56 神の翼(後)
時は半月前に遡る。
それはヤーヒムが翼を召喚したまま凱旋し、天人族なる
アマーリエ主導による軍議という名のザヴジェル幹部へのお披露目も無事済み、退室しようとした時にリーディアの父、<白杖>騎士団団長ローベルト=シェダが強引に別室に引き込んできたのだ。
「その翼、ちょっと触らせてもらっても良いかな?」
ヴァンパイアの天敵、強力な魔法使いによるそんな言葉で始まった別室での会談。
娘であるリーディアが抗議をしても「大事なことなんだ」の一点張りで聞き入れてもらえない。あくまでヤーヒムの翼に強い興味を惹かれているだけのようで、翼を手に取ってじっと見たり、片目を細めて見たり、何かの魔法詠唱をして反応を見たり、文字どおり矯めつ眇めつ検分してようやく椅子に腰を落としたザヴジェル筆頭魔法使いのローベルト=シェダ。
だが、ヤーヒムには分かる。
このローベルトが恐ろしいほど強力な魔法使いであり、その気になればヤーヒムもダーシャも一瞬で塵にされてしまうことを。リーディアも類稀な魔法使いだと分かってはいたが、父親は文字どおりの化け物だった。
伝説の魔法使いヤン=シェダの末裔、ハイエルフの血を色濃く受け継ぐ魔法の名門シェダ一族の当主。
リーディアに良く似ている整った顔立ち、エルフ種特有の翠の瞳には齢百二十を超える知性が湛えられている。
幸いなことに雰囲気はやわらかく、即座にどうこうされる気配もないことだけが救いだった。いつもの無表情の裏に緊張を押し殺し、されるがままに翼を預けていたヤーヒム。その検分を終えたらしいローベルトはやや難しい顔で全員に椅子を勧め、皆が坐るのを待ってゆっくりと口を開いた。
「結論から言うと、やっぱりその翼はむやみに人目に晒さない方がいいよ」
「な……。なんでそんなこと言うの? やっぱりって何!? 勝手に決めないで!」
リーディアが猛然と立ち上がる。
普段とは随分と印象の違うリーディアだが、これが父親といる時の彼女なのだろう。対するローベルトも直前の軍議の時よりも更に砕けた態度になっている。二人の間に紛れもない家族の情愛があるのが見てとれ、ヤーヒムは緊張を押し殺しつつも、どこか複雑な思いで二人を眺めた。
「ヤーヒム君だっけ? 今朝、防壁の上にいた時は翼なんてなかったし、隠せるなら隠しておくようにリーナからも勧めておいて」
「ちょ、見てたの? あんな複雑な詠唱してたのに」
「リーナ、それはそれ、これはこれだ。軍議が終わるのを待って、こうやってここにこっそり呼び入れた理由はふたつ。ひとつはその翼の確認」
そこで言葉を切ってヤーヒムの翼を見遣るローベルトに、只ならぬものを感じたアマーリエが割って入った。
「……ローベルト卿、詳しく話してもらっても?」
無人の控室に走っていた緊張が更に高まる。
彼らは今、ヤーヒムの翼を根拠に天人族なる概念を大っぴらに打ち立ててきたばかりだ。
が、ザヴジェルの重鎮であり、誰よりも魔法の造詣が深いローベルトがそれに異を唱えようとしている。敵対視まではされていないようだが、問いを投げたアマーリエだけでなく、全員が身構えるようにローベルトを見守っている。
「いや、そんなに怖い顔をしなくてもいいよ? どこから説明しようか、ええと、今の神殿が主として祀っているのは
一斉に頷く一同。
それはヤーヒムの人間時代から変わらず、ダーシャですら知っているこの世界の常識だ。そしてダーシャにはまだ教えていないが、ヴァンパイアにとってクラールといえば天空神とは全くの別儀、種の表象であったりする。ヤーヒムが知らぬ訳がない。
「じゃあクラールが古き旧世代の神で、今は眠りについていることも知ってるよね」
それにはヤーヒムとフーゴとダーシャ以外が頷いた。
どうやらそれはザヴジェルの知識層を中心に広まっている内容らしい。アマーリエが何を今さらという顔で先を促す。
「ああ、代わりに新しき神々を降臨させ、クラール自身は長き眠りについている、という話だろう?」
アマーリエの補足に「良く出来ました」とばかりに上機嫌に微笑むローベルト。ちらりとヤーヒム達に流す視線からすると、ひょっとしたら全員の認識を共通させるための問答かもしれなかった。
「そうそう。一説によればそこに神々の争いが存在し、双方ともに力を失って眠りに入っただけ、という話もあるけどね。今は勝者不在の休戦状態ってやつ? で、僕らが普段使ってる魔法は新しき神々の力を汲み上げて借用している訳だけれども、まあそれは置いておいて」
そこもまだ本題ではないのか、軽く流して次に進もうとするローベルト。
が、ヤーヒムは驚愕に目を見開いていた。
それは初めて聞く魔法の重要な背景であり、もしかしたら、魔法がヴァンパイアの天敵である理由がそこに眠っているのかもしれないと思い至ったからだ。クラールの系譜を自認する彼らヴァンパイア、新しき神々と対立して眠りについたクラール、その新しき神々の力を借用している人系種族の魔法――
だがそんなヤーヒムの驚愕には誰も気付かず、ローベルトの話は流れるように進んでいく。
「そんな古き神であるクラールの前にも別の神がいてね、それが最古の創造神ケイオスだって言われてる。かつてこの世界を創造した大いなる混沌、ケイオス――ざっくばらんに言うと今日、禁呪で呼び出した存在だね」
「なっ! 叔父上まさかそんなものを召喚していたのか!? 危険すぎる!」
「そうだよ、初めの軍議でそう説明したじゃない? 聞いてなかった? まあ、だから禁呪なんだけど」
「……無事に済んだことに感謝を」
「うんうん、僕もあんな魔法を主宰できたことに感謝してるよ。あれだけやっても片鱗を一瞬呼び出せただけだけど、まあ物理的にもそれが限界だし、あれ以上はさすがにヤバいからね。そうだ、元になったあのコア、ヤーヒム君が提供してくれたんでしょ? 本当にありがとう、君にも私からの感謝を」
お父様、話が逸れてる。
そうリーディアが小声で指摘をし、小さくため息を吐いた。彼女にとってローベルトは尊敬する父親なのだが、こと魔法についてはやりすぎる場合が多々あるのだ。後で関係各位に謝りに行くこと、リーディアは心の中にそうメモをし、「それで、本題は?」と話題転換を促した。
「ああごめん。ええと何だっけ。そうそう、ヤーヒム君の翼から――」
そこでローベルトは一旦言葉を切り、やれやれと言わんばかりに肩をすくめた。
濃厚なハイエルフの血を物語るその翠の瞳が、同情を込めてヤーヒムの翼を見詰めている。
「――その
神の使徒扱いか異端扱いか、どっちかは分からないけどね。
ローベルトはそう付け加え、静かに目を閉じた。
誰も何も言わない。まさかここで神殿が出てくるとは――全員の顔にそう書いてある。神殿はそこまで日々の生活に密着しておらず、強大な権力を持っている訳でもないので、誰もが意識の外に置いていたのだ。
ヤーヒムは別の意味でも驚いている。
確かにこの翼は、禁呪で呼び出された存在の残滓が集まって変質したものだ。得体の知れない亜空間で起きたそれをこうも早々に見透かされてしまうとは思ってもいなかったし、何よりあの意味の分からない存在が最古の創造神という予想以上の存在だったことに、胃の腑が引き攣るような危機感を覚えてすらいる。
確かにあれはとてつもなく異様で圧倒的な存在だった。
ヤーヒムに対する明白な害意は抱いていなかったようだが、かといって安心して盲従できるかというとそんなことは全くない。
下手をすれば、あの場でヤーヒムは存在を掻き乱され、触手まみれの異形に変えられていたかもしれないのだ。
注入された残滓を無理やり守護魔獣に近い翼という形に収めたが、なぜかそれでも満足したように帰っていった。かの存在が何をしたかったのか、ヤーヒムは未だにさっぱり理解できていない。
あれが、
かつてこの世界を創造した大いなる混沌と言われれば、確かに納得できる部分もあった。
ヤーヒムが思わずそんな思考を巡らせていると、同様に誰も話さない場の沈黙に耐えきれなくなったのか、ローベルトが早口で補足説明を始めた。
「あー、禁呪を主宰した私が言うんだから間違いないって。そのものではないけれど、ケイオスに限りなく近い感じ。昔、神殿で見たかの存在の聖遺物にも気配がそっくりだし。あ、もしかしてヤーヒム君て、本当にケイオスの御使いだったりする? ――あはは、そんな訳ないよね。なら、もし神殿関係者に嗅ぎつけられたら……神官がどこまで敏感にその気配を感じ取れるかは分からないけど、バレたら使徒扱いされるか異端認定されるか、どっちにしても大騒ぎだね。だから気をつけてね、って話」
一気にまくし立てたローベルトに、アマーリエが上辺の落ち着きを取り戻して当面の問題点を尋ねた。
「その、使徒扱いと異端認定では、扱いが全く逆なのだが」
「ううーん。バレたのがケイオスをも認める旧神崇拝派だったら使徒扱い、新しき神々を崇める急進派だったら異端認定、どっちになるかは運次第? でもまあ、だから騒ぎになる前にこうして注意した訳だし。あんまり街中とかで大っぴらに誇示とかしないで、近くでは誰にも観察させなければ問題はないと思うよ。これまでも普段は隠してきたんでしょ?」
その言葉にゆっくりと頷きつつ、奥歯を静かに噛み締めるヤーヒム。
この飄々とした、けれど恐るべき魔法使いがどこまで見通しているか分からない。少なくとも天人族という欺瞞については見破られているだろう。口調や態度から当面は味方ではありそうだが、けれどその年経た翠の瞳は、今の翼の件だけでは説明のつかない強さをもってヤーヒムを深く深く覗き込んできているのだ。
「うん、じゃあこの件はそういうことで。ここに呼び入れたのはふたつ理由があるって言ったけど、本題はここからだね」
パン、と手を叩き、くっとヤーヒムの方へ身を乗り出すローベルト。
子供のように強く輝く翠の瞳が、逃がさないぞとばかりにヤーヒムのアイスブルーの瞳を絡め取っている。シェダの一族の中でもハイエルフの血を濃く受け継ぎ、齢百二十を超えるという眼力は半端ではない。そして、にたり、と笑みを浮かべつつ徐に口を開いた。
「――今日、君たち転移を使ったでしょ。まるで、かのヴァンパイアのように」
何度目かの衝撃が一同に走る。
ヴァンパイア、その言葉はローベルトから一番聞きたくないものだ。ここまで味方でいるような口ぶりではあったが、ヴァンパイアの天敵である魔法使い、その頂点にいる男である。一瞬とはいえ創造神を召喚するような桁外れの大魔法を主宰して平気な顔でいるのだ。その気になればヤーヒムとダーシャを捕らえることなど、ほんの児戯にも等しいはず。
「……伝説の転移魔法。しかも七人まとめて。あんな規格外の空間属性の魔術、高位ヴァンパイアにも無理な代物だよね。で、使ったのは君でしょうヤーヒム君。さあ白状しようか」
……ん?
ヤーヒムはローベルトの言葉に微妙なズレを感じた。まさかこの男、もしかして――と。
が、その違和感を突き詰める暇もなく、リーディアが椅子を蹴って立ち上がった。
「ななな何を言うかと思ったら。てて天人族が転移を使えるの、そそんなの当たり前じゃない。ダーシャも使えるんだから!」
「なんと、その可愛らしい女の子もかい! リーナの小さい時の次ぐらいに可憐で小さいのに!?」
「ちょ、それは関係ないし意味が分からないわ! とにかく天人族は使えるの! 二人ともすごく強い空間属性持ちなんだから。しかもすごく純粋なの! ウチの通信の魔道具なんて使ったら――」
「なんだって! それは聞き捨てならない! ちょっとヤーヒム君、試しにこの魔鉱石に君の魔力を!」
「……えーと?」
難しい話はお任せとばかり黙っていたフーゴが、あまりの唐突な展開にポカンと口を開けている。
が、ヤーヒムは密かに警戒を強めた。確かに魔法狂いとは聞いていた。が、どう見ても眼前の光景はこの得体の知れない魔法使いの本心ではない。強いて言えば、アマーリエが先ほど天人族という虚構を打ち立てたように、ローベルトもこの場で大義名分を作ってみせているような――
「いや、こんな間に合わせの魔鉱石じゃ駄目だ! もったいない! そう、フーゴ君もみんなでウチに来なさい! この先の滞在先は決まってなかったよね? ウチの屋敷にはちょっと自慢の研究施設があってだね、ヤーヒム君にはぜひ協力してもらいたいものが――」
アマーリエがゆっくりとヤーヒムに目配せをしてくる。好意を受け取っておけ、そんな眼差しだ。
……どういうつもりだ?
もし少しでもヤーヒムとダーシャを危険視しているのならば、この強大な魔法使いは絶対に自分の屋敷に招いたりはしないだろう。
リーディアに向けるその深い情愛の眼差しは、彼が家族というものをどれだけ大切にしているのか物語っている。危険なものは力づくでも家族に近寄らせないはずだし、実際それだけの力を確かに持っている。けれども。
目の前ではいつの間にかリーディアと二人、シェダ家での皆の滞在についての話をあれこれと具体的に進めてしまっている。
そしてそのまま尻切れ気味に接見が終わり、控室からぞろぞろと連れ立って退出する間際、ローベルトがヤーヒムにこっそりと耳打ちしてきた。
「……君たちが悪い人間じゃないのは分かっているよ」
そう囁いて、小粋に片目をつむってみせるローベルト。
「礼を言おうと思っていたんだ、初めからね。シェダの課題から始まって、リーナと一緒にいろいろしてくれてるんだよね。こんなに生き生きとしているリーナは初めてなんだ。だからそれに免じて君たちの隠し事も詮索しない――誰しも秘密のひとつふたつはあるからね。けど、絶対にリーナを裏切らないこと。それと翼の件は本当に危うい。そこはくれぐれも気をつけるように」
この先の予定についてアマーリエと話しこんでいるリーディアの背中を前に、そう耳打ちしてじっとヤーヒムの目を覗き込んでくるローベルト。
そこには、ヤーヒムの背筋を自然と伸ばさせるものが確かにあった。
この眼前の魔法使いが持つ底知れない迫力。娘に向ける確かな愛情。そして念押しされた、ヤーヒムに対する真剣な危惧と忠告。
……リーディアを裏切ることなどせぬ。それは言われなくともそうすると決めている。あとは翼、か。出来るだけ人前では召喚せず、召喚しても深くは観察させないようにしよう。
伸ばした手の先に届きつつある安住の地、ザヴジェル。
協力してくれるリーディアを始めとした特別な人々の為にも、自身の娘となったダーシャの為にも。
やはり綱渡りとなる状況、ここで余計な騒ぎは御免だ――ローベルトに対する感謝と共に、己の翼と神殿の危険性がヤーヒムの心に新たに深く刻まれた瞬間だった。
◆ ◆ ◆
「……どうしたヤーヒム?」
フーゴの声に、物思いからハッと戻ったヤーヒム。
鍛冶師のリボル老による鎖帷子の点検も終わり、周囲では騎士達がこれから始まりそうな天人族の模擬戦にざわめいている。
「もう、仕舞っても良いか?」
ヤーヒムは反射的に翼を折りたたみ、人目から遠ざけた。
使徒扱いか、異端認定か――この翼の特異性に神殿が気付いた時、新たな厄介ごとが引き起こされてしまう。
とはいえ、異端認定は今さらかもしれない。
ヤーヒムとダーシャはヴァンパイア、端から神殿には人類の敵扱いされている。表舞台から姿を消して数十年経った今でも、素性が見破られた瞬間に討伐隊が組まれるのは間違いない。
その病的なまでの忌避反応は、もしかしたら遥かな過去、クラールを絶対的な天空神として崇める神殿と、種族の表象として象徴視するヴァンパイアの間に確執があったのかもしれない。そこに人系種族の捕食者たるヴァンパイアへの恐怖と忌避感が積み重なり――
と、そんな歴史的推論はさておいて。
神殿に敵視される面倒さ、それはヤーヒムにしてみれば身をもって理解しているものだ。せっかくアマーリエが打ち立ててくれた天人族という極上の隠れ蓑、それに泥を塗ってはいけない。
そして、使徒扱いも困ったものだ。
人によっては、同時に約束されるこれ以上ない権威と栄誉に小躍りするのかもしれない。だが、ヤーヒムは違う。神殿関係者にまとわりつかれるなど寿命が幾らあっても足りないし、そもそも結果的にヤーヒムに翼を寄越した、かの存在の意図などさっぱり分からないのだ。
「……模擬戦は、翼なしで行くぞ」
「もちろん。空に逃げられたら何も出来ねえしな。よし嬢ちゃん、そうと決まったら作戦タイムだ」
翼を送還し、存在感溢れる天人族の象徴を煙のようにその背から消し去るヤーヒム。周囲の騎士団関係者が一斉にため息を漏らしているのは、カラミタを倒したというヤーヒムの本気を見たかったのかもしれない。
ここは城付属の練兵場、神殿関係者はいない。鎖帷子の試験も兼ね、少しなら翼で飛び回ってみるのも悪くはないのだが――
「くぉら! 模擬戦をやるならアレを忘れるでない!」
――その鎖帷子の製作者、鍛冶師のリボル老が顔を真っ赤にして叫んだ。弟子の鍛冶師達が慌てて木箱から追加の防具を取り出している。
それは、肘から手の甲までを覆う一対のガントレット。これもまた今回の防具の一環であり、先立って完成していたものだ。
その鋼鉄製のガントレットは右と左では大きく形が違い、左腕用のものには直径二十センチほどの
それこそリボル老が一番苦労したものであり、模擬戦をするならそれも試せということらしい。
「リボル老、ここは鎖帷子の試験も兼ね、ヤーヒム殿に是非翼も使ってもらって……」
「馬鹿もん! そこはさっき儂が自分の目でしっかりと確認したわ! 寸分の干渉もない、最高の出来じゃ! 試験などせんでもいいわい!」
手渡されたガントレットを装備するヤーヒムの隣で、それとなく翼有りの模擬戦に誘導しようとした騎士団員をリボル老が叱り飛ばしている。
試験を求めるガントレットとの違いがヤーヒムには今ひとつ分からないが、それはそれで都合が良かった。
出来るだけ翼を人目に晒さないという大原則どおりではあるし、何より、我が儘を言ってガントレットに取り付けてもらったバックラー。何を隠そう、それこそヤーヒムの新境地を切り開く新たな武器なのである。是非試してみたかった。
「……すまないが」
両腕にガントレットを装着し終えたヤーヒムが、背筋を傲然と伸ばして周囲の騎士団員を見回した。
「魔法が使える者、数名でよい。模擬戦の最中に、我を狙って魔法を放ってくれないか」
気持ちを切り替え、不敵な笑みを浮かべたヤーヒムがそう言い放った。
―次話『新たな境地』―
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