第2話 私①
私は、夜になり誰もいなくなった公園で一人で星を見るのが好きです。もちろん、友達と話しをするもの一緒に出かけるのも好き。でも、誰もいない公園で見る星空は、空に光る沢山の星たちを独り占めしているようで一番好きでした。
高校三年生の冬、空が綺麗で私の大好きな星がよく見える私の一番好きな季節。
そんなある日、私は見知らぬ一人の男の子に声をかけられました。
『その本。星が好きなんですか?』
『え、はい、そうです。
えーと、ごめんない。どちら様?』
急な質問に戸惑いつつも答えました。
『はじめまして、椎名です』
いかにも好青年だと感じさせる爽やかな笑顔を浮かべて彼はそう言いました。
『はじめまして椎名くん、私は峰岸です
あの、椎名くんは何組?』
『俺は一組』
『じゃあ、このクラスから一番遠いね』
『そうだね』
情報量のとても少ない自己紹介をすませると、それからしばらくお互いに初対面なので会話の話題に困ってしまい、数十秒はたまた数分くらいの沈黙がありました。
少しして聞き馴れた不思議なベルの音が校舎中に響き渡って、『あ、ベル鳴ったから帰るね。またね』とそう言って彼は廊下の奥の方へ走って行ってしまいました。
椎名くんは髪は短くて、身長は高く体つきはしっかりしていて、優しい雰囲気というかオーラのようなものが周りに漂っていました。
話すのは苦手のようだけれども、チャラチャラしてなくて真面目なんだなということはわかりました。
初めの会話以来、椎名くんがよく話しかけてくれるようになりました。
新しい友達ができて私は少し嬉しかったです。
基本的には私が話し手で椎名くんが聞き手の事が多かった気がします。
話の内容は『昨日食べたお菓子が美味しかった』とか『今朝、登校中にたくさん猫を見た』とか『あのドラマが面白かった』とかたわいない話ばかり。
一応、椎名くんの連絡先は知っていたけどあまり使うことはなく、だいたいは学校で話すことが主でした。
椎名くんと出会って一ヶ月もしないうちに学校を卒業しました。
進路は大学進学。早め早めの準備のおかけで無事に志望校に合格することができました。
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