2章 作戦会議・作戦開始 #2

僕の目の前にいる少女、美咲みさは表情を失ったと言っていた。


だが、今笑っているではないか。


クスクスと小動物のように可愛かわいらしく笑っている。


ふと、優香ゆうか先生の方を見ると、あんじょう驚いた顔をしていた。


それから、急に座っていた椅子から立った優香先生は病室のドアを開けて出て行ってしまった。


『笑えないと言っていた彼女が笑っている。』


なぜ どうして


というより僕は彼女が笑うことが出来てよかったという嬉しさの方が大きかった。


「え、どうしたの、龍馬りょうま君?そんなきょとんとしちゃって(笑)」


...普通に笑っている


「美咲、ちゃんと笑えるようになってるよ。」


「え? ...わ!ほんとだ!!」


病室内の大きな鏡で自分の笑顔を確認した美咲は本当に嬉しそうだった。


「私、笑えてる!やった!!龍馬りょうまのおかげかな!」


再び、ドアの開く音が聞こえると、医院長のかつら先生が入ってきた。


「おぉ、こ、これはなんたる奇跡...。」


────────────────────



美咲から詳しい経緯を聞いたり、表情が全て戻ったのかどうかを確かめるため、僕は一旦、僕の病室に帰らされた。



病室に戻った僕はとりあえず今日、教わったリハビリを自分でやってみた。


なかなか一人ではうまくいかないものだ。


すぐに疲れが出てきて、ベッドに腰かけた。


ふと、さっきの美咲との一連の流れを振り返っていると、かつら先生が入ってきた。


「どうやら岡田さん。あなたとお話をしている最中に、表情が戻ったということらしいですよ。」


「はい、僕も美咲から『表情を失った』って聞いていたから、驚きました。」


「ふむ....。 岡田さん、あなたにやっていただきたいことがあるのですがよろしいですかね?」


この流れでだいたいはさっしが付く。


「あなたに、長谷川はせがわさんの表情を取り戻していただきたい。」


僕は二つ返事で引き受けた。

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