第9話助けた人はお偉いさん(お約束)
スイカが爆ぜるような音がしてゴブリン二匹が爆散する。
オリジナルスキル(多分)散弾礫の戦闘での使用だが封印である。
まず素材が大穴か穴だらけでグレードダウン確定である。
つぎに確率によって魔物の体内にある魔石に石が当たって爆散。目も当てられない。
いや、循環させるなら爆散もアリか?
「ぎゃあ」
さらに一体のゴブリンが飛びかかってくる。
「ふん」
手に持った棍でゴブリンの横面を叩くと顎から上が爆ぜる。
弱いな。
「せい」
一番近いゴブリンの喉を突きそのまま最後のゴブリンの頭を上から叩き潰す。
「やりやがったな。野郎ども囲ってボコれ」
まずは・・・
右肩を前に突き出し、勢いよくダッシュ。
「猛虎極波道!」
別名旧ザ○タックル。通称ショルダータックル。
どぅ
派手な音と共に2人の盾を持った
ついでに真後ろにいた
すかさずしゃがんで右横にいた
『岩石生成Lv.7』
スキルを発動させるとたちまち岩がせり出し
「エアカッターLv.1」
左隣にいた
足首に致命的な裂創が出来るのを確認して素早くバック転でその場を退避。
すると今までいた所に槍が振り下ろされる。
良く訓練されてるな。
「はっ」
振り下ろされた槍が持ち上がるタイミングで俺は
二人が足を掬われ派手にこける。
すかさず立ち上がり最初に倒れた盾持ち二人の盾に隠れていない脇腹に蹴りを叩き込む。
「ぎやっ」
エルフの弓士が反撃に出たようだ。なら。
「さて、いざ尋常に勝負」
一気に蛮刀を構えている
躱す突く躱す突く躱す。
目標を変えて右肩、命中。
すかさず
「せい」
ギャン
甲高い音と共に蛮刀が根元からへし折れる。
「刑場で死ぬか、ここで死ぬか?」
俺は酷薄な笑いを浮かべて尋ねる。
「野盗ぐらいじゃ死刑にならねぇよ」
「そうか・・・なら逆恨みされてもあれだし俺の心の安寧のためここで死ね」
「まぁ」
言い訳をする前に
静かに引き抜くと
「助かりました。もう少し早く・・・というのは筋違いですね。あ、私の名前はアスカ・カルラといいます。チーム曙に所属しています」
エルフの弓士が馬車の上から降りてくる。
「ユウ・アクイ・メディチだ」
俺は自己紹介しつつざっと見回す。
続いて馬車から落ちた魔法使いと僧侶も姿を現す。
僧侶は倒れた戦士を見つけ慌てて戦士の方に走っていくが・・・あ、脈を取った・・・死んだのか?
僧侶は小さく頭を振ると腰のポーチから袋を取り出す。
死体袋、じゃないアイテムボックスの魔法道具版であるところのマジックバッグか。
「死体なら蘇生の可能性がありますから」
どうやら俺の顔が不思議そうな顔をしていたらしい。アスカが袋を取り出した理由を説明する。
「助かりましたぞ」
がちゃりと馬車の扉が開き、鹿のような角に艶やかで硬そうな顎鬚。額や喉といった急所や肩から手の甲にかけては硬そうな青くメタリックな鱗。
背中には大きな蝙蝠のような羽。ピシッとした英国執事のような濃紺の燕尾服に身を包んだトカゲ人が降りてくる。
確かリザードマン上位種のドラゴンバトラーだったかな。というかこの場にいる誰より強く見えるのだが。
「わたしは劉国の南方辺境伯、
宗倉は少し顔を動かし俺を見ると頭を下げる。
あ、この人、多分ほぼ目が見えてない。
で、上司は関翅といって南方辺境伯なんだ。
劉国ってことはこの劉国の領主は
となると例の文芸部の元部長の小説の世界よりは少し進んだ世界ということになるな。メモメモ。
「ユウ・アクイ・メディチだ、です」
「声の感じでは女性の方ですか。申し訳ない目を不自由しておりまして」
宗倉が差し出した手を握る。
「ユウさん。差し使いなければここから半日、助けて頂いたお礼も兼ねて王都まで護衛を依頼したいのですが・・・」
「ああ、解りました」
報酬を貰えると聞いて宗倉の提案を俺は即座に承諾した。
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