第2話
何のザワつきだったのか
何があったのか
聞こうにも聞けなかった
分娩室から陣痛室で待つことになり自力で歩いたが痛さで思うように歩けない
やっとベッドに着いて誰かが来るのを待つ
カーテンが開いたが父親だった
母は立ち会いだったのでずっと横にいた
お疲れ、どうだった?と父が尋ねてきて何時間か前の、陣痛の痛さで踠いていた話しをしながら笑っていた
何分かして助産婦さんがお疲れ様でした。今拭いててもう少しだから待っててね、と優しく笑う
さっきのザワつきは勘違いだったのだと安堵した
早く会いたがってる両親、すぐに連絡をくれた姉、まだ返事を返してない友達や親戚のおめでとうメール
写真と一緒に送ろうと考えているうちに看護師さんが少し赤ちゃんのお話しいいですか?と言いに来た
はい、と返事をし赤ちゃんを抱っこした助産師さんと専門の先生がいなかったため外来の先生が来る
「頭の皮膚がおそらく完成せずにこういう状態です」
と先生が赤ちゃんの頭を見せる
看護師さんの笑顔で安堵したのも束の間だった
皮膚があるはずの頭が酷く転んだような傷になっている
火傷したかのように赤く化膿もしているのか皮膚が乾いていない
皮膚が覆っていないのだ
何も言葉が出なかった
「皮膚欠損だと思いますが詳しく調べて見ないとわかりませんがここまで広範囲なケースは稀です、」と淡々と言う先生の言葉が耳に入ってこない
目に見えている現状からあのザワつきを理解した
だが現状の理解は出来なかった
何がどうなっているのか、皮膚はどうなっているのかそもそも治るものなのか。
溢れそうな涙を零さないのに必死だった
両親も言葉が出ていない
治るのか、と一言最初に聞いたのは父だった
「いや、治らないです。私はこういう人を見るのは初めてじゃないですけどここまで広範囲で酷いのを見たのは初めてです
何なのかは私は専門じゃないのでわかりませんが難しいと思いますよ、専門じゃないので伝えるだけであとは何も言えませんがこれからのことは色々と調べてからになると思います。」とキッパリ告げられた
先生の言葉に両親の表情が怒りの顔で歪む
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