神の施しの台無し
小屋に着くとこじんまりとしたその建物はとても綺麗なものだった。
さっきはそんな余裕もなかったが、まじまじと見てみると手入れが行き届いているのがよくわかる。
僕は小さい子が初めてコテージに来た時のように、小屋の中を冒険した。
間取りは3LDKだろうか。
玄関を入って左にトイレや風呂場、正面にキッチンのある大きめのリビング、右には食料や荷物などの置き場、そして2階に寝室が2つだ。
荷物部屋を見てみると、パンに野菜類、肉類に魚類など、今まで食べていたような食材が綺麗に陳列されている。
冷蔵庫に入れて無くて大丈夫なのかと言う不安はあるものの、それよりおっさんの家事力の高さが伺えることに驚いた。
「今日は俺が飯を作ってやるよ」
そう言っておっさんは僕をキッチンのあるリビングから追い出す。
寝室に行ったところでまだ眠くないし、とりあえず風呂に入る事にした。
浴槽も木で作られており、意外と立派なその風呂場は、僕が異世界へ来たことを忘れるかのような時間が流れていた。
「あーー気持ち良かった〜」
と荷物部屋に何故かある新しいマイヘアTを当たり前の様に着ると、食料の2/3程がなくなっていた。
おいおいどんだけ豪勢な食事をするつもりだよと、リビングのドアをバン!と開け放つ。
立派な4本足のテーブルには、裸のままのパンが4つほど乗っており、隅には丸まったおっさんが転がっていた。
キッチンへ目を移すと、僕の魔法にやられた通称スライムのように、ただただ原形を留めなくなった元食料達が無惨にも残されていた。
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