馬鹿が見た未来
馬鹿な男がいた。
馬鹿な男は馬鹿なことばかりやっていて、周りから馬鹿にされていた。
馬鹿な男は動物園が好きだった。猿や豚に餌をやったりして優越感に浸っていた。
ある時、馬鹿な男はひょんなことから馬鹿みたいに金を儲けた。金は馬鹿みたいに使っても有り余るほどだった。
馬鹿な男は馬鹿なことを思いついた。昔観た馬鹿な映画――主人公が冬眠実験で何百年か未来に目覚めたら世界には馬鹿な人間しかいなくなっていた――を思い出したのだ。馬鹿な男は、あの映画くらいの馬鹿ばっかりの世界なら自分だって天才的人物になれると考えた。
馬鹿な男は
◇◆◇◆◇◆◇
研究所で猿の顔をした人間が数人いる。白衣を着て、手には注射器を持っていたり何やら作業をしている。
――惑星移住オプションとかあったっけ? 馬鹿な男は半覚醒の馬鹿な頭で考えた。
「いでっ!」
馬鹿な男は腕に注射を打たれたことで完全に覚醒した。
馬鹿な男は冷凍される前と同じ惑星で目覚めた。約700年後の地球であった。
馬鹿な男は初め、「みんな馬鹿どころか猿になってんじゃん!」と喜んだ。が、すぐに
馬鹿な男は家族連れの
豚達は馬鹿な男より少し知能が高かった。馬鹿な男は新入りの通過儀礼として壮絶な「洗礼」を受けた。餌であるバナナの一本を口に咥えさせられ、「パラシュート部隊」と称して豚達が次々に馬鹿な男の体の上に飛び乗ってくる。
馬鹿な男は苦しみ悶え、最後に飛び乗ってきた豚の尻を眼前に「そんな馬鹿な……」と呻いて意識を失った。
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