優しい河のさきには

@junanana17

第1話



、、、んあーっんぎゃーっ


そのときなき声とともに新しい命が誕生した


午後2時38分

力強い声が部屋中に響き渡る

直ぐに赤ちゃんを見せてくれた

普通はそこでとてつもない感動があるのだろうが産後の疲労が限界を超えていたのか、息を一つ吐きぁあ。と一言しか声が出なかった


今思えば安堵の声だったのだろう


今日この時に母になるのだ、という責任感と不安と母親という自覚を突きつけられた気がした

それとともに自分がなにか変わったような今までの自分が遠くに行ってしまって二度と戻って来ないような当たり前の様でそうでない、なんだか少し切ない気持ちになったのはこれから支えていかなければいけない対象ができたからなのか


その後直ぐに胎盤をとったのだがそれがなんとも言えない、本当に第二の出産かのような感覚だった。

その前にへその緒を切ったのだが短かったらしく切るのに足りないからと下がるよう言われそのまま言われた通り下がったのは言うまでもない

だが、そのとき自分の中で納得した

いつも検診に行く度に身体には全く影響は無いが赤ちゃんの体重が下のラインギリギリだと言われていたのだ

へその緒が短い為に栄養がしっかりと行き届く事が出来なかったのかもしれない、と


だとしても、小さい、ただそれだけのこと。

生まれてくる赤ちゃんが健康で身体にも問題が無ければそれでいいのだ


赤ちゃんを綺麗にしてもらってるあいだ色々なことを考えていた

今日からこの子と生活をしていくんだな

あ、生まれたってみんなに連絡しないとなあとかそんなことを

すると突然部屋の中がザワつき出したのだ

ザワついたのはほんの一瞬だった

何があったのかはわからないが何かあったのだと確信した。

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