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「あー、幼馴染ね!」

通学路で私は思わず声を上げた。



「うーん。確かにうちとなちゅは保育園からずっと一緒やけど、大ちゃん嘉宮大貴とは小3からの付き合いやしなぁ」と美音。



続けて「え、ギリ幼馴染やろ」と嘉宮くん。




私の隣には自転車を引いて歩くソラちゃん。そして私達の後ろには美音、なっちゃん、嘉宮くんの3人。2人きりどころか結構な大人数(5人)でぞろぞろと学校を出て、私達は駅に向かって歩いていた。




学校から自転車で20分程の距離に家がある私とソラちゃんに比べ、美音達3人は片道約1時間は所要する遠方組。


学校から駅まで徒歩20分程、そこからは30分程電車に揺られ(家からの)最寄り駅に到着、(とはいえ結構な距離があるので)更に車で15分か自転車で30分程かけてようやく帰宅、というハードな道のりらしい。




帰宅する方法は3人とも同じなので、去年もよく揃って下校していたんだそう。




それを知らなかった私は、美音と嘉宮くんが下校の約束をつけているのを〝2人きりで〟というニュアンスで捉えてしまい、結果予想外の今この状況に内心驚いていた。



もし本当に2人きりだったら、からかい甲斐があったのになぁ。なんて、美音が私とソラちゃんの仲を茶化している時みたいなことを考える。





ちらっと様子を確認してみると、私の考えを察してか美音があからさまに不服そうな顔をしていた。



恋愛沙汰と思われるのが嫌だったのだろうか、美音は「マジなんもないから」と私に耳打ちした。



ついでに言うと、その後私は、嘉宮くんが一瞬悲しげに目を伏せたのをばっちり捉えてしまった。それにどんな真意があっただろうか、本人に聞かなければ到底分かるはずもないだろうが。



「なぁ美音ー。別に幼馴染でよくね?」

「そんな要素ない」

「じゃあせめて友達…」

「他人」

「えぇっ他人ってここまで仲良くせんくね!?」



美音に軽くあしらわれる嘉宮くん。そんな2人の掛け合いに、なっちゃんは慣れた様子でため息をついた。だが心做しか少し微笑んでいるようにも見える。





「いつもこんな感じだから気にしないでね」と別れ際に告げたなっちゃんは、美音と嘉宮くんを一旦落ち着かせてから無人駅の改札へ。3人が改札を抜けるのを見送ってから私はソラちゃんの自転車の荷台に跨った。

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