4章 あなたに会えて #5

すごく視線を感じる。


気のせいかなと思っていたが、なんとなく辺りを見渡す。


テレビを見ている人達。


特にこちらを向いていない。


イスに座っている人達。


お互い楽しそうに話していて、全くこちらを向かない。


通路にいる人達も見回してみたが......いた。


明らかにこちらを見ていて目が合った途端、去っていった車椅子に乗った男の子。


でも去って行くタイミングが少し速かったから もしかしたらがたまたまタイミングが悪く、 犯人扱いしてしまったのかわからないが、気になっていた視線は感じなくなった。


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翌日


今日はふれあい広場での昨日の出来事の犯人を明らかにしようとやってきた。


昨日と同じように窓の外を向いて。


.....キタッ!


同じように視線を感じたので振り返ってみるとやはりまたあの少年だった。


声をかけようと足を踏み出した瞬間、あの少年の方が早く動いてしまった。


また行ってしまうのか。


そう思っていると、なぜか昨日とは反対の方向に進んだ。


向こうにはコンビニとリハビリ室がある。


目で彼を追っていくとリハビリ室に入っていった。


リハビリだったら仕方ないかと追うのをあきらめ、出てきたところで突撃すればいいかという考えにいたった。


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1時間程した頃だろうか。


彼が出てきた。


よし。


私が立ち上がり彼の方を見ると目が合った。


気にせず去ろうとするのでずんずんと迫って行く。


口を開こうとしたその瞬間、どこでつまずいたのか自分でもわからないが、私は盛大にコケたのだった。



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