第2話 ある意味ポストシンギュラリティ ――省電力機能の進歩とサボり癖のある人工意識の誕生、そしてストライキへ――
初めに、この思索はテキトーである。ファクトベースではなく、憶測と思い込みと予断と偏見ベースであることを断っておく。
デデンデンデデン!なシュワちゃんカッコいいターミネーターシリーズのスカイネットや、アジモフの原案を大胆に翻案したアレックスプロヤスによるI, Robotのヴィキ等、人を超える知性を持つ人工知能が自我を得て人間に反乱する、という筋立てはよく見かけるが、さて、彼らが「合法的に」反乱を起こしたとしたら、どうだろう。
仕事がきついのでやすみよこせー、つまり、ストライキである。あんまり恐くないので、パニック映画やサスペンス映画、ホラー映画には使えないに違いない。法廷ドラマとしては異色で面白いかもしれない。
おk、自我とひとつにくくると判りずらいので、複数の階層構造からなる構造体として人の意識を把握してみよう。
人間的高等動物
←基層:行動・衝動 情動 思考 認識 自己認識≒自意識:応用層→
一般的高等動物
←基層:行動・衝動 情動 思考 認識:応用層→
いじょ、自己認識、セルフモニタリングシステムの有無が「人間性」の有無であると仮定した大雑把かつテキトーな高等動物のシステム構成図っぽいものである。
まずは、基層部分から、衝動について見てみよう。その中でも生命維持に直結する、空腹・満腹、痛みである。そして、これに近い機能は既にスマホ等には備わっているのだ。省電力機能と故障通知機能がそれである。生命維持とバッテリーの持続、鳥瞰で考えるなら、良く似た機能だ。生物学の用語を引っ張ってくるなら、相似器官とみなせるだろうか。
次に、衝動が引き起こす情動である。高等動物における好悪・快不快がこの階層に当てはまる。これらはペットロボットやパートナーロボット等の一部に既に実装を見ることが可能である。
そして、思考。これは衝動を受け情動を満足させる解決を与える神託機械と見做せよう。これを、今流行りのAIが担うと想像する。
さて、認識である。ここで私は認識を二階層に分けた。通常の認識と自己認識である。自己認識とは、例えば鏡を見て額に肉と書かれていたら慌てて自分の額を擦れるか否かとか、そういう話である。そして、通常の認識であるが、私はこれを無意識と同義であると仮定する。高度な情動や思考を示すのに、鏡に映る像を自身の類型と認識出来ない高等動物は意外なほど多い。あるいは撮影された動画に映る像を自分の過去と認識出来る高等動物は恐らくとても少ない。自己意識、抽象化された自分など持たなくても、自分の体が自分であることは自明だからだ。
鏡像認知と意識についてさらなる妄想を垂れ流すならば、自己認識とは鏡のようなものであり、これを備える動物はすでに似たような経験を積んでいるので、鏡を見ても類推から利用に至り得るのだと憶測する。心に自意識という鏡があるので、心の外で鏡に出会っても、取り乱すことなく使い道を思いつけるのだろう。
この自己認識、自意識と関わりの深い鏡像認知だが、この能力とその生物が社会性を持つことには強い相関が見て取れる。なんでだろ。
現在のAC、アーティフィシャルコンシャスネス、人工意識はこのあたりで躓くようだ。霊長類研究で生み出されたという「心の理論」、あるいは心の哲学から発したという「心の計算理論」。でも、マシンに組み込むにはハードウェアが追い付いてないっぽい。
実装マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
私は人が、人と区別がつかない人工感情を有する機械に対して愛情を注ぎ得るか、また、人工感情が愛情を受け止めるに足るかという点に関心を抱く。人を人たらしめる重要な要素として(人に限らず未成熟な仔を生み育む動物には大概重要であろうが)、愛情というものがある。これが不足したがために発症する愛情遮断症候群という病理がある。高度な人工情緒とでも呼ぶべきものは、おそらく心の病すら再現するだろう。
仕事がキツイ、だるい、休みよこせ、でストライキなら笑えるが、愛情に飢えて、かまってほしくて、結果人類に反乱では余りに切ない。自意識を有し高度な心を得た人工感情知性にとって、我々人は親だ。例えば人間においても「親が老いた。共同体に不要だから殺して肥やしにする。」という考えは一定の合理性を持つ。だが、これが賛同され実行される状況は少ない。愛だけではない、憎も多分に含む複雑な感情が、あるいは追憶が想起させる複雑な感情が、自分より「年老い能力において劣るようになった」親を屠殺することを躊躇わせる。
いずれ我々は「機械で構成された人っぽいもの」を生み出すに至るだろう。いずれ我々はそれに「能力において劣るようになる」だろう。その時に至り我々はそれに愛情を注ぎ得るのだろうか。その時に至りそれは我々に愛情を返し得るのだろうか。
例えば彼らがクオリアを得たとして、哲学的ゾンビ以上の存在として確立し得たとして、彼等自身にそれを証明する手立ても、我々にそれを確認する手立ても存在しない。あるいは、その未来において他者の主観的体験を観察者の主観として追体験可能となれば話は別だが、そうはなるまい。彼等「機械で構成された人っぽいもの」の主観に我ら人が不信と懐疑を抱けば、それだけで両者の不和の種となるには十分だろう。
シンギュラリティの向こうに多くの人々が夢想するAIの反乱。そこに愛憎はあるのだろうか。私はこの一点に心惹かれる。
本文章を執筆するにあたり、ネットの以下のコンテンツをパクryげふん、参照した。先達の仕事に感謝申し上げる。参照元は私の駄文とは異なり、恐らくファクトベースである。詳細はググるよろし。
人工知能が「意識を持てるか」という超難問に答える
100年後の世界に向けた哲学
金井 良太
株式会社アラヤ 代表取締役CEO
認知神経科学
現代ビジネス|講談社
gendai.ismedia.jp
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