柄のないカッターの刃を握り締め、痛くないよとうそぶいてみたり。それでも時々痛んで、あーあとつぶやいたり。誰もが心の中にカッターを持っているのでしょう。彼らはただ、とりわけ鋭すぎただけだと思うのです。でも、それを悲劇だと言いたくはない。言ってはいけない。そんな物語です。