第6話 真実はいつも飛突!
「そう!真実はいつも一つですよ瀬野さん!」
「ちょっと何言ってるか分からないかな」
月曜日。待ち合わせ場所である公園前でちょっとした事件。と言うのも、『公共公園』と書かれた看板の横に、こんな紙が貼ってあったのだ。
狸の絵
いえたでをしたます。さたがさたないでたくだたせい。
見るからに子供の字で。
「どうしましょう……どうやらこの子はいえでたをするようです!」
「嘘だろ」
「?どうしました、瀬野さん」
「え、いや……香織、この紙になんて書いてある?」
「いえでたをしたます。さたがさたないでたくだたせい。ですね!」
「狸の絵に注目してみて」
「あ、これ狸だったんですね。スクヴェイダーかと思いましたよ」
「え、」
「えーと、狸狸……」
「ちょっと待って香織」
「なんです?私は今、ちょっと目が離せないのですが」
「手が離せないじゃ……いや、合ってるのか?じゃなくて!……スクヴェイダーって何?」
素人目で見てもこの文と合わさって辛うじて狸に見えるこの絵。確かに、この文の意味がわからないものには、茶色い愛玩動物的ナニカが映るのかもしれないが……いや、スクヴェイダーには見えないでしょ。スクヴェイダーには。うん、スクヴェイダーではないな。やっぱり。
「ごめん香織、推理中悪いんだけど本当にスクヴェイダーって何?て言うか何方?」
そもそも動物なのかも分からないのだが。スクヴェイダー。
「スクヴェイダーはスクヴェイダーですよ、瀬野さん………もしかして、ご存じない?」
「ししし、知ってるわ!!なんかあれだろ!?プリチーでラビット的なあれだろ!?」
なんでご存じないのところでそんな目をしながらこっちへ振り返るんだ。何なんだプリチーでラビット的なアレって。
「なんだ、知ってるんじゃないですか……やれやれ、お手を煩わせないで欲しいですね、全く」
「………え」
何故にそこまで言われなければいけないのか全くもって分からないかったが、合ってるの?プリチーでラビット的なあれなの?いや、スマホで確認すれば一発なんだけど。まぁ、それはそれで負けた気がするし……
結局、放課後になっても香織は文字の謎が分からなかったし、僕はと言えばついぞ、スクヴェイダーを知る事は無かった。
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