世界の終わりとハートブレイクボルダーランド
――イワオはそこを「空き地」と呼んでいた。そこは本来の意味においての空き地ではなく、「空き地」と呼んでいるものはイワオの他に誰もいなかった。だが、そこはイワオにとっての「空き地」であることに間違いは無かった。
イワオはまた、「空き地」内を「真ん中」と「端っこ」に区別していた。もちろん、その他にも区別されるべき場所があるはずだが、イワオとってそれはどうでも良いことだった。
イワオは「空き地」の「端っこ」にいた。「空き地」の「真ん中」と言えば、「空き地」全体がどんな形だろうとそこは一つしか無いはずだが、「端っこ」と言うと「空き地」内に該当する場所はいくつもある。だが、それもイワオにとってはどうでも良いことだった。
ともかく、イワオは「空き地」の「端っこ」で岩を重たそうに持っていた――
ったく、うざい小人だなぁ。人の心を読んで変なナレーションの寝言を言うなんて……。こんな岩落っことして黙らせたくなるけど、それをやってしまうとこの「世界」が終わってしまう。この岩をこの小人の上で持って落とさないように我慢する。それを男女で交代して行わなければいけない。そうしないと「世界」が終わってしまうらしい……。なんでそうなったのかは僕には分からない。ただ、僕とタケミが「世界」からここで岩を持つことを任された。
この岩を持つことから解放される日が来た時には、僕はタケミに……。
「イワオごめ~ん!」
タケミが慌てて駆け寄ってくる。交代の時間はとうに過ぎて僕はそろそろ限界だった。
「大丈夫だよ、まだまだ余裕で持てたから」
僕は強がりを言った。
――タケミが遅くなった理由は、スナオという名のイワオよりもずっとイケメンな男とタケミの部屋で一緒にいたからだった。
男女が一緒に同じ部屋にいたということは、それなりの行為があったと――
「イワオだめ!」
――そう叫んだタケミの言葉を最後に、「世界」は終わった。
※自主企画用に書いた作品を転載及び若干推敲
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