第2話

Mirage-2

二人で抜け出した夜の街

まるで、映画のような運命の出逢い…

とまではいかないが

さっき会ったばかりの彼女が何故か恋しく思えた


「こっちで住んでんの?」


「そうよ」


「いくつ?」


「ふふ、ナンパ?普通、いきなり女性に年齢聞く?」


「はぁ?何それ(笑)ってかもうついてきてんじゃん

じゃ、ないわ。連れてこられたか」


「やだっ、でも、そうね」


「32よ。あなたは?」


「30」



別に年なんてどうでも良かった

会話に困った時のお決まりパターン


やべっ、俺緊張してんのか?


「どこ行こっかぁ?」



振り向くと

細いヒールを鳴らしながら姿勢よく歩く彼女


やっぱ、キレイだ

俺はめーいっぱい冷静を装ってた


「そうねぇ」


「詳しいんでしょ?こっちにいるんだから」


「まぁねぇ、それよりさぁ、サングラス外せば?」


「うーん、後でな」


「なぁーに?すっごい有名人とか? 」


「っな訳ねぇじゃん」


私の方から声をかけた彼

サングラス越しに見える瞳がどこか昔好きだった人に似てた

だからかな、こんな風に男の人を誘ったのは初めてだった


きらびやかな照明が深夜になる頃には、色濃く、落ち着いた色に変わるシャンゼリゼをまだ名前も知らない二人が

50センチの距離を保ちながら歩いてた


お互いの歩く速さと心の動きを気にしながら…。


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