第3話

ただの消しゴムだったら?一体どういう事なんだ。

どこからどうみたってただの消しゴムで、過去を消せるとは到底思えない。

「信じてないねうひひ。」

「当たり前だろ。信じられる訳がない。」

「実際に後で使ってみると良い。その前に使い方を教えてあげよう。」

半信半疑で僕はこの占い師の説明を聞いた。

「まず何も書いてない履歴書とペンそれからこの消しゴムを用意する。消したい過去をこの履歴書に書くのさ。あとは普通の消しゴムと変わらず消す。これだけで世界中の人の頭からこの過去の出来事が消える。まるで履歴を消していくようにね。ただ自分の頭からは消えない。そして、この消しゴムが使い終わったらもう消す事はできない。まぁ言ってしまえば記憶が消える以外に違う所はない。気をつけなきゃいけないのは一度消した記憶はもう元には戻らないという事だけ。慎重に使うと良いよ。うひひひ」

少し疑いつつもこの消しゴムを受け取った。

「別に信じてませんが、せっかく頂けるものなのでありがたくいただきます。」

「そうすると良い。使ってみたら信じるさ。さてもうこんな時間お店を閉めようかね。お兄さんも早くそれを試したいだろう?ひひひ」

「は、はぁ。ではすみません失礼いたします。あ、お代本当に良いんですか?」

「あたしゃ一度言ったことはきちんと守るさ。最初に言った通りお代はいらないよ。」

「ありがとうございます。では。」

こうして僕はまた家に向かって歩き始めた。

「さぁてあのお兄さんはどうやってこの消しゴムを使うのかねぇうひひひ。これからが楽しみだ。」

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