Day:1
第4話「ギルド契約?」(改稿済)
前回。
近所のおばさんを名乗る、綺麗な女の人に、異世界で魔王退治をしてほしいの。と言われました。
1
「うーん。異世界? ……に転移したけど、その魔王退治って、何をすれば……。」
希里花は道の真ん中で首を傾げていた。
いざ転生(転移)?したとなると、頭が真っ白になる。
確かに、希里花は異世界転生物のラノベやアニメは見たことはある。
当然のことだが、自身が転生したことなど一度も経験がない(というかめったにないだろうが)が故、何をどうしたら良いか全くわからないのだ。
迷った希里花は、とりあえず“近所のおばさん”との会話を思い出すことにした。
(「あなたには、魔王退治をしてもらうわ」)
「あっ。魔王 退治だから、魔王ってのを退治すればいいのか。」
ひらめいたような声を出して、希里花は言う。
……しかし、経験がないが故に、手順がわからない。
「とりあえず、町の人に聞いてみるか……」
ため息をつきながら、彼女は面を上げると、偶然目の前を通りかかった女性へと声をかけた。
「す、すみません!」
クラスでいじめられていた彼女は、緊張のあまりおかしなテンションで話してしまう。
女性はそんな希里花に戸惑いながらも、その風貌から察して返事をした。
「? あら、見ない顔ね。旅人かしら?」
突然頓狂に声を上げて話しかけ、明らかに怪しさ満点の希里花に、優しく聞く女性。
しかし、希里花は旅人などではない。
一応この世界に勇者として召喚された一一般人である。(今は)
故に、ここは旅人であることを否定するのが妥当だろう。
「いいえ。違いますよ。」
「あらそう。ごめんなさい。それで、何で話し掛けてきたの?」
女性は引き続き、優しげな口調で語りかける。
そんな女性に対し希里花は食い下がるように答える。
「ああ。あの……。魔王? の退治方法を教えて欲しいんですが……。」
「そんなの知るわけないじゃない。魔王って今どこにいるのかもわからないのよ?」
「そ、そうですか……。」
私はそう言ってガクリと頭を下げる。
「……っていうかあなた、まだギルド契約してないじゃない。」
へ?
「ギルド契約しなきゃ、そもそも勇者に成れないわよ。」
ゆ、勇者?
あの、小さい男の子がよく「ぼくはゆーしゃだ!」とか言って、剣を振り回すあれ?
「勇者になるとは言ってませんが……。」
「勇者にならないと、魔王は倒せないわよ。まあ、勇者になっても魔王はなかなか倒せないけど、まあ、勇者になった方が勝率は上がるわよ。」……なんだかよくわからないけど、とりあえずそのギルド? ってのと契約したほうが良さそうね。
「その……、ギルドって誰ですか?」
「え? ……あははっ! ギルドは人の名前じゃないわよ!」
「えっ!? そうなんですか!?」
と、飛んだ失敗をしてしまった。
「……ギルドってのは、団体……っていうか、建物っていうか。まあ、そんなところよ。」
「そうでしたか……。それで、その、ギルドって、どこに在るんですか?」
「あ、それなら、今あなたの後ろに在るわよ。」
「え?」
「……そう。これがギルド。確か国が経営してる施設。」
「はあ。」
「さあさ。行ってきなさい。貴女の新しい人生への第一歩よ。」
「……はい!」
……こうして、私の異世界冒険録が……
「あ、その前に。はいこれ。」
「え?」
「見たところ、あなたお金持ってないっぽいし。あげておくわ。」
「え、でも……。ちょっと、待って――……!」
……始まった。
そして、それと共に気づいたことがあった。
「ありがとうございました。“見知らぬおばさん”――……いえ、女神さま!」
いや、最初から気付いていたのかも知れない。
とにかく今は、ギルド? に、行かなければ。
……そして私は、ギルドへと入った。
長い話もしたくない。
私は、何かに流されるように、大魔法使いとなる事を決めた。
そして走り出した。
新しい人生の、2歩目へと向かって。
異世界で初めてパーティーに入れた美少女が元クラスメートで魔王だった件 第0部 -須賀 希里花の章- 柊木緋楽 @motobakaahomaker
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