第10話『トゥルーへの答えを探して』その3

 アルストロメリアのプレイを見ていたのは、プロゲーマーや一般客だけではなかった。

中にはVRゲームで有名なプレイヤーも、彼女のプレイに対して足を止めて見る者もいる。

「あれが――ARゲームか」

「VRゲームとどう違うのか? 何となく動きが激しいのは分かる」

「エクストリームスポーツと言うのをネットで見た事がある。あれは――単純に言って危険だったかもしれないが」

 コーラを片手にスポーツバー感覚にモニターで様子を見ているプレイヤーも見かけた。

それこそ三者三様というスタイルで観戦をしているのだろう。特に食べ物類の持ち込みはオケアノス内で禁止はしていない。

実際にフードコートもあるので、そこや近隣のコンビニで食べ物を買って観戦するスタイルなのだろう。

「珍しいゲームですね」

「日本にはレトロゲーム目当てで来たのに――珍しい物を発見したものだ」

 観光目当ての外国人も来日目的がオケアノスと語る者もおり、それだけ定着しているのだが――それでも日本人の割合が多い。

これは、海外に比べてイースポーツの普及が遅れているのも理由だが――日本のゲーム文化が独自すぎるのも理由なのだろうか?

ネット上ではソシャゲで廃課金や不具合などによる詫び石、まとめサイトによる炎上行為が海外の目から見て特殊と思われている。

これが日本にイースポーツが広まらない原因と断言する海外ユーザーもいるほどだ。日本のゲーム文化は民度が低くなったと嘆く者もいる。



 センターモニターではアルストロメリアが次のステージへ向かうべく、フィールドの探索を始めているようだ。

【今の段階でトップは誰だ?】

【ステージ1をクリアしたプレイヤーの数を踏まえると――】

【まだドングリの背比べでは?】

 表示されている映像には、様々なコメントが飛び交う。ある意味で動画投稿サイトの仕様を思わせる仕組みで見覚えがあるユーザーも多い。

コメント非表示は可能だが、それは個別の端末経由で視聴する場合だけで――センターモニターは非対応らしい。

【ARゲームにもプロゲーマー制度は導入されていたな?】

【そのはずだ。既に様々なゲームで公認プロゲーマーは生まれている】

【その一方で、ARトランスでは少ないと聞く】

【少ないと言うよりは、指折り数える程度だ。他のジャンルだと少なくても100人レベルだ】

【100人で少ないのか?】

【イースポーツの規模を考えていないのか? メーカー公認だと1000人はいないかもしれないが、自称だと1万人はいる】

【自称? それで通じるのか?】

【それでネット上で認められる動きが出ないからこそ、メーカーが公認を出すのだろう】

 ネット上ではプロゲーマー議論が白熱する。ARゲームではメーカーがプロゲーマー認定を行うジャンルもあれば、別のケースで認められる事もあるらしい。

【VRだと10万人とかいても不思議ではないが――ARはイースポーツ化が遅れたのも、プロが少ない理由なのでは?】

【プロが少ないのは芸能事務所の陰謀と聞いた】

【陰謀? 何処のまとめサイト情報だ?】

【まとめサイトじゃない。低俗なサイトではARゲームを潰そうと、様々なコンテンツの名前を出して陰謀説を出しているほど――】

【陰謀説こそ使い古されている】

【プロゲーマーが日本の人口と同じ位になったとしたら――価値も下がる。つまり、価値が上がってこそ――だ】

【ARゲームが民度の低いゲームや低俗なプレイヤーの集まりとして炎上するよりはマシか】

 しかし、プレイヤーサイドではプロゲーマーが無尽蔵に増える事は歓迎される物ではなく、モラルの低下を招くのでは――と懸念する声だってあった。

日本では認識されていないかもしれないが、近年のイースポーツ業界は進化を続けている。日本も様子を見ているだけでは、出遅れるだろう――とまとめサイトが煽るケースさえあったほどだ。

こうしたネット炎上勢力による行動が――様々な分野に風評被害を与えているのは、何度も言及されているかもしれない。



 ゲームフィールドの方では、密かにランスロットが次々とアイテムを回収していく。

何故にアイテムを回収ばかりをしているのかは不明である。アイテムと言っても持てる数に限界がある訳ではないので、無限回収は可能だ。

【あのランスロットがアイテムばかりを回収しているように見えるな】

【スコアが増えるアイテムもあるらしいが、アイテムがあれば勝てる的な要素はない】

【つまり、入手すれば有利だが――なくても問題ない、と?】

【その通りだ。アイテムがあればある程――有利にプレイ出来るかもしれないが】

【アイテムをとりつくす事は出来ないだろうが――何をするつもりなのか?】

 ランスロットのやっている事は、ある意味でのアイテムコレクターと言えなくない。

それはアイテムを入手して事典等に登録される場合に発揮されるが、ファンタジートランスにはそう言った概念は存在しないのだ。

【アイテムで思い当たるのは――隠し曲か?】

【隠し楽曲って情報あったか?】

【ウィキでは、既に10曲ほどは存在が確認されているが――アイテムなしでも出せる曲が多い】

【そうなると――アイテムを集めている理由は?】

【第2次解禁でアイテムが必要になると想定しるのではないのか? それならば、納得がいく】

【一体、ランスロットは何をしたいのか――】

 ランスロットの正体は色々と不明な部分も多い為――ネット上でもまとめサイトで書かれているレベルの情報しかない。

アイテムを集める理由は本当に隠し楽曲なのか? それは本人にしか分からないだろう。

まとめサイトやウィキ等が100%の真実を――とは疑わしいので、それを信じるかどうかは個人の判断にゆだねられる。

それなのに――ネット上では承認欲求や自分のストレス発散目的等でネットを炎上させる為、ねつ造まとめサイトを立ち上げてアクセス数を稼ぐ手段等が使われるのだ。

結局、そうした行為がARゲームだけではなく日本全体のコンテンツの質を下げる原因となり――海外資本に吸収される末路を迎える。



 ガングートの話を含めて色々と悩む箇所はあったが――アルストロメリアは先のステージへ進む。そうしないと、時間切れを起こす為だ。

ボスバトルでは時間が減らない事が判明したが、それ以外では減少する。下手にアイテム収集をしていると、時間は消耗するだろう。

無料プレイ以降のプレイ料金は個人負担になるが――支払うかどうかの判断材料を決めなくてはいけない。その為に――彼女はファンタジートランスをプレイしている。

 その状況下で、彼女は――ある人物と鉢合わせになった。100メートルは進んでいないような――そう錯覚する位には。

「――!?」

 アルストロメリアの腕は無意識に震えている。まるで、このプレイヤーに会ってはいけないと警告しているかのような――。

SFモチーフのアーマーを使用しているが、その形状を見るとワンオフではなく汎用アーマーにカラーリングをアレンジした感じにも見える。

武器に関しては銃剣と言うよりは、銃に電撃鞭を足したような――異色とも言える武器を右腕のハードポイントに固定していた。

 この人物はアルストロメリアの方角を向く事無く、別のエリアへと向かうのだが――何者だったのだろうか?

この人物を追跡しようとは考えていないが、向かった先は本来のルートとは違っている。唐突にバトルとなったら、時間を消耗すると考えた場合――これはラッキーと言うべきかもしれない。

(プロゲーマー? それも――北米の?)

 装備的には北米で有名なプロゲーマーと認識した。海外にもARゲームを稼働しているエリアがあると言うネット上の噂が――実は真実だった事の証明だろうか?

【日本以外のプロゲーマーが電撃来日?】

【確かに――該当サーバーのプレイヤーリストには、日本以外のプレイヤーがいる】

【遠征プレイヤーか?】

【どうせ、海外勢力は有名プロゲーマーのかませ犬になるのでは――】

【そう決めつけると、後悔する気配が――】

 ネット上の書き込みもあるのだが、それこそ複数アカウントを利用しての印象操作やマッチポンプ――そう言う物で間違いない。

このやり取りは、現在のプレイヤーには全く伝わっていない。意図的かどうかは別として――。

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