第5話 アンタルの苦悩

 ——翌朝。


 はぁ…なんて事だ…


 昨晩の事があったせいか、アンタルは全く寝れずにいた。


 寝不足でフラフラと廊下を歩いてると、

「遅かったわね、アンタル」


 廊下で壁に寄りかかるニーファが腕を組んで待っていた。


「あぁ…昨晩はよく眠れなくてな…」

「へー、私をぐっすり眠らせておいてあなたは夜な夜な何をしてたんでしょうねぇ?」


「…な、なんの話しだ?」


 惚けながらも思い出すアンタル。

 そうだった…!昨日の事で完璧に忘れていた!

 冷や汗をダラダラかき動揺する。


「とぼけても無駄よ、メイドから全部聞いちゃったんだから!私の食事に薬盛ったり、夜に何してたかもね!」


 メイドに内緒にしておくよう言っておけば良かったと後悔する。

 魂が抜けたような顔をするアンタルに追撃をかけるニーファ。


「ねえねえ?何してたの?二人っきりで夜に何してたの?まさか会ったばかりの日に大人になっちゃうとかして無いわよね?」


 廊下に響くニーファの声。


「ん?なんだ?」


 一隼が部屋から眠そうな顔だけを覗かせる。


 はぁ…最悪なタイミングだ…。


 これから三人で旅に出るのに不安を隠せないアンタルだった。

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