第6話 mystery 6

丸の内に有る神合ビル、地上50階、地下5階の総合商社ビルで、そこには各階毎に直轄企業の本社が入って居る。

俺は一応神合コーポレーションの総務部なので、親会社の社員と言う事に成るが…………

俺が今日与えられた仕事は直轄企業の一つで有るフェアリーと言う会社のサンプル品の仕分けであった。

フェアリーとは日本最大の女性用下着メーカーである。

詰りそのサンプルの仕分けと言う事は…………

使用済み下着の山である!


「こんな仕事は嫌だろうけど柴田主任に…………」

「たまんねーぜこりゃ! 宝の山じゃねーか‼ ここはエリシオンだ! あのやろう嫌な奴だと思ってたけど良いとこ有るじゃねーか!」


「はあ?」


「俺はここで対に天職を見つけたぜ! おっさん! あっ! いや課長! 何をすれば良いんだ?」


「………………んん、いや…………年齢毎に分けるんだよ…………アンケートはこの箱に入れて下着は年齢毎に箱が有るからそこに…………」


「解ったぜ! 後は俺に任せてくれ! うぉぉぉぉやる気がみなぎって来たぜーーーーー!」


「…………だ、、大丈夫か? あいつ…………」


そして俺は下着の山に埋もれながらテキパキと臭いを嗅ぎながら………………テキパキと作業をこなして居た。


ーーーーーーーー


11時、有理子達が出社をして来た。


「会長まだ来て無いそうです…………」

「そんな事いくら何でも! 常務、電話は?」

「圏外みたい何です、通じません」

「この丸の内で地下鉄ですら電波は取れるのよ⁉ 圏外何て有り得ません‼」

「まさか事故にでも…………」

「松枝取締役! 各部署に問い合わせて直ぐに会長を探させなさい! 会長にはV.I.P.用の訪問者用IDを渡して有るんです、直ぐに解る筈です‼ 私と常務は今日社内や関連企業の案内を会長にする予定でしたからV.I.P.用のIDを持って来る方は居ない筈です‼」


「解りました、至急探させます」




「ねえ? 有理子、まさかあいつらに拐われたとか…………」


「冗談言わないで! 会長の事はまだ社内でも一部の人間しか知らないのよ? そんな訳無いじゃない!」


その時内線が鳴った


「社長室です! え? 何故会長が総務部に?」


「望月さん! 会長が?」


「はい、何故か総務部に配属されたと……新入社員受付者がV.I.P.専用IDを持った者を間違えたと思い込み総務部のIDを渡してしまったそうです」


「総務部に行きます!」


「いえ、社長が自ら行かれなくても私が行って参ります」


「私の不始末です、先に行かれるのをお止めしておけばこの様な事にはなりませんでした」


「はー…………解りました……」


そして有理子達は総務部へ出向く


「あ、これは由利常務! 社長まで、総務部に何の用でしょうか?」


「課長は居る?」


「望月課長、三木課長は今日は不動産会合で出張です、何かご用件ならば私が…………」

「なら係長は?」


「…………お待ち下さい」


「計算課の三枝です、社長、常務が揃って計算課にどの様なご用件でしょうか? お呼び頂ければ私の方から…………」

「緊急です、ここに今日新入社員と申す者が来た筈です‼ 松田健様と申される方です、お姿が見えません、今何処に?」


「その者にどの様なご用が…………」

「緊急だと言いました、質問に単刀直入に答えて下さい」


「申し訳ございません、その者でしたら地下の資材室に居ります」


「資材室? 総務部の人間が資材室に何故居るのよ⁉」


「…………それは…………」


「常務が聞いておられます、お答え下さい」


「資材室の手伝いに柴田主任が行くように命じたからです!」


「飯田さん! 質問は私がされて…………」

「理由を聞かせてくれない?」


「常務! それは後です‼ 直ぐにお迎えに行きます!」


「解りました社長、地下の何処の資材室?」


「…………地下4階のフェアリーです」


「何でフェアリーなのよ⁉」


「行きます! あなたたちも一緒に来なさい!」


「解りました……」


V.I.P.専用エレベーター、このエレベーターは基本的に各階に止まる事が出来るが所謂三役、社長、専務、常務以外は使用出来ない。詰り地下の階層で開くことは基本的に駐車場以外無いので有る。


「あの? 質問しても宜しいでしょうか?」


「地下に付きました、後にしてください」


ーーーーーーーーーー


キンコン、キンコン


「んな! おい!V.I.P.専用エレベーターがここに止まるぞ! 課長に直ぐに知らせろ‼」


「課長! 大変です! 開かずの門が開きますよ‼」


「何故⁉」


「知りませんよ⁉」


「兎に角役職者は整列だー!」


そして開かずの門が開く…………


「フェアリー資材室の菅野です!」


「此方に総務部から松田健と言う方が来ている筈です、何処ですか?」


「ああ、彼ならあそこで仕分け作業をしていますよ? 随分と捗って居ます」


「キャーーーーー‼」


「あ! 社長‼」


愛する男の間抜けな姿を目の当たりにして失神する有理子…………

その時俺は頭と顔にパンティを被っていた…………

変態仮面である。


「ん? うおっ!有理子! てか倒れてんのか?」


俺は猛ダッシュで有理子の処に駆け寄った、何故突然倒れたのか俺には理解出来て居なかったからだ。


「おい! 有理子、大丈夫か⁉」


「この方は社長だ! お前の用な新入社員が触れるな!」


「ウルセー! 俺の女だーーー!」

バキ!

「グハ‼」


咄嗟に俺は柴田を殴っていた。


「望月さん! 医務室は何処だ‼」


「え? 1階の三和医員がここの医務室をかねています」


「三和医員だな!」


パーン!


目の前で何かが弾ける…………

俺は有理子を抱えて猛ダッシュした、エレベーターを使うより階段の方が早いからだ


「う? 嘘でしょ⁉ 10段以上飛び越えてる‼」


皆唖然として俺を見ていたが、当の俺は全く気にしていない、今は一刻も早く有理子を医務室まで連れて行きたい、そして医務室についた。


「おい! 先生‼ 有理子が突然倒れた! 直ぐに見てくれ‼」


「え? あ! 社長‼ 直ぐにそこに寝かせて! 貴女はカーテンの裏!」


「え? お! おう!」


「何故突然倒れたの?」


「わからねえよ! 俺が仕事してたらいきなり来ていきなり大声出して倒れたんだ‼」


「どうでも良いけど貴方誰?」


「俺? 俺は松田健だ! 有理子は俺の女だ」


「…………噂の会長さんでしたか それでその会長さんが何の仕事って言っても…………資材室でパンティあさってたのね…………」


「何で解るんだ?」


「頭にパンティ被ってるのに解らない人が居るのかしら?」


「んな! …………ってそんな事はどうでもいい! 有理子はどうなんだ‼」


「大丈夫だけど、調度クスリを今切らしてて、多分地下一回の駐車場にトラックが到着している時間! 急いで取って来てくれます?」


「解ったぜ! 何て言うクスリだ⁉」


「ああ、この明細のクスリをそのまま持って来てくれます? まあ…………お仕置も兼ねて……」

「めっちゃ多いな、直ぐに持って来る! 有理子を頼んだぞ‼」

「いや、ちょっと待って………………、貴方のせいで有理子が失神したからお仕置って言いたかったんだけど…………あの量を本当に持って来るのかしら?」


俺はまたもや猛ダッシュしてた、クスリ切らしてんじゃねえよやぶ医者が! ヤバイ症状だったら取り返しがつかねーじゃねーか!

さっきここのビルの見取り図は見た、地下の駐車場は一度外に出て二階に上がって吹き抜けを飛び降りた方が早い、普通の人間なら死ぬ高さだが俺なら問題ない。

そして俺は一気に二階へ飛びあがりそのまま地下の駐車場へ飛び降りた。


「おい! 馬鹿‼ 自殺者か⁉」

「人が飛び降りたぞ!」


全く無視してた、そして俺は車を見つけた。


「おい! 運ちゃん! このクスリ速効で出してくれ!」


「え? あんた誰?」


「このクスリを注文した者だよ! 急病人何だから早くしろよ‼」


「ああ、解ったよ、ちょっと待っててくれ! 今出すから……」


「おせーよ!」


「この扉調子悪くて開けるの一苦労何だ」


「後で弁償してやるから勘弁な‼」

バキョ! メキメキ! グシャグシャ‼


「開いたぞ! 早く出せ‼」


「ひ! ヒィィィィィ!」


「おせー! 直ぐ出せコノヤロウ‼」


「わっ! 解りました‼」

俺はトラックの鉄の扉を引きちぎっていた……


「この三箱だな⁉」


「そ、、そうです…………台車が無いと持って歩くのは…………」

「要らねえよ! 扉は請求してくれて良いぞ‼」


そして俺はまた二階に飛びあがり医務室へ向かった、途中ビビッタ観客が大勢いたが、ガン無視だ。


「先生! 持って来たぜ!」


「え! 嘘でしょ⁉ え! エェェェ⁉ …………」


「健様、ごめんなさい、私の不始末であのような事になってしまって…………」


「有理子! 目が褪めたのか‼ 良かった」


「単なる失神ですよ会長、一先ず安静にしてれば大丈夫です、それより早すぎませんか? 駐車場からここまで……それにその荷物どうやって運んだんです?」


「ああ、近道があったんだよ、それに手で持てる重さだったし」


「…………手で?」


そして俺は有理子を頼んで由梨の所へ向かった。

だが…………



『あの会長さん…………』


医務室の先生が何やら調べ初めてしまった。



ーーーーーーーー


三和みつわ 瀬里菜せりな

三和医員の院長で神合グループ医務室長。

彼女は優秀な医者だがグループ企業の病院へ就職せず、開業医として働いていた。

何やら変わった女性であった。


瀬里菜視点


『おかしい…………ここから駐車場まで少なくても10分はかかる、だけど彼は往復を6分足らずで戻って来たわ? しかもあれほどの荷物を抱えて』


そして瀬里菜は駐車場に来た、そこで人集りを見つけてしまった。


「どうしたんですか?」


「どうしたもこうしたも、さっき化け物があらわれたんだ! この扉を引きちぎってあそこから二階のホールまでデカイダンボール抱えてジャンプしたんだよ‼」



「え? それもしかして三和医員で注文したクスリを取りに来た人?」


「ああ、そうだ!」


「…………そう、、じゃあ修理代は三和医員に請求して頂戴、それと…………これで出来るだけこの事を黙って置いてくれるかしら? 余分な詮索も無しって事で?」


「んな!? こっ、こんなに貰っちまって良いのか?」


「構わないわよ! その代わり約束してね?」


「ああ、勿論だ‼」


見つけたわ! 本当に居たのね!

Those with Providence and gene

神の意思と遺伝子を持つ者…………












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る