61 決戦に向けて

「成長著しいとはこの事か。素晴らしいぞ、ダーシャ」


 ハナート山脈のふもと、パイエルの北西に広がる森の奥地。

 パイエルから遠征軍が出立することとなった日を翌日に控え、ヤーヒムとダーシャを含めた<ザヴジェルの刺剣>はこの地まで単独遠征に来ていた。


「もうかなり狩っただろう。そろそろ戻るとするか」


 どう、と横倒しになったデヴィルバイソンに緑白の魔剣で止めを刺し、満足そうに一行に問いかけるのは騎乗のアマーリエだ。

 うっすらと霧がたなびく樹齢数百年の木立の中、見渡す限りそこかしこに牛型魔獣の死骸が転がっている。全てが彼ら新生<ザヴジェルの刺剣>が仕留めたものである。


「この五日でだいぶ減らしたもんな。遠征軍本隊が狩った分と併せりゃ、これでそこそこ落ち着くんじゃねえの」


 ケンタウロスのフーゴが長大なハルバードを肩にぽんと乗せ、くかか、と笑う。

 そう、彼らも含めたザヴジェル遠征軍はこの五日間パイエルに足を留め、周辺の魔獣を大々的に狩り続けていたのだ。


 カラミタの脅威に関して言えば、ヤーヒムのお陰で実際のところはとっくに排除されている。

 が、そのことはザヴジェル遠征軍の上層部しか知らないこと。従軍している「天人族」の勲功を大々的に披露するのはまだ早いと、アマーリエが厳重な情報統制を敷いているのだ。


 そして、それを知らないパイエル領主の怯えは大変なものだった。寸前でなぜか魔獣が引き揚げていったものの、街もろとも灰燼に帰す一歩手前まで行っていたのだ。


 街に到着して面会を求めたアレクセイを始めとした遠征軍幹部に、街門を固く閉ざして震えていたパイエル領主は文字どおり縋りついた。

 王都へ向かう通りすがりとはいえ、精強と名高き、そして自領で複数のカラミタ討伐を成し遂げたばかりのザヴジェル軍である。どうか助力してくれないか、とありったけの金と女を差し出してきたのだった。


 なんでも、原因不明な魔獣の引き揚げ後、数日は不気味なほどに街の周囲から雑多な魔獣がいなくなったものの、その後は逆に普段滅多に人里に近寄らない深森の魔獣が出没するようになっているとのこと。


 ――それは、ヤーヒムが万単位のデヴィルバイソンを連れ去った深森で、魔獣の生態系が崩れたことが原因だったりする。


 既存の魔獣がそのデヴィルバイソンに押し出されてきた、それだけの事だ。

 だが、そんなことは難民を盾代わりにして街壁の中で震えている、このパイエル領主は知る由もないこと。


 更なる破滅的な侵攻の前触れに違いないと、唾を撒き散らしながら大騒ぎをしていて――



「――フフフ、これでかの薄情者の愚かな男に貸しがひとつ、という訳だ。ここまで狩ればこの森もしばらくは平穏だろう。そして、今日兄上の部隊がカラミタを討伐したこととなる。どこまで譲歩を引き出せることやら。我ら<ザヴジェルの刺剣>の実戦訓練にもなって、一石二鳥だったな」



 見通しの良い樹齢数百年の木立をざっと見渡し、悪い笑みを浮かべるアマーリエ。


 そう、他領の遠征軍が代わりに近隣を鎮静化するという軍事行動は、かなり強力な交渉の持ち札となる。アマーリエとてここの領主の亜人難民の扱いには腹を据えかねていたのだ。


 この五日間の駐留の間に遠征軍は大掛かりな魔獣掃討作戦を繰り返し、遠征軍総大将、アレクセイの交渉により一定の成果は引き出せている。そして最終日の今日、そこにカラミタまでをも討伐したという強力無比な切り札が加わる。


 難民たちのうち、跡形もなく破壊された村の者を中心に希望者をザヴジェルで引き取る、そんな言質を得ることができるのはほぼ確実な未来であった。


 その為のこの五日間の駐屯。


 ザヴジェル伯にも承諾を得、受け入れ準備開始の返信も得ている。これだけの数の亜人種の難民だ。住む場所や仕事の確保などで数ヶ月は混乱もするだろうが、長い目で見れば絶対に得であることは間違いない。


 当面は先のカラミタ禍で被害を受けた村々で労働力の補充を兼ねて受け入れることとなり、迎えの使節団も既にザヴジェルを出立しているとのことだった。後はパイエルの領主から最終的な許可をもぎ取り、明日の朝、亜人たちに触れを出して実際に移住者を募ればよいだけとなっている。


「くくく、どれだけ希望者が集まることか……」


 約定の魔獣掃討最終日の今日、この奥地にまでしっかりと手を入れ、カラミタまでも討伐をした。

 明日どれだけの数の難民が移住を希望してきても、パイエルの領主の口を封じるだけの手札は得ているといえるだろう。



「……もう、マーレったらニヤニヤしちゃって気持ち悪い。でも確かに私たち、随分と強くなったかも」



 リーディアが屈強な八本足の軍馬スレイプニルを駆り、霧がたなびく木立の中をアマーリエの元へと戻ってきた。

 魔法を放つ短杖は腰に差し、前に騎乗するダーシャを両手で労うように抱き締めている。


 この五日間の実戦により、<ザヴジェルの刺剣>は急速にその戦闘力に磨きをかけていた。


 ヤーヒムの突出した機動力と対個戦闘力はさておいても、一番の進化はこの、スレイプニルのフラウに二人乗りするリーディアとダーシャという強力なユニットが完成したことだ。


 リーディアは卓越した魔法使いである。

 魔法による攻撃力は圧倒的なのだが、基本的には詠唱を必要とする分だけ接近戦には弱く、また、鍛えられた騎士達と比べて継戦持久力にも難がある――それが一般的な魔法使いの宿命。


 それがこのスレイプニルのフラウにダーシャと騎乗することにより、ケンタウロスのフーゴばりの機動力を手に入れた。

 そして、接近した魔獣はダーシャにその相手を任せることによって――


「うむ。確か十歳だったか、こんな少女がここまでデヴィルバイソンを完封するとは。正直、期待以上だ」

「でしょうマーレ。ダーシャは凄いんだから、ね?」

「ま、嬢ちゃんはヤーヒムの"娘"だからな」


 周囲の手放しの賞賛に、控え目にその顔を綻ばせるダーシャ。

 そう。今日の彼女は、疾駆するフラウに接近する魔獣を、蜘蛛の糸のような独自のヴァンパイアネイルで片端から完璧に封殺してのけたのである。


 先日の対エヴェリーナ戦でナイトウルフ化してからというもの、ダーシャの天性の勘と動体視力は大きく花開いている。

 そこにアマーリエを始めとした遠征軍の精鋭たちが、こぞって剣術という接近戦の手ほどきをしてきたのだ。専用のエストックとヴァンパイアネイルでは扱いが異なるものの、その理に通じる部分は多々ある。


 ダーシャのヴァンパイアネイルは目を凝らさなければ見えない程に細く、けれど、その長さは疾駆するフラウの足元に届くくらいに長い。

 長く伸びたその分だけ絶対的な切断力には乏しいが、練習を重ねているエストックとは比べ物にならないほどに強力で使い勝手の良い攻撃手段であった。


 そしてリーディアとの同乗を試験導入したこの実戦では。


「うむ。これは兄上の<戦槌>騎士団にも教えてやらねば。ここまで完璧な移動砲台はそうはあるまい」

「まあでも、嬢ちゃんの軽さとフラウの馬力が揃ってこそだけどな」


 最終日となる今日の<ザヴジェルの刺剣>の単独遠征で、リーディアの前に乗る形でフラウに同乗したダーシャ。

 長さのあるそのヴァンパイアネイルの蒼光は近寄る魔獣の手足の筋を片端から切り裂き、動きを完全に封じてのけた。


 そうなればスレイプニルのフラウがその強靭な四本の前脚で踏みつぶすなり、もしくはそのまま捨て置けば良いだけのこと。


 そして、近接戦の不安から解放されたリーディアは。


 フラウの背で一緒に戦場を高速で移動しつつ、戦況を見て大魔法を放つなり、仲間達へ個別にフォローの魔法を贈るなり、実に効果的に魔法を放っての大活躍をしたのであった。


 決定的な攻撃手段であるリーディアの魔法を、十二分に戦局に活かせる――それは<ザヴジェルの刺剣>全体として、戦力の革新に大きく貢献するものなのだ。


「アマーリエ様、そろそろ戻りましょう。我らだけでの単独遠征は最低限にしろとアレクセイ様より言われていますし」

「ぬ、兄上か……。単独でなければ訓練にならぬというのに、まったく」

「くはは、アレクセイの大将も心配性だからな。――おおいヤーヒム、今日はこれで帰るってさ」


 フーゴの大声に、ばさり、ばさり、と漆黒の翼を羽ばたかせてヤーヒムが上空から舞い降りてきた。

 そのアイスブルーの瞳は鷹のように周囲を警戒しつつも、どこか満足気な色を浮かべている。ヤーヒムにとっても得るものが多い一日だったのだろう。


 ダーシャのヴァンパイアネイルもそうだが、ヤーヒムも翼を召喚しての戦いとなると、現状ではなかなかその機会が少ない。


 未だもうしばらくの我慢が必要なのだ。

 天人族を知る遠征軍といえど、神殿関係の危険を考えれば明るい昼間にあまり翼を観察させたくないし、ヴァンパイアネイルに至っては未だ公にもしていない。


 それもあってこの五日は<ザヴジェルの刺剣>だけの単独遠征を繰り返してきたのだ。そしてその成果ははっきりと出ている。


 ヤーヒムのみならず、全員の顔に大きな満足感が浮かんでいる<ザヴジェルの刺剣>一行であった。


「ヤーヒム、こいつらちょっと持って帰れるか? 難民たちの分は本隊の方でたっぷり狩ってるだろうけどよ、このデヴィルバイソンの肉は絶品なんだわ。魔鉱石は死骸をほじってまで採る価値ねえけど、肉は俺たち用に確保しておいても損はねえぞ」


 フーゴの言葉に、特に「肉」という部分に、ダーシャがぱっと顔を輝かせた。

 未だ不明な部分が多いダーシャのヴァンパイア化だが、血よりも肉を強く求めるあたりは人狼の影響なのだろう。肉を前にすると、その小さな体でよくも、と驚くほどに夢中になって食べている。


「……分かった。一頭ぐらいならなんとか入れられるだろう」

「わ、本当!? やった!」


 ヤーヒムは無邪気に喜ぶダーシャに小さく頷き、翼を畳んで周囲に倒れたデヴィルバイソンの中から一番大きなものを見繕って歩み寄っていく。

 弾けるようにリーディアの前から飛び降り、その隣に駆け寄るダーシャ。結局皆が集まってきて「あっちの方が大きい」「いやこっちの方がよく太っていて美味そう」などという騒ぎになったのは、順調に終わりを迎えつつある一日の余韻ゆえか。


 最終的に満場一致で指定された一頭の前で、ヤーヒムはマジックポーチ代わりに使っている亜空間の口を開いた。


 かつての長姉、エヴェリーナの青の力を啜ってから大幅に強化されたヤーヒムのその能力は、ザーズヴォルカでリーディアの父ローベルトが目の色を変えて研究したがっていたものだ。


 そのヤーヒムの保持する亜空間はマジックポーチとはまるで異なり、内部の環境をある程度整えられるようになっていて――


「わ、寒っ!」

「おいおい、随分溜めこんでるじゃねえか。ワイバーンだろ、グリフォンだろ、うおいコカトリスまであるぞ」

「ちょっとヤーヒムいつの間にこんなに?」

「ヤ、ヤーヒム殿! あ、あのコカトリスの魔鉱石、ぜひ私に譲ってください!」


 ――ちょっとした小屋ほどの広さがある、極寒の食糧貯蔵庫と化していた。


 もちろん歴としたラビリンスの階層ほど自然が再現されている訳ではない。

 けれど、狩った魔獣の肉を腐らせずに保管するにはちょうどいい、暗く凍えた氷室風の小空間ではあった。


 ほんの小物入れ程度の極小の亜空間は別として、今のヤーヒムが維持できるそれなりの広さを持つ亜空間の数は二つ。

 そして、この氷室がヤーヒムが携行できる亜空間の最大サイズである。これ以上広い亜空間を作るにはどこか特定の現界と縁付けしないとならず、それはローベルトに乞われ、ザーズヴォルカのシェダの屋敷に縁付けされて小麦栽培と家畜繁殖の実験中だったりする。


 その研究に目途が立てばまた新たな可能性も広がるのだが、今は残る一つはこうして、夜の偵察時に乱獲した魔獣の保管庫として使っている。

 継続安定性に不安が残るために消滅してもさほど問題にならない物を、という理由と、あとは主にダーシャを始めとした仲間達に上質な魔獣の肉を持ち帰ろう、という思いつきから始まったことであった。


「ははーんダヴィット、求婚の守護宝玉タリスマンでも作るのか? どの娘だ? こないだ逢引きしていた――」

「わああああフーゴ殿! それ以上はご容赦を!」


 マクシム配下の上級騎士ダヴィットとフーゴがなにやら騒ぎ始めているが、ヤーヒムは無言でヴァンパイアネイルを振るってコカトリスの胸から魔鉱石を切り出した。フーゴが楽しげに解説してくれるところによると、どうやらそれを加工をすれば持ち主に強力な毒耐性を付与する宝玉になるようで、巷では男女間の想いを伝える贈り物として憧れの的になっているらしい。


「……他に欲しいものはあるか?」


 ダヴィットはあまり出しゃばらないが実直な騎士であり、ブシェクのラビリンスからの長い付き合いだ。ダーシャにも色々と構ってくれている。ヤーヒムは血肉が凍りついたままのそれを手巾で拭い、ダヴィットに差し出した。


「へ? い、いいんですか!? お代は必ず……ぶ、分割でお支払いしますので」


 代金など要らぬ、そう言おうとしたヤーヒムは、リーディアの紫水晶の瞳が羨ましそうにコカトリスの魔鉱石を追いかけていることに気付いた。


「くくく、リーナよ。自分も欲しいと言えばいいだろう?」

「ち、違……もうマーレは黙ってて!」


 ヴァンパイアの聴覚がリーディアとアマーリエとの間に交わされる囁きを拾ってしまうが、今は聞かなかったことにした方がいいとさり気なく視線を逸らすヤーヒム。とりあえず立ち上がって、指定されたデヴィルバイソンを亜空間に放り込んだ。これでほぼ満杯である。


 そして、コカトリスの魔鉱石を未だ大袈裟に捧げ持つダヴィットに改めて代金不要の旨を告げ、他の皆にも――特にリーディアに――落ち着いたら色々と渡すことにしよう、と心に決めるヤーヒムだった。


 ……そして、もしリーディアに贈るとするならぱ。


 ヤーヒムは自身の左胸に軽く触れ、そして左手の甲に同化している紅玉に思いを馳せる。


 最近、特に翼としてケイオスの残滓を受け入れてから、ラドミーラの紅玉は妙な沈黙を保っている。けして眠っている訳ではなく、ヤーヒムに対して拗ねている風でもなく、どこか奥の方でヤーヒムと混じり合い、融けて消えゆくような不思議な儚さすら感じている。


 その行く先は……手を当てた胸の中に育っているであろう、ヤーヒム自身のコア、かもしれない。それは真っ先に思いついた、もしリーディアに贈るとするならば、という宝玉もの


 もし。

 ラドミーラがヤーヒムにしたように、ヤーヒムがリーディアに捧げるとしたら。


 ダーシャのことを思えばそんな状況にはなって欲しくないが、もし不測の事態が重なり、そんな状況になってしまったとしたら――ヤーヒムの想いはひとつだった。


 ラドミーラは、祝福してくれるだろうか。それともやはりそれは裏切りであり、許されないことなのだろうか。




 ――明日からは、いよいよ王都へ向けての進軍が始まる。




 このパイエルの街の先には、ヤーヒムにとって因縁の街、迷宮都市ブシェクがある。


 ヤーヒムを百年に亘って地下牢に捕らえ続けたバルトル家はもう消えたとしても、執拗に追ってくる裏組織ゼフトの本拠地であり、新太守はそことの癒着が想定される貴族家だという。

 アマーリエはヤーヒムを匿い、王都に着くまではこれまで以上に軍の中枢に隠して行軍していくつもりだと宣言している。


 下手な騒ぎを起こさずに、今はそうして乗り切っておくのが最良なのだろう。油断は絶対に禁物の危険な橋だが、それよりも。


 この五日間に入ってきた情報では、王都に迫っているカラミタは複数あるという。引き連れている魔獣の群体は人型のアンデッド、グールとスケルトンが下手をすると十万に近い数でいるようだ。


 けれど今のところは既存の王国軍で充分に食い止められているようで、使者を送っても「手柄を取るな」とばかりに邪険にあしらわれて相手にもされないとのことなのだが。



 ……そんなに甘いものなのだろうか。



 ヤーヒムはしつこくつきまとう嫌な予感を抑えきれない。【ゾーン】にうっすらと感じる遥か彼の地のカラミタの気配が、ヤーヒムの背筋をチリチリと刺激してくるのだ。


 その感覚は、このパイエルにいた単独の老人カラミタにはまるでなかったもの。もしかすると――。


 ゆっくりとした侵攻速度のお陰で、しっかりと準備は整えられた。そろそろ意識を切り替え、件のカラミタとの決戦に向けて心を研ぎ澄ませておくべきだろう。


 この街での心残りとしてはあの鹿人族たちの消息を未だ掴めていないことだが、再会が叶ったところで大したことは出来ない。それよりも。



 ――複数のカラミタ、十万のアンデッド。



 その中に、ザヴジェルでトカーチュ渓谷に地殻変動をもたらした、エヴェリーナクラスの相手が潜んでいる気がしてならない。


 そう。

 圧倒的な力で仲間達を傷つけたエヴェリーナのような、ヴァンパイアとしても規格外の個体。


 けれど、仮にそんな強敵がまた存在していたとしても。



 ――我は、もう負けぬ。



 ヴァンパイアとしての長姉、エヴェリーナの青の力を啜り。


 古の創造神ケイオスから、結果的にとはいえ漆黒の翼を授かり。


 更に仲間達の好意によって、テュランノスドラゴンという強大な魔獣の革をふんだんに使った防具も整い、【虚無の盾】や【虚像】といった新たな武器も己の物として磨き上げた。



 ――これで、負ける訳にはいかぬ。



 共に過ごす仲間達のためにも。

 ダーシャ共々家族のように受け入れてくれる、このザヴジェルの遠征軍のためにも。


 それは、ようやく見えかけた、彼らヴァンパイア父娘の安住の地たりうるもの。



 ――この身を賭けてでも、全てを守ってみせよう。



 ヤーヒムは強い決意を裡に滾らせ、かけがえのない仲間達の元へと駆け寄り、遠征軍宿営地にむけて共に帰還の途についた。



 いよいよ明日。

 王都へ向けて運命の進軍が始まる。




< 叛逆のヴァンパイア 第三部「Vampire & War」・了 >

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