ゲイダロゲイ
そう、それは唐突に。
僕は抱き寄せられていた。
「ちょ…」
必死に両肘を伸ばそうとするも叶わず、僕の力ではどうしても剥がせない。
そして身体の正面を中心に、生温い液体が僕を襲うのがなんとも不快だ。
「がははは、悪いな、つい嬉しくてよ」
そう言っておっさんは僕を離した。
僕を襲った前面の汗は案の定気持ち悪い。
まず、こういう時は握手じゃないのか?
いきなり抱きつくってもう完全に…
僕は嫌悪感と恐怖心を半々に抱きつつ、それでも頭を回転させ状況把握に努める。
「と、とにかく色々聞きたいことがあるんだけど」
動揺を隠し切れずに思ったよりも大きな声が出た。
「おー、なんでも聞いてくれ」
寛大なご様子のおっさんは、立派な腕を腰に当て、ドヤ顔仁王立ちで僕の視界の8割を支配する。
「まずここはどこなんだ?」
本当にわからない、だって僕は深夜にコンビニに行ったはず…
ニヤリと口角を上げたおっさんは視線を上げ、両手を開き高らかに声を上げた。
「そうだ、お前の思っている通りここは地球ではない、ここは異世界だ!!」
「俺も1年程前に来たばかりなんだが、何故か太陽が2つあってほとんどの時期は明るいままだ、まあ慣れれば眠れる様になるさ」
僕は瞳孔を細めるように目を点にして、一つの思いを胸にしまった。
(想像通りかよ…)
太陽が2つあればそりゃあ白夜じゃないけど、明るい時間が多いのは大いに想像がつく。
僕が聞きたいのはそこじゃないんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます