通称スライム

「おっさん、モンスターと戦ってみたいんだけど」

まだ色々わからないことも多く、装備や回復薬があったり、街なんてものもあるかもしれない。

しかしおっさんのボクサーブリーフ姿をみると無い気もしてくる。

でもそれよりも好奇心が抑えられなくなってきた。


「ふむ、ちとヤるか」

そう言っておっさんは森へと足を運び始める。

この人は口数が少ないのか、口下手なのか、全然必要な情報がこない。


「森にモンスターがいるのか?」

ああ、と言いながらおっさんは振り向きもせず歩き続けている。

木々の密度はそこまで高くなく、思ったよりも歩きやすい。

葉をみると広葉樹だろうか、やはりそこまで寒い地域ではないことが伺える。


「この森ではモンスターは出るが少なくて弱い」

そうこう言っている内にジェル状の敵が現れた。

想像するのは張りのある立体的なアイツなのだが、どちらかというとバブル寄りだ。


「通称スライムか、まあ倒せるだろう」

そういっておっさんは僕の肩を前方へ押し出す。

力が強く脚がもつれ、僕の方が倒されそうになる。


練習の時もそうだったが、魔法を出すのには呪文や詠唱などは必要ないらしく、イメージをすれば出せるみたいだ。


(ファイアボール)


スライムは少しの間黒く燃えた後、跡形も無く消え去った。

残念なのはその手応えの無さと、ドロップも何もない事だ。

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