第9話 mystery 9

Those with Providence and gene

神の意思と遺伝子を持つ者…………


恐らく俺はこれだろう、現象を破壊して再構築する。

あれがそう言う行為だとは知らなかったが、有理子の説明は正に俺その物だ。

そしてここに居る者は皆が等しくそうなのだろう、ならば良いか…………


「有理子、俺は多分其だ、そして驚かない所を見ると…………皆そうなんだろ?」


「そうね、ここまで来れば一部だけ話すわね……

全てを私達が話さないのはその能力の覚醒を早める為には余分な知識は邪魔でしかないのよ、だから過去の貴方は自ら気付くまで話すなと私達に厳命したの」


「用はその力が今後必要に成るって事か?」


「そうよ」


「それは有理子達の夢見とも関係しているのか?」


「関係と言うよりその物を夢見したんでしょうね」


「ヤバイ敵なのか?」


「同じ力を持った者通しの戦い…………」


「詰り私達の覚醒が果たされなければ土台にも乗れないと言う事ですね?」


「そう言う事よ!」


「自分で気付くか…………ヒントもねーんじゃきついな~」


「過去貴方は2度同じ事をした、大丈夫よ!」


「2度⁉ 詰り能力が封印されてたのを俺は2度も覚醒させたってのか?」


「そうよ兄さん、だから大丈夫!」


「健兄さん、一つ私から言えるのは、常識に捕らわれない何時もの健兄さんで居てくださいと言う事です、それが多分早道ですよ!」


何となくだが今の朔耶の言葉でヒントが掴めた気がした?


「話を戻しましょう、それでその貴女の友達がこの人を研究対象と思った事と、久美達の秘書の件、どう関係して来るのかしら?」


「私達のグループにちょっかいを出して来てる敵が既にもう存在してるんです」


「あの人攫いの事か?」


「恐らくその者達でしょう、実は私達にも戦闘部隊が存在します。」


「マジかよ⁉」


「はい、その昔天皇家を守護していた鴉と呼ばれた存在、今も現存して居ます。そしてその頂点に立つ精鋭部隊がワルキューレ隊と言う女性だけの部隊です」


「そんなのまで実在してたのかよ⁉」


「はい、そしてアマリアさんも望月さんもその部隊の隊長何です」


まあ、そんな所だろうな…………

あの畏怖は尋常じゃなかった。


「その総帥補佐を今度お引き合わせしますが大和 健二と言う者がやっております。通称名では龍牙りゅうがと皆呼んで居ます」


「総帥補佐って事は総帥は別に居るのか?」


「はい、居ります。今目の前に、貴方です、健様」


「はあ? 俺?」


「神埼家の伝承にそう記されて居ます。私達の夫と成る者を鴉の総帥に添えよと」


「その伝承書いた奴って何者何だよ⁉」


「名前は伝わって居ませんが、私達神埼家の初祖と成るお方の様ですね?」


「まともに受け合ってて大丈夫なのか?」


「大丈夫だと思いますよ? だって多分この時代からタイムトラベルした人ですから?」


「な⁉ マジで言ってんのかよ?」


「今度お見せしましょうか? 見れば直ぐにこの時代からタイムトラベルした人だって解りますよ?」


そして次の休日、俺は神田に有る有理子の実家である本家に顔を出した。

そして問題のその伝承を見に来たのだが…………

有理子がタイムトラベルしてきた者だと言うのが一発で解った。


「んがーーーーーーー! 何で漢字かな交じりで書かれてんだよ⁉ しかもなん万年も前の奴何だろ? 何で西暦で予言してやがんだよ!」


「ですからタイムトラベルした方だと言ったでは有りませんか…………」


「これ最近書かれたとかの落ちじゃねーの⁉」


「違いますよ! だって最初の方のこの辺りの字体…………」


「マジか…………これって、シュメール語…………」


そう、こいつは几帳面なのか何なのか、その時代時代に使われている字体に会わせて、全ての字体を使って書かれていた、詰り未来で起こる重大な事柄は解読出来ない様に同時にしてあるのだ。


「こいつがもしこの時代の奴だってんなら、恐ろしい奴だな…………詰りこいつが本来あってはいけない時代にタイムトラベルして、有理子達の先祖になったって事か…………」


「そうですね、本来はこの時代は旧人類か新人類でなければいけませんから、文字などと言う物は有ってはいけません、これが表に出てしまえば間違いなく私達は更に狙われる事に成ります」


「なあ? やっぱりそうなのか? お前たちを狙ってるのってこう言う物を隠したいやからなのか?」


「健様には真実をお話ししましょう、この伝承のこの部分を見て下さい」


「…………読めん‼」


「ここにはこう書いて有ります、時にして今から約34000年後、真実の神との対話が成されるだろう。だがその時人類が悔い改めねば神による鉄槌が下される、我らは英雄と供に神との戦いを経て、神と和睦し、対話の機械を得た。だが神の軍勢無敵成り、我らは禁断の行いをする事により機会を得たのだ。願わくば神と手を取り、地底の神と戦わん事を切望する…………対話の時は西暦2020年」


「もうすぐじゃねえか? 神との戦い? こいつらは神と戦ったってのか? 英雄って誰だよ? 地底の神と戦う?」


「次にここです、ここには救世主が現れる事が書いて有ります、西暦2015年、救世主が現る、神との戦いを終えた英雄が帰還する。だが偉大なる神の大きな力により、英雄は帰還と同時に幼き子へと戻ってしまうだろう。我が子孫はこの英雄をまもり育てる役割を担う、選ばれし子孫は夢見にて救世主を見たとき、その役割を全うすべし。救世主を覚醒させし力は大いなる愛のみ…………」


「これって…………」


「はい、健様の事だと思われます」


「俺もタイムトラベルしたって事か? 幼き子へとって、どういう意味だだよ?」


「解りませんが、一つだけ解っている事が有ります。神は本当に存在しています。あれが神と呼んで良いのかは解りませんが…………」


「神が存在している? 見たのか?」


「健様も見て居ますよ?」


「へ? 俺も?」


「はい、二人の女神を」


「それってまさか⁉」


「そのまさかの人です、私は夢見で健様と供に戦う二人の女神を見ました、一人を健様はこう呼んでいました、アテーナー…………」


「アテーナー⁉ 有理子の夢見で俺がアテーナーと呼んでいたのか!」


「そしてもう一人をアテーナーがパラスと」


「マジかよ⁉ 誰かを指して俺はそれを言ってたのか?」


「私の夢見はそこまで万能では有りません、健様以外の人物の顔はぼやけてしまって見えないんです、心当たりは有りますが、確証は無いためそれはご勘弁下さい。」


勿論これは健の成長の阻害になるための方便だった、有理子にはその二人の人物は解っていた。



「でもそれって俺が勝手に神の名前を誰かに着けてたって事はねえか?」


「そうですね、ただ背中に大きな翼が生えていて、空を自在に飛べる人に着けるあだ名としては出来すぎて居るあだ名です」


「マジか…………でも有理子、お前さっき意味深な事を言って無かったか? 神と呼んで良いのか? とかさ」


「それは…………夢見で何度も健様がこう言っていたんです。神など存在しないと…………俺は神じゃ無いと、私の夢見での健様は同じ様に漆黒の翼をお持ちでした」


「俺も同じなのか…………実はさ、それ俺の持論何だ、だがそう言う状態でも俺がそう言うって事は…………こりゃマジな様だな」


「差支え無ければその持論をお聞かせ願えますか?」


「そうだな、宗教には色々有るけど大別すると二つに成る、一神教と多神教、だが突き詰めて行くと世界全ての宗教は同じ何だ」


「世界の全ての宗教が同じ?」


「ああ、例えば代表的な物で言うとキリスト教と仏教、キリスト教は神の力を持ったイエスを神としている、仏教は悟りを開いた釈迦、だがそれら二つも実は絶対的な神が存在しているんだ、ヤハウェ、これを調べれば調べるほどシュメールの神エアやベールと言う神にぶち当たる。詰り人類は最初同じ神をしんこうしていたんじゃないか? ってな、所が肝心なシュメールはエアやベールをこう呼んでいる、アヌンナキ」


「天空より舞い降りた人々、詰り宇宙人?」


「そうとも考えられるが、実はこの地球の回りの月や火星何かにピラミッドやスフィンクスが有るらしい、てことは人間自体が回りの星からこの地球に来たって事の方が余程しっくり来ないか? それに今現在はこの地球からそうとう遠くに有る星にも現在人類が住める環境の有る星は見つかって居ないんだ」


「確かにそうですね、そして私達人類は聖書の言う様に…………」


「ああ、神は自分達に似せて人々を造った、詰り遺伝子操作だ、有理子、お前がやった事と同じだ、お前はクローンかもしれないが、それは遺伝子操作で新たな生き物を創造する課程だ、お前の家にそれが伝わっているならもう間違いないんじゃないか?」


「間違いないでしょうね…………だから私達や健様にもその遺伝子が有る、いいえ、多分人類全体にもその遺伝子が…………」


「覚醒ってのは多分その遺伝子を目覚めさせる事を言うんだろうな、楓や久美達は覚醒者であってその時の、詰りタイムトラベル時の俺の事を…………いや待てよ? そうか、そう言う事だったのか‼」


「どうしたんです?」


「あの時にタイムトラベルしたんだ! 以前久美は4日程失踪した時が有るんだよ、実は俺その前の記憶やその時の記憶が酷く曖昧何だ。それに俺のこの妙な力ってその後から使える様になったっぽいんだ、多分だけどその前は使えて無い。それに俺の体型に合ってない服、いくら俺がお洒落に無頓着な男でもあんなガバガバなズボン履かねーぞ?」


「じゃあ!」


「そうだ、あの時に俺はタイムトラベルしたんだ! どうもおかしいと思ってたんだ、だってよ? 今の俺何歳に見える?」


「どう見ても20代前半ですね? とても39才には見えません」


「だろ? こんな俺が発毛促進剤なんて使うと思うか?」


「いえ、必要有りませんね?」


「家に大量に発毛促進剤があったんだよ、あの家は本来俺の一人住まいだったんだ。久美達は失踪後に家に住み着く様になった、俺に親父は元々居ないしハゲの友達も居ない、だから本来あんなもん買うわけねー」


「では詰り、健様はタイムトラベルして若返った?」


「ああ、間違いなく一度は覚醒したんだろうな、それなら俺が二度覚醒したって言う朔耶達の言う意味が繋がって来る。そのお前の祖先の言い回しは微妙だけど、幼子に戻るってのは多分だけど、覚醒したけど中途半端でまた元にもどっちまうって事なんだろう? それで再びこの時代に戻った俺が覚醒する鍵を握って居るのが…………」


「私達の覚醒…………」


「そう言う事なんだろうな…………」


読めて来たぜ、多分この有理子達の先祖に俺達は手の平で転がされている、いや、過去に戻った俺がそう仕向けているのかも知れねーが、だがここまで見えた以上後には引けなくなった。


だが一つだけ、重要な問題が見えて来た……

俺は歳を重ねると禿げる…………最大の問題だ…………









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