長所

 30分くらい飛んだところで、ハクトウワシ殿が動きを止める。

「ハクトウワシ殿?」

「皆、1キロ先。けものがセルリアンに襲われているわ」

 あれは私を襲ったやつらと同じものだ。セルリアンというのか。

「あらほんと。それじゃ、仕事ね」

 この次に二人が何を言うかが分かった。レッツ…

「「レッツジャスティス!」」

 二人が急に加速する。速い。そして…強い。二人の戦いぶりに思わず見とれてしまう。

「!!」ハクトウワシ殿の後ろからセルリアンが近づいている。タカも気づいていないようだ。だが…

「私に…できるのか?」

 この姿になってまだ3時間と経っていない。そんな私があんなやつらを倒せるのだろうか?…などと頭では考えているが、体は既に動いていた。それに気づいた時、私の中で何かが変わった。風が私に味方している、そんな気さえする。

「うおおおおおおおおお!!」

「ハヤブサ!?」

 件のセルリアンに渾身の一撃。セルリアンは破裂。倒したようだ。いや、まだだ、まだ終わっていない。急いで向きを、二人に加勢する。こうして『群れ』に突撃する感じ、なんだか懐かしい。

「これで最後だ!」

最後のセルリアンを蹴り飛ばす。

「ワンダホー!あなた意外とやるじゃない!」

「見たわよ。あなたなかなか速く飛ぶじゃない。見直したわ」

「ねぇ」

「?」

「…やっぱりいいわ。行きましょう」

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