョンコアを生成しました。ダンジョンナビゲーターをダンジョンコアに統合します』


あー何となくそうなるとは思ってたよ。やってることはダンジョンコアと変わらなかったし。


『ダンジョンコアのレベルが上がりました』


早いな。いや、ダンジョンナビゲーターが統合されてダンジョンコアがダンジョンナビゲーターのレベルを引き継いだと考えるべきかな。


『初期設定をお願いします』


なるほど・・・では


ダンジョンコアの名前はウブ。仮想人格は老執事。


適性レベル:表、初心者(Lv.1)から中級者(Lv.20)。裏、中級者(Lv.20)以上。


階層守護者、未設定。出現階裏ダンジョン5階以降。


アイテム出現:1階から6階。裏5階から裏1階まで。

アイテムドロップ率:1階10パーセント。以降最下層までドロップ率2パーセント上昇。

ドロップアイテム:薬草、硬貨、ポーション、武器、防具、道具。


宝箱ドロップ:3階から裏1階まで。

宝箱ドロップ率:3階1パーセント。以降最下層までドロップ率2パーセント上昇。

宝箱アイテム:硬貨袋、ポーション、武器、防具、道具、宝石。


出現モンスターの傾向;ダンジョンマスターの任意

自然発生モンスターの傾向;動物、亜人。


ダンジョンタイプ;石


この設定はいつでも変更できるらしい。

設定をいじれないものもあるが、レベルが上がれば変更できるようだ。実行。


 魔法陣から、白髪のオールバックにカイゼル髭。黒い燕尾服というこれぞ老執事というお約束な姿の老人が姿を現し、静かに頭を下げる。


「マスター。野良モンスターを引き入れるためにダンジョンの入り口を地上に接続してもよろしいでしょうか?」


もしかしなくてもウブか?


「当分は夜間のみ許可する。ダンジョン玄室と店の地下に繋がる通路の設定はどうする?」


『生体認証での移動制限が可能です。それとマスター。ダンジョンの宝箱用の宝石をご用意ください』


請け負ってくれたので丸投げする。

俺は宝石生成Lv.2で琥珀を新たに得た宝石生成Lv.3でオレンジやら青、緑色の方解石カルサイトの生成。

ポークと関平かんぺいさまから請け負った窯業セラミックスアーマ―造りに精を出すことにする。

ちなみに方解石カルサイトは色彩や透明度によって石灰石、大理石、偏光プリズムと呼ばれる貴石のことである。


店のディスプレイ用に琥珀や透明な方解石でネックレスでも作るか。


ダンジョンコアの配置から一週間。

建物の内装と店の陳列が終わったので王都に出向き、リフォームが完成した下宿の鍵をリフォーム業者から受けとると冒険者ギルドに向かう。

俺が貰う予定の土地を確定するために王都から派遣される土地調査士の肩書をもつ柴犬人ワードックのシロ氏と商業ギルドで俺担当(ということになった)根古ニャーさん。

その護衛を仕事クエストとして発注。

すぐさま曙という冒険者パーティが受注してくれたので、自分が発注した防具をを受け取るという建前で豚人オーク戦士ポークを加えたパーティでダンジョンそばの俺の工房に向かう。

本来なら行程半月の長旅だけど、俺が車輪の幅だけ岩石生成で道を均しているので、安く買い叩いたオンボロ馬車で10日もかからなかった。


「うわぁ」


護衛の面々が目の前の光景に口を大きく開けて唖然としている。シロ氏と根古ニャーさんは興味津々に建物を見ている。


「これ貴女が造ったのですか?それにこの壁、石ではありませんね」


シロ氏のひとつひとつの問いに俺は可能な限り答えていく。

そしてそれを横で聞いている根古ニャーさんの顔がどんどん悪徳商人みたいになっている。

考えていることが手に取るように判るぞ。


「では建物内へどうぞ」


そう言って全員を建物内に案内する。

今度は俺以外の面々が口を大きく開けて唖然としていた。

部屋の四隅と天井にあるライトの魔法を付与したキラキラ光る方解石の照明灯はやりすぎたかもしれない。

ライトの魔法の付与というのは光の魔石から光を取り出す魔法だ。

親指大の魔石でも1年間は生活に十分な光源を提供してくれる。もし光の魔石が無くなっても光の魔石を新しく取り替えるだけでいい。

ちなみにダンジョン内のダークゾーンはこの逆。闇の魔石で光エネルギーを奪うダークという闇魔法によって生み出される。

なお、付与された魔法は魔法消去の魔法では消えないそうだ。そんなものでいちいち消えていたら魔道具なんて生まれないよね。


「この鎧は、俺の発注した奴か?」


ポークが目を輝かせるので「はい。あとで最終調整しましょう」と答える。


「この盾は」


冒険者パーティ曙のポークと同じ大盾の戦士が尋ねるので「大理石で作った装飾品だから防具としては」と返す。

実際防具としては重いだけの見掛け倒しだからね。


窯業セラミックスの鏃とかできますか?」


弓士の少年が尋ねるので「やってみましょう」と答える。

弓士にとって鏃は半消耗品である。威力に重きを置くなら鉄製を使いたいがコストが馬鹿にならない。

窯業セラミックスのもつ硬さとコストの低さは検討するに値するのだろう。


「このペンダント買います」


女性冒険者がペンダントに手を伸ばす。


「はい、お買い上げありがとうございます」


営業スマイル全開!


「個人的には工期が知りたいですが、はい。ユウ様の土地と建物は認定させていただきました。池という水場もありよい物件ですね」


シロ氏が頷きながら褒める。


「ありがとうございます」


「ユウさん。この照明灯売りましょう。いえ、まずギルドに売ってください」


根古ニャーさんが割り込む。


「はぁ検討します」


店のオープン早々、良い取引が出来たようだ・・・


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