決して人の血を飲まないと誓った高貴で高潔なヴァンパイアを主人公に、生き残りをかけた戦いとその宿命を描いた硬派なダークファンタジー。私は一話目でその筆力に魅了されました。
この小説の魅力は、なんと言っても確かな筆力に裏打ちされた美しい表現でしょう。妖艶なる吸血鬼、ワクワクするようなファンタジー的設定(ヴァンパイアは近接戦闘に強いが魔法に弱い、というのは見事なバランス調整です)、真っ直ぐな友情に気高い騎士の忠誠心——世界観の構築からキャラクターの造形まで、細やかで美しい文章によって丁寧に描写されています。恐らく作者さんは、とても気を遣ってこの小説の世界を作り上げたのでしょう。
昔ながらの硬派で濃密なダークファンタジーが好きな方、おススメです!