2章 作戦会議・作戦開始 #3

かつら先生が出ていった後、もう一度

美咲みさの病室に戻ろうかと思ったけど、明日もまたリハビリがあるし、今日はもう寝て明日にそなえようと思いベッドに入った。


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さっき、目をつむったばかりだと思ったらもう朝になっていた。


7時間分、時計はちゃんと進んでいるし、僕が疲れているのかな。


そう思いつつ体を起こし窓の外を見る。


風が少し強めに吹いていて葉っぱのない寒そうな木を揺らしている。


今年も、もうあとわずかだ。


今年は家族と年越しそばが食べられなそうだな。


今年の紅白歌合戦には誰が出るんだっけ。


そんなことをぼんやり考えていると、朝食をコンビニで買ってきた母さんが病室に入ってきた。


「今日はハムサンドウィッチにしようかなぁ~」


包み紙を開きサンドウィッチを口に頬張ほおばると、シャキシャキとしたレタスは、僕の口の中で演奏会を開いているようなほど、響いていた。


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エレベーターを降り、左に曲がりひたすら真っ直ぐ進む。


だいぶ慣れたものだ。


ふれあい広場では、いつも通り美咲が独りでいたけれど、僕の姿に気づいたのか、こちらの方に走ってきた。


「おはよう、龍馬りょうま君。これからリハビリ?」


「うん、終わったら美咲の病室に行ってもいいかい?」


「わかった、待ってる!」


そう言った美咲は、まばゆいほどの笑顔を僕に向けた。

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