第6話

Mirage-6


am.2:00


気が付くと…俺はソファで眠っていた


ここは?

そうだ、あの人の…

まだ名前も聞いてなかった


静まり返った奥の部屋を覗くと寝息をたてて眠る彼女

長い睫毛、鼻筋の通った鼻、頬にかかった髪をそっとよけた


「んー?」

ゆっくり目を開いた彼女は驚いて起き上がった


「どうしたの?」


「ククク、そんなびっくりすんなよ

俺がここにいること忘れてた?」


首を横に振る


「ごめん、俺、寝ちゃってたね」


「謝らなくても…。疲れてたのよ。レセプションで気を張って、結構飲んじゃったしね」


優しく微笑む彼女をベッドに腰かけて抱きしめた


「ねぇ、名前…聞いてなかった」


「ほんとだっ、年、聞いたのにね(笑)」


「うん」


「…沙織…あなたは?」


彼は答える前に私の顎に手を添え唇を重ねた

チュッと音をたてて離れたと同時にゆっくり押し倒されこめかみを指でなぞりながら低い声で言った


「弘人」


「ひろ…と?」


「そっ」


再び、塞がれた唇

息をする間もない程に何度も続くkiss

絡み合う舌に身体が熱くなる




もう駆け引きなんて言葉はいらない

何も持たず

何も考えず

ただ、感じ合うだけ

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