第3話神に会った・・・しかも3人

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・・

・・

意識が戻た時、俺は真っ白な部屋の中にいた。少し離れたところに嫁さん。

もう少し離れたところにはくすんだ赤みの強い金髪ショートの長身でバスケのユニファームを着た女の子…そう俺たちの娘の八恵がいる。

あ、二人ともこちらに気付いたな。駆け寄ってくる。

うむ。しかしなんだ、猛烈に嫌な予感がする。

いわゆるラノベの異世界転移モノにとってもよくある召喚のシチュエーションぽい。

案の定、目の前にキラキラと光を纏った3人の・・・3人?多くない?


一人は幼さが残る顔に蒼い大きな瞳にショートカットのピンクの髪。

身長は150㎝前後で上から90・52・92。いわゆるけしからんちびっ子。

俺たち夫婦の前にいる。


一人は身長が約2メートル近くある筋骨隆々のガタイのいい4本腕のサーベルタイガーのような獣人。

嫁さんの前にいる。


一人は中肉中背のバランスのとれた銀髪のイケメン。

八恵の前にいる。


「チュウカナの世界へようこそ。地球の人たちよ」


3人の声が同時にハモる。

ああ、やっぱりそうか。そして多分ついていけてないのは娘の八恵だけ…

しかしチュウカナの世界ってラノベ作家先生の小説の世界とまったく同じ名前じゃないか。

ということはこの目の前のお嬢さんが女神リブーラ。あっちの獣人が鍛冶神の蚩尤。

であのイケメン兄さんがこの世界で最初の人間で月神アリグナク。

確か設定では、チュウカナの世界で次の主神の座を巡って世界を駒にゲームをしているライバルだったハズ。


「悠・阿久井・メディチさん。あなたは我が世界のダンジョンマスターのひとりに選ばれました」


「はぁ?」


「お代はあなた達を含めたあの学校にいた全員の命です」


女神リブーラが爆弾を落とす。

彼女が言うには、あの時の地震のエネルギーを使って阿久井たちを召喚。

その結果として学校の損害は軽微なもので済み、いま学校は避難所として活動しているらしい。


「ちょっと待って。向こうの世界で私たちはどうなってるの?」


八恵が良いことを聞いてくれた。確かにそうである。


「普通に生活してるよ。ここにいる貴方たちは解り易く言うなら夢意識かな」


イケメン兄さん月神アリグナクが笑いながら説明を続ける。

どうやら無ではなく夢。寝ているときに夢を見るのも心臓が動いたり呼吸したり寝言をいうのもこの夢意識が理由なのだという。


ではなぜこのようなややこしい事をしているのか?というと、地球で活用されてない魔素を地球にいる俺たちを媒介にして俺を通じて取り込むのが目的らしい。

なんでもいまチュウカナ世界では大量の魔石がとあるダンジョンに死蔵されていることで魔素の循環が滞っている。

魔素の循環が滞っているということは魔物の発生が滞って魔物の発生が滞ると魔石の産出が減って魔石に頼って生活しているチュウカナ大陸の人々が困る。

俺をダンジョンマスターに据えて魔素と魔物の産出を行って欲しいらしい。


「サラと八恵を一緒に召喚したのは?」


「それはの。とあるダンジョンに死蔵されている魔石の解放…まぁ冒険者になってそのダンジョンを攻略して欲しいのじゃ」


筋骨隆々のガタイのいい4本腕のサーベルタイガーのような獣神蚩尤が説明を引き継ぐ。


「ちょっと待ってくれ。ダンジョン攻略なら俺のほうが」


「んーそれがな…お前たちのチュウカナ世界での姿がな」


蚩尤は苦笑いしながら指を鳴らす。

するとぼんやりとした光に包まれ、俺たちの姿は…


「サーバーに作っていたやつか!」


そう。俺たちの姿はVR世界用にキャラクターエディターで作っていたキャラクターになっていた。

つまり設定通りだとするなら現状では確かに俺では役に立たない。

鍛える必要がある。


「あと申し訳ありませんが、三人は加護の関係上それぞれバラバラの地に飛ばされます。ではよい異世界ライフを」


女神リーブラは極上の笑顔をもって俺たちを送り出した。

ちょおぉとマテや!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る