私は少年と (旧 Arashino Yoruno Shounen)

@yoshipTp

Arashino Yoruno Shounen

 それは嵐の夜のことだった。


 コンコン。

おや、誰かがやってきたようだ。

こんな夜遅くにどうしたのだろうか。


飲んでいたスープを机に置き、客人を迎えにいった。


ガチャリ。

ヒュゴー、ヒュゴーと風が鳴る。

 そこに少年は立っていた。


燃えるような紅い目、快晴の空のような水色の目。

冬の雪のような白髪(しらかみ)と銀髪が混じったぼさぼさの髪。

体に巻き付けている布の間からは、健康的な肌色が。

しかし、火傷の痕が腹を横切る。


切れた唇の間からは、ヒューヒューと音が漏れる。


細い腕を見ると、鳥肌がたっていた。

これは、かなりまずい状況だろう。

「さぁ中へ」

と、暖炉に新しく薪をくべながら少年を招き入れる。

「Ojamashimasu Totuzensumimasen」

言っている言語は変わらないのだろうが、どこか違う言語に聞こえる。


少年を暖炉の前に座らせる。


本棚から一冊を抜き出す。

少年に手渡す。

暇つぶしになるだろう。


ゆり椅子に座り、本を読む。

「Dewa Watashiwa Nesaseteitadakimasune」

「おう、おやすみ」

見知らぬ少年を、家に上げて寝かせてしまう。

ま、困ったときはお互い様だし。

 

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