第17話 mystery 16 ~偽善~
昨日俺はドラッグ中毒者と戦闘をして、肋骨を折る重傷をおった。
だがマスコミの報道は只ドラッグ中毒者が暴れたと言う事のみをNHKだけが僅かに伝えただけに止まり、警官が発砲した事だけを大きく報道、挙げ句の果てには発砲は正しかったのか? と言う馬鹿げた論調をしたのみで、犠牲者の事などは全く報道されなかった。
だが事実はTwitterや2ちゃんにて、瞬く間に広がり、俺と最後まで戦った警官の二人は英雄に祭り上げられてしまった。
「困りましたね~…………」
「いや、今後は俺もなるべく目立たない様に気お付けるよ…………」
「いや、そうでも無いかも?」
「龍牙! 何を言っているんですか! 一般人を巻き込まない様に何のために今まで…………」
「俺もそう思ってました、しかし御前、先ずはたけちゃんが第一段階の覚醒に至った事、これは結果的に考えれば大きな前進の一つ、そしてTwitterやネットの拡散で危険ドラッグの注意喚起ができた事、そして何よりもたけちゃんを大勢が英雄しする事で、たけちゃんの力に大きなウエイトが出来た事が大きい」
「何故俺がそうなる事で力がつくと考えられるんだ?」
「あなたなら少し考えれば解る筈よ?」
「楓! どうしたんだ? 今日夜仕事だろ?寝てなくて良いのか?」
「貴方がそんな状態で出社するから今日は休み取ったのよ、安静にしてなさいよ全く」
「ああ、そうか……わりい、それよか今の、意味が解らねえな?」
「たけちゃん、信仰は時として大きな力に成るんだよ」
「そりゃ当然だ、世の中そう言う風に出来て…………おい! マジで言ってるか?」
「マジだよ、冗談で言ってる訳じゃ無い、言った筈だよ? よく言われて居る神は居ない、だけど神の力を持った者は居ると、其が真実の目を持つもの」
「第一段階の覚醒を成した俺の力に其が成るって事か?」
「そうでなければこの宇宙は出来て居ないわよ!」
「申し訳ありませんがどういう事なのでしょうか? 私にも解る様に教えて下さい!」
「こう言うのはたけちゃんが説明した方が遥かに解りやすいね、頼むよ」
「ああ、だが理屈は解ってても俺には実感湧かねえぞ?」
「力を使えば嫌でも解るよ」
「はー…………有理子、人間の認識がこの世界を構築している、それは解るな?」
「量子論ですね」
「ああそうだ、例えば本来何も無い心霊スポットで、多くの人間がそこに白い服を着た髪の長い女性の幽霊を見たと信じこんだとする、そうすると本来何も存在しない筈のそこにその女性の幽霊の存在が確定されてしまうんだ。」
「何故そうなるのです?」
「色即是空空即是色、我有りてある者、用は本当は何も存在しないが、存在しないが為有るって意味なんだけど、結論から言えば、人が認識すればそこに物は存在する、誰も認識しなければ無い。
これは量子論上で確認されてる事何だよ、だから人が神と言う者を認識すれば、神など本来存在しないが、人の認識により、神が生まれる。
詰り多くの人間が俺をスーパーマンだと思えば俺はその力が強くも成るって龍牙は言いたいんだ」
「引き寄せの法則、、、そう言う事に成るのでしょうか?」
「一番簡単な言い回しがそれに成るな」
そんな話をしている時に、理恵が入ってきた。
「失礼します会長、望月課長が電算課に至急皆様でお越し頂きたいと」
「ああ解った! ここじゃ駄目なのかな?」
「パソコンのセキュリティーの問題でしょうね、電算課で使っているのはアメリカのNSAでも侵入不可能な程の物ですから」
「それも由利奈が?」
「そうですよ!」
「て事は理奈にも出来るのか?オリジナルなんだろ?」
「・・・・・・・・無理です」
「お前ら本当に同一人物なのか? なんか根本が違うんじゃね?」
「そんな事はいいんです~~~~早く行きましょ!!」
この時は本当に唯のクローンだと俺は思っていた、だが本当に根本が違うとはまさか思わなかった。
「お待ちしておりました会長、加害者の身元が確認できました・・・・・」
「あれ? 俺は三枝係長に頼んでおいたんだけど?」
「申し訳ございません・・・・・望月課長にどうしても内容を教えろと・・・・・」
「構いません三枝さん、会長! 加害者の身元を調べてどうされるおつもりですか?」
「言う必要性は感じないけど?」
「私は会長を護衛する役割も担っています、言っていただかなければ業務が遂行できません」
「・・・・・・・・家族に詫びに行く」
「はあ? お詫びをしてもらいたいのはこちらの方ですが? 何をお考えですか?」
「どういう理屈を並べても殺したのは俺だ、その清算だけはしなければならない」
「会長室でお話しましょう、データーは保管しておいてください」
皆が納得できない顔をしている、まあそうだろう、奴は何人もの人間を殺し、傷つけている。
だがもし、奴の家族の立場になり考えたらどうだろうか? もし俺ならどんな理屈をならべられても多分こういうだろう・・・・・・・・・殺す必要は無かった!
こんなものは偽善だろう、そんな事は解っている、だがこれは俺の増えた家族に対する戒めでもある、俺の直感が告げている、ここにいる者達は人の生き死にに慣れすぎている。
俺が人を一人殺した事について、誰も驚く表情を見せていない、まだ小さい優菜ですら俺があばらを折った事には焦っていたが、俺が奴を殺した現場を見ながらも、俺の心配こそしたが、俺が奴を殺した事についてはあまり表情を変えてはいない。
何故そうなったのか? 多分望月さんや楓、久美や朔耶は記憶、、、、恐らくタイムスリップを俺と共にした世界で嫌と言うほど殺し殺される事が身近だったのだろう。
そして有里子達はこの先起こるであろう未来を見る力、夢見だ、これがそういう光景に慣れさせたのだろう。
大体当の俺ですら奴を殺した事についてこうも落ち着いて考えられているのは異常なんだ、普通の人間ならあんな凄惨な現場に立ち会わされて平然としていられる事などない筈だ、あの警官の反応こそが正常なんだ。
だからこそ俺は・・・・・・・・・・・・・
「会長、お考え直しください、如何に実際に手をかけたのが会長だとしても、優菜ちゃんが殺されようとしていたんです。それをお守りしただけです、何故謝罪に行く必要がおありなのですか?」
「望月さん、望月さんには家族は?」
「勿論おります、それがなにか?」
「どんな理由があってもその家族が殺されて望月さんは平然と家族が罪を犯したのだから仕方ない・・・と思えるのか?」
「それは・・・・・・ですが如何に理不尽でも犯した罪に対しては報いは受けなければなりません」
「それが殺される事か?」
「あの場合は致し方ありません! あのまま放置すれば彼は更に罪を重ねるだけです!」
「確かにそうだ、だが家族が殺される、それはそんな事でかたずけられる事じゃないんだよ」
「会長! これからもこういう事はまた起こるでしょう、会長はその度にこういう事をされるおつもりですか!?」
「ああ、勿論だ、なるべくなら殺しはしない、だがそれしか手が無ければ俺は躊躇せずにまた命を奪うだろう・・・・・・・だがなあ!? 命の重さを軽く考えられる人間には俺はなりたくないし! そういう人間にお前たちにもなって貰いたくねえんだよ! 望月さん、あんたにもな!?」
皆黙って下を向いていた、、、俺の意図している意味が伝わったのだろう。
「わかったわ、少し間違っていたいたのかもしれない、私も行くわ!」
「楓、お前は関係ないだろ?」
「何言ってるの? 私はあなたの妻よ? どこにでもついて行くわ、地獄までもね!」
「私もお供致します、私とて健様の妻です、ご一緒に謝罪へ参りましょう」
「楓姉さん、私も行くわ!」
「私もご一緒致します、私も妻であり第二秘書ですからね!」
「は~・・・・・護衛として私も参りましょう、今回は私の負けです・・・・・・・・」
望月 加奈子は思った・・・・・・・・・・・
この人に何でいつもいつも諭されるのかしら?・・・・・・・・悪いけど私の方が何百万年も長く生きてるのよ? 本当に頭に来る!! なんでこんな人愛しちゃったのかしら・・・・・・・・
俺たちは再び電算課にいた。
三枝係長は本来電算課ではないが、計算課の人間は元々電算課からの人間が多い。
今の給料計算等殆どがシステム管理だ、当然パソコン業務が必須になる、そういう意味では三枝係長程適任な人はいない、何故ならこの人は例の事件から完全に俺の直属の部下のような存在になった。
残念ながらこの神合コーポレーションにも派閥がある。
社長派閥と元社長派閥、元社長と言うのは亡くなった有里子や理恵の父である神崎
この派閥がこの神合コーポレーションには根づいていた。
「角谷 賢一、21才、明治大学の3年でラグビー部に所属、父は角谷 源三、建設業の中間管理職で46才、母は角谷 ひとみ、専業主婦で年齢は50です。ひとみは再婚で三島 今日子という連れ子がいます。今日子は30才、江東区にある○○電気株式会社でOL勤め、未婚です。
家族の中は円満で、連れ子の今日子も賢一をとても可愛がっていたとの事です。住所と電話番号はここに」
「いやマジでこの短時間でよくここまで調べたな?」
「まあ・・・・・・警察のデータをちょっと見させていただきましたから・・・・・・・」
「おい! ハッキングかよ!?」
俺はその日の内に彼の家に向かう事にした。
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