物語の本質へ

「そんなことより、あの火事はなんなんだ?」

あからさまに、そして急いで修正を図る。


ああ…

とおっさんはパンで乾いたであろう口の中の唾をかき集め、ゴクリと飲み込んだ。


「あそこは火事じゃなく、元々そういうエリアなんだ。今の俺達ではモンスターに対応出来ないから、このハットエリアでまずは魔法の特訓だ」


モンスターの耐久力が高く、組織的に我々を迎え撃ってくるらしく、まずはこのエリアの主から挑戦してみてはどうかとのことであった。


ちなみにダメージを受けても死にはせず、倒れると小屋に戻るシステムらしい。

それならばと、早速明日は主へ挑戦することとなった。


たいして期待はしていないが、他にどんな魔法があるのかを尋ねる。

おっさんは左上方へ視線を移しながら話す。

「炎の剣を形成したり、炎の壁で防御したり、強いやつなんかは炎の竜巻みたいなのを発生させるやつも居たな」


居たなってどういうことだ?


「前は他に7人も居たんだが、みんな現実世界に戻ったんだ」

そう言って少し懐かしい顔とその後難しそうな顔をし、僕に「戻れる様にがんばろうな」と肩をポンと叩く。


僕は一瞬考えたが、その手を振り落とし、「いや、その前に帰り方を教えろよ」と、スナップの効いた右手はおっさんの股間僅かに上へと着地していた。

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