第5話最初の国と赤ん坊 1

俺は今、一面広がる金色の麦畑に一軒だけ立っている藁葺き屋根の家の前に立っている。


「ほんとに来ちゃったよ、、結局夢オチでしたって期待したんだけどな。そんなわけあるわけないよなぁ。はぁ、とりあえず、ここの主人がいてくれたらいんだけど。」


そう、俺こと間宮秋は前回タイムトラベルの魔法によって気持ち悪くなるほどぐるぐる回され、挙げ句の果てには金色の麦畑に落とされたのだ。

落ちたところがフカフカの土の上でよかった。尖った岩の上にでも落とされていたら怪我どころじゃ済まなかったぞ。

ふぅ。まぁそこはもういい。

そのあと、麦畑を掻き分けながら、二時間ぐらいは歩いたかな?やっと一つの家を見つけることができた。


いざ、知らぬ人の家に入ろうとするのはものすごく緊張するな。くそっもっとコミュ力あげとくべきだった。

って今更行っても仕方ないし。

、、、、行くしかない。


「すいません、どなたかいませんか?」

俺は扉を数回叩き、声をかけてみた。





反応がない。聞こえなかったのか?


「すいませーん!どなたかいますか!!」


さっきより大きな声で聞いてみたが

やはり反応はない。

「なんだよ留守かよ。」

俺は、そうぼやきながら、不意に扉を押してみた。無人の家のはずなのに、鍵がかかってなく扉が開いてしまった。


「えっ?開いちゃうの?もしかして、寝てるとかか?」

どうするか。ここで勝手に入ってもし寝ている人がいたとしよう。その住人が起きてしまい俺をみたらどう思うだろうか。確実に泥棒だと勘違いされるな。でも、この家を見送ると俺はもう他に家を探せる気がしない。

、、、背に腹は変えられん。


「すいませーん、お邪魔しまーす。」

俺は静かにお邪魔することにした。

日本の家のように玄関や廊下があるわけではなく。入るとそこはリビングのような部屋になっていた。部屋の正面奥と右側にしか扉はなく、計三部屋で出来ているらしい。こじんまりした家だ。


リビングには大きな丸いテーブルが中央に置かれており。椅子が二つある。二人家族ってことなのか?左側にはキッチンのようなものに、調味料だと思われる小さな瓶が並べられている。


ここには誰もいなかったので、仕方なく俺は次に右側の部屋に向かった。

扉を開け、俺の目に移ったのは、部屋の中央に置かれている。一つの乳母車だった。


俺はその乳母車に近づき中をのぞいてみた。


そこには純白の布に包まれて静かに眠っている、茶色い髪の赤ん坊がいた。


「うわぁ、かわいいなぁ。ちゃんと髪の毛生えているってことは、1歳、2歳ぐらいかな?」

赤ん坊のほっぺをつついてみた。

プニプニして気持ちいい。

赤ん坊を起こさないように気をつけながら触っていたが、少ししてあくびをしながら赤ん坊は起きてしまった。


あっやべ、起こしちゃった。泣いちゃったらどうしよう。

内心ヒヤヒヤしたが、赤ん坊は意外にも泣こうとせずしっかりこっちを見つめ、ニッコリ笑った。


「だぁー、だ。だぁあ、だぁーー」


かっ、、、かわいい、、!!!

可愛すぎる。

なんだこの生き物。かわいいにもほどがあるだろ!


俺は少しこの子と遊びたい思ってしまった。

もうこの時点で俺の頭の中に家主を探すという目的を忘れてしまっていた。


「いない、いない、、、バァ〜!」


赤ん坊はきゃっきゃと笑っている。


あぁ、ほんとにかわいいなぁ。

子供は目に入れても痛くないってこういうことなのかぁ。俺の子じゃないけど。


俺はいないいないバァや変顔して赤ちゃんを笑わせて遊んでいた。

遊んでいるうちに、俺はその赤ん坊になぞの違和感を感じ始めた。


どこがどうとか確信があるわけではないが、何か違和感を感じるのだ。


すこし、注意して赤ん坊を観察していると、赤ん坊が笑うたびに頭のてっぺんの髪の毛がフワッフワと揺れることに気づく


気になって、その部分を優しく触れてみた。

サラサラの髪の毛の下に何か硬い部分がある。軟骨みたいな硬さかな。

さっきより確かめるために少し強めに触れてみる。


赤ん坊はまだ遊んでもらってると感じてるのだろう。さっきより楽しそうに笑っている。


あれっ?やっぱりここだけなんか硬いし、動いてるよなぁ。


しかし、これ以上強く触ると赤ん坊には痛いだろうなと思い、手を離したら、まさかの出来事が起こった。


さっき触っていた部分の髪の毛が上に逆立っているのだ。

そして俺がそこにみたのは、、


「えっ耳、、、、?」

ピンっとたった犬の耳だった。





拝啓 故郷の家族たち


お元気ですか?

私があなたたちの時代からこの時代まで飛んでもう、三時間になるんですね。

どうにかあの気持ち悪いタイムトラベルをのりきったわたしですが、次は長い間、畑の中をあるかされました。

やっとの思いで見つけた家には家主はいなく、いたのは一人の赤ちゃんだけです。

赤ちゃんのあやしかたを教えて貰っておけばよかったと思いました。

しかし、そのあかちゃんには、犬の耳が付いていたのです。どうすればいいですか?



ps、えっ、、耳???




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