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「そっかぁ、男の人って案外若い子が好きな人ばっかじゃないのね」
もちろん若い子も好きだけどね。
「そうなの?」
「でも、年上の女性の余裕とか色気とか、そう言ったものは若い子にはありませんから」
「でも若い子の方が、守ってあげたくなるんじゃない?」
「うーん、それもそうなんですけど。それだけじゃないんです」
「違うの?」
当たり前だ、年下の若い子と年上の女性とでは全然違う。
「年上の女って、気が強くない?」
「そこが良いのではないですか」
「そこが?」
「そんな強くて余裕のある女性がふと見せる弱い部分に、自分が守ってあげなくちゃとなるんじゃないですか。頼られたいと、傍に居たいと思うのですよ」
うーん、と首を傾げる松本さん。でもその顔は先ほどまでとは全然違う。どこか嬉しそうだ。
「その男性とはもうお付き合いされているんですか?」
「え、ないないないない! だって私より十歳も下なんだよ? そんな、付き合えないって」
ブンブン、と首を振る松本さんは「おかわり」とカップを差し出す。
「でも」
「でも?」
「実はちょっと、良いなって思ってきてるんだよねぇ」
カウンターに突っ伏した見えないその表情は、きっと微笑ましいものなんだろうなと思う。
「マスター、また訊いてくれる?」
「もちろんですとも。私は美味しいお酒と、お話を聞くことだけは得意なんです」
どんな告白でも、聞かせてください。
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