第8話お約束立てるか横で見てるか・・・
まず棍を地面に突き立てる。
出来た影にアナログ時計の短針を合わせ長針と短針の間の方向に向かって地面に線を書き込む。
心はいつも厨二な俺は異世界転移に備え常に身につけているものがいくつかある。
ネジ式のアナログ時計、 携帯用浄水器、メタルマッチ、ソーイングセットそして麦やコメの種籾にかぼちゃの種を少々。
アナログ時計はきちんとネジを巻いていれば止まることはないし時間を知る以上に太陽があれば方角を知ることが出来る。
携帯用浄水器、メタルマッチは魔法が使えなかったりしたときの道具。ソーイングセットは服の修繕はもとより酷い裂傷を縫うときのもの。
種は中長期的な物資だな。寒さや病害虫に強い品種だ。
種以外は災害時にも有用な小道具だと個人的には思っている。
今回、異世界転移で肉体は男から女になったが、身につけていたものは転移してもしっかりついてきていた。
鞄を持っていればもっと便利グッズを持ち込めたのだがなぁ・・・さて、とりあえず向かうのは東だな。
1時間歩くごとに石の杭を作っては打ち込み方角を確認しては東に進む。
一里塚という訳ではないが、この杭はいずれダンジョンに続く道をつくるときの目印になる予定だ。
キィキィ
不意に猿の鳴き声が聞こえてくる。
怒気を孕んでいるということは争っているな。
あれだ、たぶん
とりあえず近づいて戦況を眺める。
・・・
・・
・
森の中唯一開けた街道にいた。
襲撃側・・・ゴブリン×10。
防御側・・・冒険者らしい
襲撃側が馬車を囲い防御側は馬車を守って展開。
こてこての護衛クエだな。
だが、助太刀するほどの戦力差ではない。
馬車の上に弓士と魔法使いがいて位置的にも冒険者のほうがかなり有利。
ただ声はかけたほうがいいか?
「あーそこの人たち。手助けは必要かね?」
戦端が開かれるまさにその寸前に大きな声で両者に問いかける。
「なんだきさまは」
「なんだ敵の援軍か」
おう。どちらの側からも敵認定ですかって、大猪の毛皮を頭から被ったのがいきなり声を掛けてきたら警戒するか。
とりあえず大猪の毛皮の頭の部分だけ脱いで赤毛のショートカットに赤い猫のような瞳の若い人間という素顔をさらす
性別は体形は防具と毛皮で覆われてるから解らないだろうが、声で女だと思われていると思う。
冒険者は緊張感を若干緩め、
「助勢は不要」
「投石」
意外に頭がいいぞ。
どん
鈍い音と悲鳴が上がり魔法使いが馬車の上から落ちる。マジか。
と、慌てて僧侶が魔法使いの方に駆け寄る。というか背中見せたらダメだろ。
どかっ
僧侶と対峙していたゴブリンが僧侶の背中目掛けて突進する。
初手から
「ゴブリンども散れ」
戦士たちに半分ほど倒されてはいたがゴブリンたちは手際よく逃げる。
「盾構え。槍掲げ」
ヤバいな
「前進」
投石で弓士を牽制しながら
槍を上下に振りながら
あの
たちまち戦士ふたりが槍に打ち据えられて動きを鈍らせる。
馬車のうえの弓士も弓を射かけられないところまで距離を詰められている。
詰んだな。
「助けてください」
弓士が大声で叫ぶ。
助勢は不要なんだろとは言わない。俺としてもこんな隣人は中身が同郷でもノーセンキュウ―。
三ではない千だ・・・つまんねぇ。
「おいおい。女は傷があると価値が下がるだろ」
うん・・・
背中の恨に手をかけてゆっくり構える。
「ゴブリン。赤毛を牽制しろ。猿ども男をとっとと始末して囲め」
わらわらとゴブリンが寄ってくる。
がっ
俺は地面を蹴っ飛ばし雪と土を舞い上げる。
[
蹴り上げた雪と土を
バシャ
スイカが爆ぜるような音がしてゴブリン二匹が爆散する。
はいオリジナルスキル散弾礫の戦闘での使用を禁止します。はぁ・・・
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