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「愛華?」

「……え?」



ふと名前を呼ばれて我に返る。


知らぬ間に幼少期の思い出にぼんやり浸っていたらしく、そんな私の顔を幼馴染が不思議そうに眺めていた。




軽く筋肉痛状態の太腿を庇いながらベッドに腰掛けた私は、「ごめんごめん、何でもないよー」と言って顔の前で手を振る。


すると彼は、ツリ目・・・がちな目をぐっと細め「ならいいけど」と呟きながら勉強机の前の回転椅子に腰掛けた。





リク・・ちゃん」

私がそう呼ぶと、彼は自身の真っ黒な髪を左手でくしゃっと乱し、「…なに」とぶっきらぼうに答える。


「呼んだだけ」と舌を出すと、「意味わかんね」と答えてまた彼はくしゃくしゃと髪を乱した。




その様子を見て、私は、彼とソラちゃんの態度に差を感じた。




ソラちゃんなら、今のやり取りに無邪気な笑顔を浮かべては今度は仕返しにとこちらにちょっかいを出してくるだろう。


一方彼は、こういった冗談に慣れていないのか照れくさいのか、昔からちっとも変わらない『癖』をちらちらと見え隠れさせている。





ぱっと見、ソラちゃんと彼はそっくりさんだ。

遠巻きに見たら、私ですら判断に時間がかかるかもしれない。



けれど、蓋を開けてみれば、その内面は似ても似つかない。





彼、リクちゃんこと朝倉陸斗りくと



大切な私の幼馴染であり、





また、ソラちゃんの双子の兄だ__

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