第21話ダンジョンに帰る

王都に来てから10日。


俺は宗倉しゅうそうさまの屋敷に来ていた。

贈り物予定の窯業セラミックスアーマ―の採寸と今後の予定の打ち合わせ、王都を離れる挨拶のためだ。


「では宗倉しゅうそうさま。土地の件改めてよろしくお願いします」


「任されよ。そして鎧の件をよろしくお願いいたしますよ」


俺は宗倉しゅうそうとガッチリ握手する。


大規模討伐依頼グランドクエストの事の顛末だが、大規模討伐依頼グランドクエスト終了後の打ち上げの場で、予想通りというか滅茶苦茶勧誘された。

ただイケメンさんに口説かれても心が躍るはずもなく冷静にお断りすることが出来た。

魅惑のスキル持ちとかに勧誘されたときは少しヤバかったが・・・

そして、大規模討伐依頼グランドクエストの受け取りに行ったところ最高殊勲者MVPとして認定されていることが判明。


報酬として望みの物を聞かれたので、ダメもとで俺が拠点にしている王都から南に半日行った所にある土地を買う権利を要求した。

すると宗倉しゅうそうさまの口利きもあってアッサリ認められた。

王都から半日の距離とはいえ、いまなお鬱蒼とした森の中なのと窯業セラミックスの防具を作るのにいい材料が採掘できるという理屈を、鉱夫Lv.5のスキルを含めて上申したのも許可された理由である。

とりあえず住むための家を造成したあと国都から土地認定の役人に来てもらい確定させる予定だ。


ちなみにクエストで依頼していた窯業セラミックスアーマ―の評価は3か月の試験期間を待たず豚人オークの冒険者ポークによって最低でもチョット良いが確定していた。


青級Bの冒険者である彼は、俺が提示した金貨3枚に加え大金貨3枚(青銅貨300万枚)を払って肩当て、胴鎧、脛当を追加で注文したのだ。


大規模討伐依頼グランドクエスト最高殊勲者MVPが造る青級Bの冒険者が即金払って買う防具というのはかなりの宣伝になった。


「お帰りなさいませ。我が主」


ダンジョンに戻ってきた俺をラージアント(クイーン)と10体ほどのラージアント(ワーカー)が平伏して出迎える。

思念ではなく人語を話している。

クイーンからダンジョン建設の進捗状況の説明を受ける。

まず表の地下五階ダンジョンは完成。表ダンジョンの地下五階にある通風孔を通じて繋がる裏ダンジョンは地下五階から地上に向けて地下三階までが完成。


また、表のダンジョン一階には複数のスライムが自然発生しているという。すごいなスライム。

あと現在地上と直通通路で繋がっている拠点の地下六階には、王都のギルド前へと続く道が完成。


支配下モンスターはクイーン1匹。ワーカー20匹。蛹5個。幼虫が8匹。卵が10個。

蛹がらはそろそろラージアント(ソルジャー)が孵るかもしれないという。

引き続き裏表のダンジョンの完成に尽力することを指示し、俺は召喚の間という魔素溜まりの上に立つ。


迷宮核ダンジョンコアが創りたいんだけどダメかな?」


迷宮核ダンジョンコアを造るは魔素核の濃度が足りません』


意外にもシステムは答えてくれた。何となく違和感を感じたのは気のせいだろうか?


「どのくらい貯めればいい?」


『3日です』


3日ねぇ・・・なら、新たに手に入れた宝石生成のレベルアップと新しいスキルを手に入れるか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る