第3話 疑問
僕が次に真っ白な部屋を見たのは僕の予想に反して部屋は薄っすらと赤く、けたたましくサイレンが鳴り響いていた。何事かと体を起こすとオペレーターのアナウンスが聞こえてきた。
『第4区より敵生体反応発生! 繰り返す! 第4区より___』
どうやら戦闘命令のためのサイレンだったようだ。外の方でもバタバタとせわしなく聞こえてきた。
配属されたばかりとはいえ僕だけでないということはできないし、休む理由もない。
「アイ、大丈夫か? データは全て送っておいた。場所は第4区。出撃だ」
他の二人は先に入ってしまったようでイルとどんどん遠くなる足音を追った。他の部屋からも人の出入りが絶えない。
目的の部屋の一歩手前で多くの班員が列を揃えて到着を待っていた。やはり僕たちで最後のようだ。
「班長、確認終わりました」
「助かったルイ。アティナ司令官、出撃許可を!」
「E:第2班、出撃を許可する。Iモデルに伝えた通り生体反応源の保護を最優先に。指揮は班長が執れ」
3人とも普段の表情とは打って変わって険しかった。作戦の大きさと緊張が僕に伝わってくる。
「E:第2班出撃! 飛行機体に乗り込め!!!」
イルの命令とともに班員が機体に乗り込んでいく。中に入るとあんなにうるさかったサイレンの音も足音も聞こえず、静まり返っていた。
『危険区域からは地上からの襲撃も考えられる。敵の戦力は未知数だ。気を引き締めろ』
彼女の声が無線から聞こえた。相変わらず無機質で冷たかったが、緊張した僕にはどこか心地よかった。
『絶対に僕の足を引っ張らないでくださいね、新人さん』
『怪我すんなよ!』
続いて二人の声も聞こえてきた。
「46がどんな方だったかはわかりませんがみなさんのお役に立つことが僕の存在意義です。
J-401、準備完了。飛行許可を」
『J-401飛行を許可します』
オペレーターの許可で機内の中がじわりじわりと明るくなった。体全体が震えるのを感じ、四つの機体が空に飛び出した。
辺りは朝焼けにより紫や赤、オレンジ、青色が複雑に混じり合っている。とても美しいと思ったが
『J-401、第4区に到着しました。自動飛行モードに切り替えますか?』
「……いえ、僕がします。敵の領域は危険ですので」
『わかりました。続行します』
機械の声でドキリとした。心臓がないからドキリなんておかしいと思うが僕の身体の中に流れている液体がとまったのではないかそんな息苦しさを感じた。
「おかしいですよね。平和な世界が……人類が再びこの世界に生まれなければいいのに、そう思うなんて」
もう直ぐで目標地点に到着する。
足を引っ張ってしまったら班のみんなを危険に晒してしまう。資源も無限にあるわけではない。しっかりしなければ……そう思った時ふとルイに言われた言葉を思い出した。《46の代わり》そう言っていたな……なおさらしっかりしないと。
そう自分に言い聞かせ舵を握る手に力を入れなおした。
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