第4話 mystery 4

俺達は今都内に程近いS市に来ている、都心まで車で約30分、O線で25分と利便性もよく人気の町だ。

今回有理子が新居を構えると言う事で、俺達はそこに移る事になったが、ホテルや車の事を考えると少し不安になったので見に行く事にした。

王宮みたいな建物では正直住んでるだけで疲れる、俺は和風の落ち着いた雰囲気が好きなんだ。


現地に付き実際に見ると以外に普通だった、確かに大きいし土地も広いがまあ見た目は割りと普通だった。


「健様、紹介しますね! 私の秘書をやってくださっている望月 加奈子さんです。」


「望月です、貴方が松田 健様ですね? 先日の社長ご一家誘拐の件、大変ありがとうございました」


「ああ、いや、別に………………」


何だこの女⁉ ………………


俺はこの望月 加奈子と言う女性を一目見て、とてつもない衝撃を覚えた。

何か解らないが兎に角凄い畏怖を感じた、そしてこの女性の目が兎に角澄んでいる、例えようもなく、まるで清流の如く清らかでいて美しくも有る。


「どうかしましたか?」


「あ! いや、別に…………」


「加奈子さん、寛政具合の方はどうですか?」


「後は防衛設備の方だけです、今アマリアさんが一通り確認をしている所です」


「ちょうどいい、アマリアさんにも健様の事を紹介して起きましょう」


「社長? 今アマリアさんに会わない方が宜しいのでは無いですか?」


「え?」


「又自分に内緒で出掛けたと相当お怒りですよ?」


「あははは…………」


「アマリア? 日本人じゃ無いのか?」


「はい、アマリア.リーゼ.キャンベル、あのスコットランドのキャンベル家の流れをくむ貴族出身の方です。今は私のボディーガードとして加奈子さんと秘書をしてくださって居るんですが…………」


「先日勝手に出歩いて誘拐されたと…………」


「…………仰有る通りです…………」


そして中から金髪ブロンドの女性がこっちに向かって歩いて来た、そして………


『マジかよ⁉ この女性からも先程の望月 加奈子から感じた様な同じ畏怖を感じる、どうなってやがル‼』


だが何故か…………このアマリアと言う女性、目に涙をうっすらと浮かべながら俺を見ていた。


「えーと…………日本語通じるかな?」


「大丈夫ですよ、健様」


「え? 何処かで有ってましたっけ?」


急に暗い顔になった…………何故だ


「アマリア‼」


「あ、ああ…………すみません、今度ゆっくりお話しを、私は御前の護衛担当です、宜しくお願いしますね」


「解りました、宜しく…………」


望月さんに呼ばれて向かうアマリア、あの二人はどういう人何だろう…………




「アマリア、迂闊よ? まだ主人様に私達の事は隠しておかなければ」


「ああ、解って居る…………だが辛い物だな……」


「仕方無いわよ、でも主人様にとっては私達と別れたにはまだ一月足らずだと言うのに…………私達が何れだけの期間待ってたと思ってるのよ…………そう考えると頭に来るわね」


「それこそ仕方の無い事よ! 覚醒前なんて皆このような物」


「楓様! お久しぶりです」


「私はお前達とは一月ぶり何だけどね!」


「こちらでは普通に喋られてるんですね?」


「この世界であのように喋ってたら何処の時代錯誤者だと思われるわよ、それは別として、オリジナルの二人は?」


「今はシカゴです、主人様が戻られた事は伝えました、1月後に戻られます」


「遅いわね、もう第一段階に突入してるのに」


「主人様のある程度の覚醒前に来てしまった場合リスクが大き過ぎるとの龍牙の判断です」


「龍牙は?」


「オリジナルと一緒に行動してますよ?」


「あの三人はバカンスを楽しんでいるだけでは無いのか?」


「戦争前の楽しみよ! やらせておきなさい!」


「あ! マル…………アマリア!」


「久美! 朔耶!」


「お元気そうで何よりです!」


遠くで久美達が女通しで仲良くやっている、だが俺だけなのか? あの二人に畏怖を感じたのは、楓達は感じないのか?


「どうかされましたか?」


「ああ、由利…………いや、何か加奈子さんとアマリアさん、ちょっと人とは違う感じがしたんだけど…………久美や楓は平気みたいなんだよな…………俺だけかな? と思って…………」


「ご自身のお近くに居るそう言う方には気が付かれないんですね?」


「へ?」


「健様の感覚は正常ですよ! 初対面であの二人にまともに話し出来る人は居ません」


「そうなのか? じゃあ何で久美達は平気何だ?」


「ですから、久美さんや楓さんも同じ部類の人だからですよ」


「いや、久美達とは初対面の人普通に接する事が出来るぞ?」


「それは不思議ですね?」


不思議ではなかった、俺の記憶違いなのか? 最近近所の人は久美や朔耶と余り会話して居ない。

これは後で聞いた事だが久美の失踪事件から後、久美に何かを感じる人が増えていた様だ…………

多分あの失踪事件から何かが変わって居ると思う。



ーーーーーーーーーーー


横浜港とある貨物倉庫


「誘拐に失敗し、アメリカに例の物迄渡ってしまった。失望ですね、貴殿方には…………」


「ウィザード! もう一度チャンスをくれ、必ずあの女を拐って来る」


「いえ、もうあの女は必要ありません、あれは紛い物で有る事が判明しました、我々が必要なのはオリジナルの方です。あなた達は今後あれが軍事転用される技術で有る事をマスコミを使って糾弾しておきなさい」


「リーク元は何処と報道すればいい?」


「その様な物得意でしょう? 内部告発とでもしておきなさい。タレントを使って元社員と偽り顔にモザイクでもかけておけば馬鹿な民衆は信じこみます。政府が資金援助した事も告発した事にすればいい」


「解った、NHKの特番で報道させよう」


「頼みましたよ? あなた方ジャパニーズマフィアに資金援助しているのもマスコミを動かせるからに他ならないのですから、しっかり戦争を起こさせない様にしてくださいね? 我らに日本国民が国を明け渡せば戦争など絶対に起きないのですから、、、フフフ、この国に軍事力等必要無いのですよ」



ーーーーーーーーーーー


「さて、それでは明日から引っ越しをいたしましょう‼」


「唐突に何を言ってやがるんですかね~⁉ このお嬢様は! まだ家出来てねーだろ!」


「あちらは出来てませんが、もうマンションは借りてありますよ? そこで新たな夫婦生活を送るんです‼」


「どれだけ金の無駄遣いをすれば気がすむんだ! 家が出来てからでも十分だろ⁉」


「でも今のホテルより家賃が安いんですよ?」


「一泊30万の部屋に何日泊まってやがる⁉」


「でも健様に会いに来るのはあそこからじゃないと、自宅からでは遠いんです…………」


「…………マンションに移ろう…………それより有理子、俺に頭首になれって言ってたよな?」


「そうですよ? もう昨日から頭首です、婚姻届け出して起きましたから?」


「いやいや、まだ俺ハンコついて無いんだけど?」


「あれ認め印でいいんですよ? お母様には証人になって頂きましたから問題有りません!」


「いや知ってます、知ってますけど…………母ちゃん…………」


有理子は美人だ………物凄い美人だ…………だが…………何だこの真顔でさらりと常識を逸脱する発言を…………慣れるしかないのか…………

母ちゃんや愛子おばさんといい勝負の疲れっぷりだ…………

楓や久美や朔耶がどれだけ出来た女なのかがよく解る…………いや、ちょっと待て…………普通の女から比べれば楓達も充分疲れる奴だったじゃないか……

まあいい、慣れよう…………


「どうしました?」


にっこりと微笑んで俺を見る有理子…………


「いや、俺も何時までもプー太郎ってのも嫌だし、何処かグループの企業で仕事世話して貰いたいんだよ」


「頭首がお仕事ですよ?」


「…………いや、そうなんだけど、それとは別に……こう……何て言うかな? 体と頭を動かしたいんだよ」


「でも健様は頭首だから、相応の仕事じゃないと廻りに示し付きませんよ? ねえ有理子? 会長になって貰えば?」


「no.no.no! ちょっと待て由利! お前母ちゃんの事何で呼びすて何だ!」


「え? だって昨日からもう同じ妻じゃないですか? それに今日から名前で呼べって有理子が? 何かおかしいですか?」


「………………いや、、、おかしくない、てかもういい」


「そうね~、じゃあ会長になって下さい!」


「あははは! 健兄さんが会長って、似合わな~い!」


「ウルセー! でも俺も似合わないと思う…………もうちょっと別なの無い?」


「でも私が社長ですから、それしか有りませんよ? それに行動は何も会長だからと言って規制されませんから、自由になさって下さい、ただ一応会長なので、工場で工員の真似事とかはされないで下さいね?」


こうして俺は神合グループ総裁となった。
















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