げんじつ系

じーちゃんからのクリスマスプレゼント

 僕は小さいころ諸事情により、田舎のじーちゃん、ばーちゃんちに預けられていた。


 2歳だったか3歳だったか、もしくは4歳だったか、あるいは5歳だったか、はたまた6歳? いや、やっぱり間を取って3歳だったかもしれない。

 そのころの事を思い出そうとするといつも、じーちゃんちの居間で一人でプラスチックの積み木で遊んでいる風景が浮かぶ。その積み木は振るとカラカラした。

 友達など誰もいないし、じーちゃんは仕事で、ばーちゃんは近所に遊びに行っていたからいつも一人だった。

 

 話はじーちゃんちでのクリスマス。

 クリスマスの前日だったか前々日だったか、でもクリスマスケーキが置いてあったって事はクリスマス当日だったんだろう。というか、ケーキが居間の床に置いてあったのだから、夕食の前くらいだろう。


 ケーキの近くにはクリスマスプレゼントと思わしき物が置いてあった。

 じーちゃんに開けていいか聞いた。

 まだ駄目だと断られた。

 

 僕はキレた。そうさキレちまったんだよ……。プツン! てな……。


 思いっきりケーキの箱を蹴っ飛ばした。


 まあ、サンタの存在を知らずに育った子供なんてそんなもんだろう。

 ケーキはどうなったかというと、3歳児程度の蹴りだったから箱がちょっとヘこんでズレたくらいかな。箱の中のケーキも若干崩れたくらいだったのかな?

 サンタの存在を知ったのは小学校に上がってからかな。もし、小学生になってもじーちゃんちで暮らしてたら、こんな文なんて書けてないんだろうなぁ。


 その時はじーちゃんにどう怒られたのか、どうなったかは全然覚えていない。

 ただ、僕がケーキを蹴って、悲しい顔をしてケーキの心配をするじーちゃんっていう夢をたまに見る。 

 

 あとで貰えたプレゼントはサッカーボールだった。

 それも蹴っとばした。

 それはそういうもんだから。



 そして未だに僕は、サッカーボールを追いかけている。

 

 友達は少しできた。


 クリスマスだってみんなで遊んだ。


 友達になった人も、よく見かける人も、たまに見かける人も、お初な人もみんな一緒に。

 

 じーちゃんはとっくに死んだから分からないだろうけど、技術の進歩ってスゲーんだぜ! いまじゃどこにも行かなくなくたって、一人だって、みんなでサッカーゲームして遊べるんだ。

 俺みたいなやつだってチームプレーができるんだよ。


 まあ、嵐のように動き回ってたまにオウンゴールしちゃうのはご愛嬌ってことで。 

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