第4話 フィクションであることと「本当っぽさ」その2
副題:架空世界の民族衣装とインディアン・マスコット、あるいは暗黒時代のステレオタイプ、もしくはリアル世界のコンタミネーション
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付け加えるなら、現代日本は言うほど平和なのか?現代技術は言うほど万能なのか?という疑問もある。現代社会のインフラや制度・技術を持ち込むと、それに付随する現在進行形の社会問題も持ち込むことになる。ただ、主人公が自分たちが安易に持ち込んだモノゴトの負の側面に苦悩するって展開も、ドラマチックで結構おいしそうではある。
ついでに、時代性だけではなく属する社会階層、社会集団によっても世界の見え方・そこから見える景色は相当異なる。
例えるなら、立っている場所が違えば見える景色も違う。立っている時間帯や季節が違えば見える景色の印象も変わる。立っている人物に良いことがあった、哀しいことがあった等でも、見える景色は色合いを変えるだろう。だいたいそんな感じである。
そういうややこしいあれやこれやから離れたくて、じゃあネイティブアメリカンの文化辺りを異世界のモデルにすっかー、馴染み薄いしー、と軽い気持ちで調べ始めて後悔した。デデーン!「インディアン・マスコット」……こりゃ悲惨だ。軽々しく使えないと知ったのが収穫だった。
そうすると、自分が慣れ親しんだ世界を誇張、変容させるのが手っ取り早い。異世界人はジャージとサンダル姿でどうだッ。うん、ワクワクが無いね、没。
もうひとつの方法論として、滅びた民族・文化の意匠の流用がある。例えばインダス文明や
あるいは完全な異文化の創作。……無理。
もしくは、既存のオープンシェアワールドで実社会の諸問題との摺り合わせが上手く練られたものを借用するか。
詰まる所、例えば登場人物達が不条理を前にそれでも立ち向かったり、あるいは立ち尽くしたり、そういう話を描きたいのに、本筋と関係ない部分で荒れるのはヤなのである。
だから、作中で現れる差別や侮蔑、偏見、あるいは民族浄化といった表現は、動機から結果まで含め、作中世界内で完結するものにしたいし、今ある差別の文脈に連ねたくはない。
かといって、配慮のし過ぎはアホに至る。「差別的な表現を避けるため、本作品の主人公は黒人の少女の予定でしたが白人の少年にしました。」なんて事になったら笑えない冗談でしかない。
そもそもの話、わざわざ中世風にしなくても、現代文明も十分
そういうアレコレを文章化する上で、「意図せず混入する現実の差別や偏見の断片」が、ものっそい、邪魔。
とはいえ、作劇過程で一番邪魔してくれるのが作者自身の思想信条信念、及び偏見、そして自己主張。登場人物は作者の奴隷ではないし、作品世界は作者のままごとのための砂場ではない。作劇者は作品世界とそこに在る人々の最初の観測者でありこそすれ、神ではない。
作品制作過程で最後に立ちはだかる最強の敵は作者自身だろう。ほっとくと登場人物を自分の主張を代弁させる人形に変えてしまう。ほーんと、すげー邪魔。
最終的に、表現は表現者からも自由であってほしい。
ところで、ファンタジー世界の住人がポリティカルコレクトネスを意識すると……という思考実験のTogetterまとめを見つけた。滲み出るコレジャナイ感。
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まとめよう、あつまろう Togetter
togetter.com
「冒険飛行家の時代は終わったんだ。国家とか民族とか、くだらないスポンサーをしょって飛ぶしかないんだよ。」 by フェラーリン/紅の豚
「キルミーベイベーは死んだんだ。いくら呼んでも帰っては来ないんだ。もうあの時間は終わって、君も人生と向き合う時なんだ。」 by チャーリー・ブラウン/某有名コピペ
特に夏休みとは関係のない自由研究における自由の意義について 獅子童 貞臣(シシドウ テイシン) @shishidou_teishin
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