第11話 俺と一緒に掘らないか?
「排便の我慢をしすぎちゃったみたいだね、下剤でも渡しておくからしばらく安静にしてれば治ると思うよ」
年老いたお医者さん曰く、ただの便秘でした。
俺らは薬で寝ながらも、腹を抱えうずくまってる女の子をすぐに病院に連れてったが、ただの便秘でしたとか言われると軽くイラッとする。
俺の考えを察したのか、ニーファは、「この子返品しない?」とか言い出してる。
お医者さんは続けて、
「いや、我慢しすぎると死ぬからね?マジでなめたらいけないよ?」
「大丈夫です、そこまで変態じゃないんで」
とりあえずボケておく。
「よかったよ。君にこの世界は早い」
お医者さんもボケてきたー!
いや、これボケなの?顔がガチっぽいけどまさかそういう系?そうじゃ無いことを願うしかない。
「まあ、薬出しておくからしばらく安静にしとくのがいいと思うね」
俺たちは薬を貰い、病院を後にした。
「お兄ちゃん、おかえり!」
「おう、ただいま」
「私は完全無視なの?」
「ニーファさんもおかえり!」
「はいはい、ただいまよ」
便秘少女を背負う俺とニーファの腹にダイブしてくるナナ。
ロリコンではないが、こういう風に抱きつかれると一緒のお墓に入りたくなっちゃうレベル。
ナナは俺が背負っている女の子の顔を見ると、
「予想通り、可愛い女の子にしたんだね、お兄ちゃん」
「そうだろ?まあ選んだのがたまたま可愛い女の子ってだけだったんだぞ?」
「お兄ちゃん、今のは皮肉を言ったんですよ?」
どこら辺が皮肉なのかは考えずに、背負ってた女の子を俺の部屋のベッドに寝かせる。
「一晩すれば起きるだろ、それまで俺は外でブラブラして来るよ」
「え、一晩寝ずに外で暇つぶしするの?それともさっきのお店に行くんじゃ無いでしょうね」
「そんな事無いぞ」
俺の頬から汗が流れる。
いや、行くつもりは無いんだよ?でもな?たまたま入っちゃうのは不可抗力だな〜なんて思っちゃうわけなんだよ。
ニーファの冷ややかな視線が刺さるが男の子だし、多少は見逃してほしい。
「その言葉が本当ならナナちゃんの部屋で寝なさいよ。ナナちゃんは私と寝るから」
…幼女のいた部屋で俺が寝る…だと?
地球だったらCIAとかFBIが搭載されるレベルじゃないか?俺一人でテロ組織と同じレベルまで、引き上がってしまうのだが。
——よし、断るか。
「いいと思うぞ、そんな店興味無いしな」
「意外ね、拒否すると思っていたのに」
…俺の体は正直だった。
もう特殊工作員だろうが諜報員だろうが、全て相手にしてやるまで俺のボルテージはあがっているぜ?多分負けるけど。
▽
晩飯を済ませた俺達は温泉に来ていた。
俺達の泊まっている宿に風呂等の施設が無いので外の温泉施設まで足を伸ばすことになる。
「じゃあ後でな。少し待っても来なかったら先に戻ってていいからな」
「わかってるわよ〜、いきましょナナちゃん」
「はい!楽しみですね!」
二人が女湯の方に入って行くのを見送り、俺も男湯の方に入った。
俺が服を脱いでいると、俺の隣で服を脱ぐ男性が俺に話しかけてきた。
「なあ、兄ちゃん。俺と一緒に…掘らないか?」
…は?こいつ、なんて言ったんだ?俺と一緒にホタルイカって言ったのか?一緒に踊り食いでもするのか?
「ホタルイカ、いいっすよね〜刺身で食うのが凄い好きで」
「ホタルイカじゃない、掘らないか?って言ったんだ。どうだ兄ちゃん、穴掘りして俺らで新たな新境地へ…いかないか?」
口からニチャ…と音がするくらい不気味に男が笑う。
異世界に来てガチの殺し屋と会ったことはあるけど、それとは違ったベクトルで怖い!
…というか、もうこいつのアレがすでに抜き身の状態じゃねえかよ!腰に巻いてる布が不自然に盛り上がり過ぎだろ!男湯でなに興奮してるんだよ!
慌てた俺は、
「や、やめときますっ!そういうのには興味無いんでっ!」
「そっか…兄ちゃんとの相性は完璧だと俺のセンサーがビンビンに反応してるんやけどな…」
やめてくれよ!なんで俺なんだよっ!?そろそろニーファからロリコンの称号が授与されそうだったのに、ホモの称号を授かるとか死んでも死にきれないよっ!
そして男は諦めたように、
「まあええわ、じゃあなホモの兄ちゃん。男湯だからって男に興奮したらあかんで」
なんで俺が、ホモみたいに言われてるんだ!?
はぁ…なんて日だ…。
ホモにホモって扱いを受けたのがショック過ぎる。
男湯から出るとちょうど女湯からも、ニーファとナナがでてきた。
「ぴったしだな」
「そうね、実は覗いていたんじゃないの?」
「そんなわけ無いだろ?それに、ホモに絡まれて手一杯だったんだよ」
「ホモに絡まれて手でいっぱいイったと」
「んなわけねーだろ!ぶん殴るぞ!」
「もうほっぺつねってるって!ごめんって!」
「わわわ…!お兄ちゃんはそっち系でしたか…!」
くっ!あの男、次会ったらぶっ殺してやるからな!
なんやかんやあったが、俺らは宿に戻り寝る事にした。
ニーファとナナは、二人とも隣の部屋にいる。
さて、今、俺は幼女のいた部屋にいる。
さらに特筆するなら、幼女のいた部屋のベッドの前で目を閉じ仁王立ちをしている。
暗闇の中俺は小声で、
「クク…さて、どう料理してやろうか…」
地球だと軽く戦争を引き起こしかねない発言をするが、気にしない。
頭の中で様々なシミュレーションをする中、隣の部屋からニーファとナナの会話が聞こえた。
「カズトはドスケベだから朝になったらベッド事無くなってるに銀貨3枚よ」
「お兄ちゃんはそんな事しないって分かってますけど、朝起きたら布団を齧りながら寝てるに金貨8枚です」
…悲しいかな。
俺ってそんな風に思われてたの?というか、ナナは分かってるくせにベットする金額無駄に高くない?
はぁ、ここでベッドにルパンダイブしたら負けだな、と思った俺は、
——さて、朝まで座禅でもしますか。
と、小声でいい煩悩を打ち消す作業に入った。
▽
「カズトおはよ〜」「お兄ちゃんおはようです」
「あぁ…おはよう…」
挨拶をしながら、俺の部屋に勝手に入ってくる二人。
目の下に大きなクマを作った俺は二人に挨拶を返す。
「やっぱ寝れなかったのね、ニートにナナちゃんのいた部屋はレベルが高かったみたいね」
「ほら、言った通りじゃないですか!私はお兄ちゃんの事信じてましたよ?」
昨晩の賭け金が無駄に高かったのは、聞かないでおこう…。
「そんな事より便秘の女の子は起きたか?」
「まだね、さっき見たけどまだ寝てるわよ。もう薬が切れて起きる頃だと思うのだけどね」
「それじゃあ、それまで待つか」
彼女が起きるまでもう少しかかりそうだな。
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