第3話「女神さま」

1.「女神さま」


「……里……ん……す……」

誰かが、呼んでいる気がする。

「希……さ……で……」

うーん。うまく聞き取れないや。

何て言ってるんだろう。

「……花さ……! き……!」

でもこの声、どこかで聞いたこと、あるような気がする。

誰の声……、だっけ?

「……里花……! ……き……す!」

き、キス?

なに言ってるんだろう。この人。

そういえば、後ろ姿も見たことあるような……。

うーん! 思い出せない!

「希里……さ……! 好……で……!」

もー!何言ってんの!?

「希里花さん!好きです!」

こ、告白!? いやちがう。告白の練習だ。


……でもごめんなさい。

私はその告白を受ける事はできないの。

だって。



もう、死んじゃったから……。




2.「070402011004070203010701」


「起き……さい。」

ん……?

この声、誰だろう。


女の人の声だ。


聞いたこと、ないな。

「起きなさい。」

あれ? 私、死んだんじゃなかったっけ?

「起きなさい。」

まあ、誰か分からないけど、この人の声は、そう荒々しくもないし、優しくて、癒される声だ。

たぶん、あのいじめっ娘たちの何倍も安全なことには間違いはない。

起きよう。


そう思い、目をあける。

「やっと起きたのね。」

その瞬間、目に入って来たのは、軽く優しく微笑んだ、羽衣を纏った綺麗な人だった。

「あ、あなたは……?」

私は思わずその人に、そう問いかけた。

するとその人は答えた。

「私は……。女がm……。いえ、通りすがりのおばさんでいいわ。」

どうやら本名は明かさないらしい。

それにしても……。

ここは、どこだろう。

「あ、ここが何処かって? うーん。そうね……。白いペンキをぬりたくった部屋……とでも言っておこうかしら。」

うん。たぶんこれは嘘だな。

そう思いながら、私はその下を見る――。

「ひゃっ! すみません!」

……抱っこされてた。

いくら女性同士でも、これは恥ずかしい。

「フフッ。いやいや、良いのよ。別に(こうして人を起こすの)嫌いじゃないし。」

ふぇええ!? もしかしてそっちレズの人!?

「そんなことより――……」

待って! 待って待って! ねえ、待ってこれ!

なんか、アレなお願いされちゃうパターン!?

私に平和は来ないの!?

「ちょっと、仕事をして欲しいんだけど。」

え、もしかして、アレな仕事!?

私のシモで働きなさい的なアレ!?

「その仕事はね……。」

ちょ、まって! 待って! 待ってストップ!

ま、まだ心の準備が……。

「魔王を倒してほしいの。」

「キャーーーーーッ! ……って、え!?」

い、今、何て!?

「あ……、聞こえにくかった? じゃあもう一度言うわね。」

は、はい! もう一度リピートお願いします!

「あなたに……、異世界で魔王退治をしてほしいの。」

____________________________________________________________

はーい! というわけで、今回の後半で、色々と勘違いしちゃった希里花ちゃんでした!

それと、本格的な異世界は、色々あって、次回から始めることにします。

今回まではほんのプロローグ。

まあ、この話事態、全部プロローグですけどね(笑)

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