第4話ゴム鉄砲とレベル

はい、ゴム鉄砲でした。

どこからどう見てもゴム鉄砲です。

いやいや、こういうのってやっぱりチート能力お決まりでしょうが!

俺は失望したよ、間宮秋!

って自分で自分を卑下していないと、ショックでどうにかなりそうです。


「ふぉっ、、ふぉっふぉ、、、」


クソジジイがそっぽ向いて笑いをこらえてやがる。微妙に隠すんならいっそのこと笑えよ!より傷つくんだよ!


「ふぉふぉ、、バルーンバードたちよ、見て見るんじゃ、、ゴム鉄砲じゃ、、ゴム鉄砲じゃ、、」


心なしかあの丸い鳥たちバルーンバードの群れも俺を嘲笑ってるように見える。

ん?あいつ!哀れな目で見てきやがる!?やめろ!やめてくれ!やめてください!そんな目で見ないで!



「ふぉっ、、、ふぉーっふぉっふぉっふぉ」


くそじじい、とうとう隠そうともせずに笑いやがった。誰にも聞こえないだろうが俺にはしっかりと『ブチっ』と堪忍袋の尾が切れる音が聞こえた。


「これでもくらえぇっ!くそじじいぃ!!」

いい機会だ、このゴム鉄砲の力を確かめてやる。狙うはじじいの後頭部、案外見た目とは裏腹に火力が最高なんて話もよくあることだ。一度絶望させてから本当の姿を見せる!こいつはそういうツンデレ武器だ!きっとそうだ!!


「あたれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

俺は正面に構えたゴム鉄砲を片目をつぶり照準を合わせて勢いよく引き金を引いた。


パシュッと気の抜けた音とともに狙い通りじじいの後頭部に飛んで行く。


「ふぉっ?」

しかし、急にじじいが振り向いたことにより当初狙っていた後頭部ではなく、じじいの眉間に飛んで行く。しかも急なことにじじいは反応できてないぞ!目的の場所とは違うけど、ふっとべぇぇ!!


「うぉっ、、」


俺の見事なエイム力によりゴムは見事じじいの眉間にクリーンヒットした。

じじいは、急に飛んできたゴムにあたり少し驚いているみたいだ。

見た感じダメージは、、、ゼロだ。



「そんだけかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」

俺は地面に向かってゴム鉄砲を叩きつけた。

バシッとゴム鉄砲が地面に叩きつけられる音が響く。

少しでも期待した俺がバカだった。そらそうだよな、だってゴム鉄砲だもん。どこに力蓄えるところがあるんだよ。


体に力が入らなくなり、俺は膝をつき頭をたれる。

「じじいと言い争いながらも俺は選ばれたんだってすこし期待してたのに、結局こんなもんなのかよ、くそぉぉ」

なぜか涙が止まらない、俺は泣きながらブツブツ言っていると視界に見たことあるような丸い円系のものが見える。しかし、涙のせいでしっかりとそれがなんなのか認識できない。


俺はそれを確認するべく、袖で涙を拭ってしっかりとそれを視認する。

真実の扉だった。

そこにはこう書いてあった。


武器創造 lv1

創造できる武器

・ゴム鉄砲

どこにでもある木とゴムで作られたゴム鉄砲。ゴムに魔力が通っているが威力は弱い。


「武器創造lv1?創造できる武器?どういうことだ?」

正直わけわからん。ってかあれまじでゴム鉄砲だったんだ。

わけのわからない状況で思案していたら急にじじいに話しかけられた。


「つまりじゃ、その武器創造と呼ばれるスキルのレベルを上げていけば、自ずと作れる武器が増えて行くというわけじゃ」


そういうことなのか。lv1だから弱い武器しか出てこないってことなんだな。それでももう少しマシな武器は作れなかったのかって思うぞ。

でも、もう一つだけわからない点があるんだが


「レベル上げってどうやってするんだ?」

根本的な話だ、なんか流れと小説の知識でスルーしてたけど実際にはレベルってどうやってあげるんだ?

筋トレか?筋トレなのか?もしくは経験値的な青いバーがあるのか?お使いクエストとかで経験値もらえんのかな。これでも俺作業ゲー大好きだからな。やべっゲーム脳のせいでちょっとたのしくなってきた。

あと醍醐味って言ったらあれでしょ、あれ!


「魔物がいるぞ」


きたぁぁぁぁぁぁぁ!お約束!

やっと俺のテンプレ辞書に載ってるのがきたよ!


「じゃあその魔物倒したら、経験値がもらえるんだよな!!」

俺は多分今ドヤ顔だろう。嬉しくなって興奮してしまった。


「経験値?なんぞいそれは?」


えっ待ってくれ、俺のテンプレ辞書にはしっかり経験値と記されているんですけど。ちょっと待って、今ものすごいドヤ顔しちゃったんだけど、恥ずかしい。極限に恥ずかしい。穴があったらはいりたい!!!


「経験値がないんなら、どうやってレベル上げんだよ。」

悔し、恥ずかしから少し不躾な態度でじじいに問いただす。これで何度目の挫折だ、と心で数を数えながら。


「魔物を倒すとじゃな、真実の扉に魔物ごとに魂の数が加算されて行く。その魂を割り振ればレベルが上がるわけじゃ。自分のレベルに割り振れば、HP、MPなどのステイタスが魔法に割り振れば魔法の幅が広がるというわけじゃ。あぁお主のはスキルじゃったな、まぁ多分同じようにできるじゃろう。そしてわしらの時代のやつらはこの魂のことを『フード』と呼んでいる。あっちなみに『フード』は真実の扉に触れることで割り振れるぞ。」


なるほどな、経験値と言うよりはゲームでいうスキルポイント的な感じか、それを利用してレベルをあげて行けばいいのか。真実の扉は要するにスマホみたいに扱えるみたいだ。そうだな、とりあえずおれはこの雑魚武器からの脱却を図らなければならないなって、あれ?俺のゴム鉄砲はどこいった?


「ちょっじじい、俺のゴム鉄砲どこ行ったか知らないか?さっき地面に投げつけたはずなんだが。」

「多分じゃが、お主の手から離れて時間が経ったから自ずと消えたんじゃろ。お主がまたスキルを行使すれば出るはずじゃ。」


なんだ、いつでも取り出し可能ってわけか。あんなんでもないよりはましだからなぁ。


「それよりもじゃ。お主よ、曲がりなりにもあの武器はお主を守ってくれる大事な武器なんじゃぞ?疎かにするもんじゃない。どうせ、ないよりはましだとか考えておるんじゃろ。」


ばてれやがる。さすが七権威?とかいうやつなだけはあるな。まぁ確かにあれがないことには何にも始まらないからな。俺もいろいろあって心が荒んでたからあの武器をバカにしてしまったよ。ごめんな、ゴム鉄砲。


「あっそうだ!じじい、お前あのゴム鉄砲眉間にくらっただろ?一応、聞いときたいんだが、あれでどれくらいの魔物なら倒せるんだ?」

これは聞いとかなきゃ。とりあえず魔物を倒して、『フード』ってのでレベル上げせにゃならんのだから倒せるやつを片っ端から倒しておくためにも。


「あれで倒せる魔物か?そんなんおらんぞ。あんなんで倒せるほど楽な時代じゃないわい」


そう言い終わった後、なぜか「ふぉふぉ」っと笑うじじい。

はぁ?倒せる奴がいない?

やっぱクソ武器じゃねーかよ!!!


「じゃあどうすればいいんだ!?レベルあげれねーじゃん!!」

「慌てるでない、本当にお主はあわてんぼうじゃのう。なぜお主は魂が『フード』などと呼ばれているのか理解できるか?」


そんなの知るかよ。


「わかるかよ、じじい。」

「はぁ、少しは自分で考えるないとすぐにボケてくるぞ?」


お前には言われたくねぇよ、くそじじい


「まぁよい、なぜ『フード』と呼ばれるかというとじゃな、『フード』は具現化できるんじゃ。」

「うん、全然わけわかんねぇ」

「例えばじゃ、もしお主が豚の魔物を倒したとしよう、そしたら『フード』が手に入るな。それをそのままポイントとして割り振ればレベルが上がる。ここまではさっき教えた通りじゃ。理解できてるな?」

「あぁそこまでは大丈夫だ。」

「では、次じゃが、お主は豚の魔物を倒したわけじゃが、倒した豚の魔物の体がどうなっていると思う?」

「死体が転がってるんじゃねーのか?」

「いいや、答えは否じゃ。倒してしまった魔物は『フード』を取得することで光となって消滅してしまうんじゃ。こればっかりはどうしようも説明できないんじゃが、、、まぁ良い。次に『フード』の具現化じゃが。真実の扉を開き、フードに軽く触れると具現化するか否かの文字が浮かんでくる。それに答えれば豚の魔物の肉が手に入るというわけじゃ。」


「へぇーっでそれとレベル上げとなんの関係が?」

「お主まだわからんのか!?正真正銘の馬鹿なのか!?ここまで丁寧に説明してやったのに、、、。もう良い、最後まで言ってやるぞ。」


なぜかじじいにディスられた。

そんなんわかるわけねーだろ。

ってか回りくどい言い方せずに最後まで簡潔に話せ!!


「魔物の肉といってもこいつはもともと『フード』じゃ。この魔物の肉なりを食べたら『フード』と同じ役割になる。」


なるほどな、食べられるから『フード』っていうのか。思ったより安直な命名だな、おい。そんなことより、なぜここに来て英語なのかは伏せておこう。俺も大人だ。



ん?まてよ?俺は魔物が倒せないから『フード』を手に入れられない。じゃあ『フード』を具現化したやつを食べたらレベルがあげられる。

どうやって具現化する分の『フード』稼ぐんだ??


「おいじじい!どうやっ「どうせどうやって具現化するためのフードがないじゃないかとか思っておるんじゃろ。」て、、」


俺の問いはじじいに見透かされていた。

やれやれと言わんばかりで頭を振っているじじい。こいつほんとに一回しばかなくちゃいけない気がする。


「別にお前が稼ぐ必要はないんじゃよ」

「は?じゃあどうやって?」

「誰かの具現化した『フード』を貰えば良いんじゃ。町にはの、ギルドというものがある。そこにはクエストボードがあり、その報酬でもらうことができるんじゃ。まぁクエストといってもいろんなのがある。簡単なものから伝説級のもの。まぁとりあえず簡単なのからこなしていけばよかろう。」


そういうことか。要するに、お使いクエストだな。ほんとさっきからテンプレのようなのがちょいちょい出てくるならややこしい。


「あぁちなみに、『アルフェンス』には『フード』とは関係ない普通の食材もあるからの。騙されて普通の食材もらいましたなんてないよう気をつけるんじゃぞ。」

「あぁ大丈夫。ちゃんと気をつけるよ」


「これで全ての説明が終わったかの。珍しく人と話すんで長話してもうた。それでは今からお主には『アルフェンス』にいってもらうわけじゃが。最後に何か聞きたいことはあるか?」


大体は頭に入れて理解できたが、俺は一つだけ疑問に思っていたことがあった?


「いやだいじょうぶなんだけど、一ついいか?俺どうやってその時代に行くの?」


「そんなの決まっておるじゃろ。タイムトラベルじゃ」

「タイムトラベルゥゥゥゥ!?あれか!?車でものすごいスピード出して行くのか!?」

「な訳ないじゃろうが、そんなんで行けるもんか。当然わしの魔法で行くんじゃ。」

「、、、、お前ってマジですごいやつなのか?」


ここに来てマジでこのじじいすごいやつなのかもと思って来てしまった。


「最初から言ってるじゃろう。わしは七権威じゃ!!」

「いや、俺には七権威がなんなのかよくわかんねーんだよ!」

「もう良い!こんな無礼なやつもうこりごりじゃ。さっさと言って問題を収めてこい!」

「おいこのクソジジイ、それが人にものを頼む態度かよ!!」

「これは提案じゃ!ウィンウィンの関係なんじゃよ!!」

「うぐぬぅぅぅぅぅ」

「むぅぅぅぅぅぅぅ」


俺たちは最後になって言い争いながらにらみ合った。


「まぁいいよ、じじいと言い合っても拉致赤ねぇ。とりあえずパッと行ってちゃっちゃと済ましてくるよ。ほら、さっさとその魔法とやらやってくれ。」


俺はじじいから目を離して要件を言ってまたじじいを見直した。なぜだろうか、じじいの顔がさっきの睨み合っていたような顔ではなく優しく、そして悲しい顔をしていた。


「.........秋よ、お主にはこれからたくさん苦しいことがあるじゃろうよ。辛く、寂しく、全てを投げ出しなくなるほどのしかし大丈夫じゃ。お主はわしが選んだたった一人の英雄じゃ。頑張ってくれ。」

「なんだよ、じじい。こんな時だけ優しくなりやがって。ウィンウィンの関係なんだろ?じゃあ別に気にすることなんかじゃねーよ。そんなことより、俺がお前の目的果たしたらちゃんと家に帰らせろよな!」

「、、ふぉふぉっわかっておる。


じゃあお主に魔法をかけるぞ」


そういうと、じじいはなにやら言葉を発し、俺の足元に謎の文字と魔法陣のようなものが現れて光りだす。


「、、、秋よ、最後にもう一つだけじゃが。わしの名前はルークタム知を司る七権威の第三席じゃ。アルフェンスで会うこともあるじゃろうが、それはきっとまだ先のことになるじゃろう。困った時七権威を頼れ。きっと秋の助けになるじゃろう。



では、行ってくるのじゃ!また会おうぞ!」



じじいことルークタムの声が聞こえなくなりタイムトラベルが始まった。


えっちょっと待って。

ぐるぐる回って気持ち悪いんだけど。

「うっ、、、吐きそう」

こんなんで大丈夫だろうか、、、、





拝啓 親愛なる僕の家族へ

なんとか、ゴム鉄砲でもどうにかするための方法がわかりました。とうとう旅立ちの時です。きっと辛いことや悲しいことがたくさんでしょう。僕自身とても怖いです。でも心配しないでください。僕はきっとあなたたちの元へ帰ることを約束します。それまでどうか僕を忘れないでください。


ps 待って!とりあえずこのタイムトラベル止めてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

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