最終章 君が泣いた日 #3

時は流れ、龍馬りょうまと会う時間が増え、私の表情はどんどん取り戻していった。


表情を取り戻している過程でわかったことがあった。


それは自分に大きく影響していないと表情は取り戻せないことだった。


「泣ける映画」で有名な映画を昨日、龍馬と観たわけなのだが、私の表情は取り戻せなかった。


初めての失敗だったので龍馬はショックを受けたようですぐに彼の部屋に戻って行ってしまった。


--------------------


1月1日


新しい年が始まったが彼は私の病室に来ない。


どうやらもう退院が出来るらしい。


退院準備などで忙しいらしく、ここ2日ほどは会っていない。


ただ、リハビリは今まで通り行うようで、退院して一段落ついたらまた会えるようだ。




ついに残る表情は「泣く」だけとなった。


どのように私を「泣かせて」くれるのだろうか と不安ではあるが内心、ワクワクしていた。


「明日のお昼ぐらいには来るかな。」


私の独り言は静かな病室に響き渡った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る